毎年、たくさんの人からリンガルの講習会を開いてくれないかと頼まれていますが、全て断り続けてきました。
理由はいくつかありますが、私の本分は患者さんを自分の手で納得のいく治療をする事であり、lectureすることではないからだ、と考えているからです。
どうしても参加しなければならない学会等々で留守にすることが年に数回はあり、現地で過ごすのが 2,3日であっても、前後の移動を含めると1週間ほど医院を閉めなければなりませんので、そうそう診療を休んでばかりは いられないからです。
勤務医の先生が留守の間診療してくれて、学会の準備もプレゼンもみんな勤務医の先生がやってくれるなら 2つ返事でOKしますが、一人で診療から、学会の準備から、論文書きから、すべて行っている私には、時間的にも体力的にも限界もあります。
ところが、今年は 2つのセミナーを引き受けました。
今回は そのうちの1つ、Switzerlandの Dr. Nils Stukiからの offerです。
1999年のリンガルの国際学会の際、私は新しく作った小型のリンガルブラケットについて発表しました。
彼とはその時に知り合って以来 10年ほどの付き合いで、今年のもう一つの学会と同様、数年ほど前から顔を見るたびに何度何度も頼まれていたので、熱意に打たれてOKし、1年以上前からスケジュールを調整して、今回行って参りました。
Hiro System and Lingual Orthodontic Course in Switzerlandと相成りました。
9月 1日のお昼、いつもどおり中央タクシーで成田に向かい、空港近くのホテルに前泊します。
成田空港で初めてA380を見ました。でっかいですね~。
スイスは2回目の訪問です。
1度目はジュネーブに1日滞在しただけですので、殆ど初めてのようなものです。
チューリッヒからバーゼルまで、70kmほど離れているので、チューリッヒからバーゼルまでは電車で行くつもりでしたが、2日の夜、チューリッヒ空港に迎えに来てくれるということでしたので、お言葉に甘えました。
ところが、、、到着ロビーで待てども待てどもお迎えが来ません。
諦めて電車で行こうと、歩きながら Nilsに電話したら、「Toshi、フライトは明日だ、今日じゃね~ぞ~。」とのこと、、。
ありゃりゃりゃ、またやっちゃった、、相変わらずオッチョコチョイだなあ、、、じゃあ、今日はこの近くのホテルに泊まって、明日朝の列車でバーゼルに向かうことにするか、と、バスを待っていると、彼から電話があり、間違えたのは僕じゃなくて、Nilsのほうだとのこと。
「バーゼルのホテルは今日から予約が入っているから、今からバーゼルまでタクシーで行け」とのこと。
思わず、「タ、タ、タ、タ、タクシー???」と叫びます。
スイスのタクシーは高いと聞いているからです。
「そんな遠くまでタクシーで行ったら、大変な金額になっちゃうよ。いいよいいよ、電車で行くから」と伝えますが、何度も何度も「タクシーで行け」、「タクシー代はこっちで払うから、タクシーで行け」と言うので、言われたとおりタクシーに乗り込んで、バーゼルに向かいました。
タクシードライバーは目が点になっていましたが、1時間ほどで無事、バーゼルのホテルに到着。
彼らが用意してくれたホテルは、5つ星の最高級ホテルです。
とても歴史ある格式高いホテルなので、当然、短パンや野球帽は御法度です。
部屋に案内して貰って、チップを渡し、外の景色を眺めていると、なんと、彼がやってきました。
ただ一目会って挨拶をしたかったんだと、ベルンから1時間、車をカッ飛ばして来てくれたのです。
感激、感激!
ロビー横のレストランでビールを飲みながら1時間ほど話をしましたが、少しのビールでフラフラに酔っぱらってしまいました。
この間のスタッフの一件以来、不整脈がひどくて、夜中にも苦しくて目が覚めるほどでしたので、暫くお酒を止めていたからです。
久々に飲むビールは、とても美味しかったですが、たった1杯でかなり酔っぱらってしまいました。
ホテルは、ライン川沿いで、眺めも素晴らしい、スタッフの対応も素晴らしい、さすがに5つ星ホテルです。
ここのレストランも超有名だそうです。
翌日は、夕方からディナーに招待されていますが、それまではフリーですので、早起きして朝食を済ませて、街に散策に出ます。
ヨーロッパでは当たり前の朝市ですが、、。
こういう雰囲気は大好きで、すごく気持ち良いです。
上はバーゼルの旧市街です。
その夜は、ホテル内のレストランで食事です。
スイス矯正歯科学会の前会長の Cris先生と Nilsと Karlと私とで、いろんな話をしながら美味しいフレンチに舌鼓、感謝、感謝。
この、Crisという先生、話していると、このホテルは何年に出来たスイス最古のホテルで、オーナーは誰々で、等々、話しているとホテルのことだけではなく、なんでも物凄くよく知っています。
生き字引とは、まさにこの人のことを言うんだな、と思いながら話していると、彼のお父さんは東京大学で教鞭を執っておられ、かなり特別な職に就いておられるそうです。
どおりで、頭の出来が僕とは違うわけだ、、。
翌朝、川を眺めながら美味しい朝食を頂き、セミナー会場に向かいます。
今回の準備は、材料発注から会場設営まで、全て彼と彼の友達が行ってくれました。
予め送ったパワーポイントも綺麗に印刷してくれてあり、全てがとても素晴らしかったです。
午前中は、イントロダクションに始まり、リンガルの歴史、Indirect Bonding の歴史や種類等々について説明し、ゴージャスなフレンチのお昼を頂いたあと、午後はヒロシステムの実習です。
見るは易し、行うは難しで、初めてなのに、凄く上手に進める先生もいれば、少々手こずっている先生もいます。
午後の実習が終わってから、全員でトラムに乗り美術館へ。
モダンアートのジャコメッティ展を観覧しました。
とても難しいアートで、見ているときは「何だこりゃ?」と思いましたが、今は心に焼き付いています。
貴重な体験をさせて頂きました。
ディナーは、これもやはり操業何百年という有名なレストランで、フルコースを頂きました。
わいわい、ガヤガヤ、、
みんなと和気あいあい、楽しくお食事が出来たことをとても嬉しく思います。
ニルスとカール
翌日は朝から少し症例を紹介した後、実習の続きです。
スイスのリンガルの会長のPeter先生と、Cris先生も一生懸命実習を進めます。
お昼までラボの実習をした後、また美味しいお昼御飯を頂き、午後はメカニクスやリンガルのキーポイントについて解説します。
全て終わった後、豪華な記念品を頂きました。
2日間、ご静聴有り難うございました。
今回の反省点がいくつかありました。
来年のコースでは、その点を改良して臨みたいと思います。
コース終了後、Cris先生が自慢の Ferrariに乗せてくれ、そのあと Nilsがマセラッティでチューリッヒまで送ってくれ、ホテルで一緒に晩御飯を食べました。
いろいろと御世話になり、有り難うございました。
翌日土曜日の便で帰っても良いのですが、日曜日の便で帰る方が飛行機代が半額くらいだったので、どうせ月曜日は定休日だからと、日曜日の便で帰ることにし、土曜日は1日観光をしました。
1日街をブラブラしようと思っていたら、ホテルのコンシアージが ユングフラウヨッホの日帰りバスツアーを紹介してくれたので、行ってきました。
憧れの高原列車、アイガー北壁を見ながら最終目的地、ユングフラウヨッホのてっぺんのレストランに向かいました。
幸いにも天候に恵まれ、トップオブヨーロッパの大パノラマを満喫することが出来ました。
まさか来れるとは思っていなかったので、本当に感激しました。
駅のスタンドでは焼きたてのソーセージを食べました。
アッチッチで本当に美味しかったです。
そして現在、成田から松本に向かう中央タクシーの中です。
明日、火曜日の朝からビッシリ患者さんが入っています。
スタッフの皆さん、よろしくお願いします。