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院長日誌

  • 2002/11/18

    M-Orthを受験、全て舌側矯正の治療結果を提出して無事合格 !!

    11月14-16日 香港にてM-Orth RCSEd/CDSHK conjoint examinationが行われました。
     
    正式には、Membership in Orthodontics of the Royal College of Surgeons of Edinburgh / The College of Dental Surgeons of Hong Kong と言います。
     
    日本ではM-Orthというのはあまり知られていませんが、オーストラリアやヨーロッパの矯正専門医の先生方の間では、持っていれば必ず名刺の肩書きに書いてある権威あるものです。
     
    今回は日本からのcandidate3名を含め、総勢17名でした(そのうち7名は大学のProfessor !!)。
     
    飛行機はいつものごとくJALの悟空21、エコノミーで1人名古屋空港をあとにしました。
     

     
    香港国際空港から市内までは、Airport Expressにて移動。市内まで90HK$。
     
    安くて速くて綺麗です。
     
    日本のNaritaなどを考えると恥かしい限りです。日本は真剣に考えないと、絶対に世界に置いて行かれます。
     
    この試験はPart I と Part IIからなり、Part I exam. は Basic dental sciences に関する Multiple Choice Question paper と Multiple Short Answer questions が3時間、さらにHuman diseaseを含んだ Typical basic dental problems に関するClinical examinationが60分、さらに 上記のM.S.A.と矯正臨床についての Oral exam.が 30分間行われます。
     
    これら一般歯科についての試験は、「矯正専門医は矯正の事だけしかわからない、というのでは、優れた矯正治療は出来ない。一般歯科の知識についても、秀でていなければならない」という考えのもとに設定されております。
     
    Part II exam. は
     

    1. 矯正歯科一般に関するWritten exam. が3時間
    2. 用意された患者さんのRecordsを使って、診断・治療方針を立案し、提示した診断・治療方針とそれに関連する事項についての口頭試問が1時間
    3. 矯正歯科に関連する全ての事柄に関する口頭試問が30分間
    4. 全て自分で治療したRecordを5つFilingして提出、診断・治療経過や、治療に関連する事項についての口頭試問が30分間
    5. 大学病院で2人の患者さんを実際に使って、診断・治療方針の立案を行い、治療方法の詳細や、起こり得るあらゆる問題についての詳細な口頭試問が30分間

    の5つから成ります。
     
    Part I exam. のEquivalentを有する Candidatesは、Part I exam. は免除されます。
     
    自分はPh.Dを持っているために Part II のみを受験しました。
     
    第1日目
     
    Hong Kong島のAberdeenにあるHong Kong Academy of Medicine で行われました。
     

     
    会場に到着すると、香港大学のcandidatesがすでに来ているので、暫く話していると恐ろしく英語が Fluentな彼女がいる。
     
    もともとイギリス領であったホンコニーズの英語は抜きんでているが、話すスピードといい、発音といい、文法と言い、香港人の英語とは明らかに違う、、。
     
    聞いてみると、ロンドンで生まれて、数年前に両親が香港に転居したので、現在香港大学で勉強しているとのこと、、
     
    ヒエ~~ッ!!
     
    かの有名な北京大学の矯正科の先生達や上海第2医科大学の矯正科の教授などもいる、、。
     
    こんな人達と一緒に試験を受けるのかと思うと、だんだんビビってきました、、、。
     
    もっと勉強してくれば良かった、、、。
     
    暫くすると、examinerの先生方がお見えになり、Candidate No.の指示に従って自分の治療したFileを提出。
     
    自分は5症例すべて舌側矯正で治療したrecordを並べる、、、フ、フ、フっ。
     

     
    午前中は、矯正歯科一般に関するWritten exam. が3時間行われますが、大学のprofessor達と日本のPh.Dを持っている者はwritten examは免除ということになり、午前中はフリータイムに。
     
    フリータイムを使って勉強しようにも、落ち着かないので外に出かけることにしました。
     
    こうゆう事はマカセテおくれ。
    そう言えば、ここに来る途中に Floating restaurantの看板があった。
    気になっていたんですよ。
    タクシーに乗ってワンメーター走ると、目的のレストランを見つける。
    本当に浮いている。
    船だ!!
     

     
    そこまでは連絡船で行くらしい。
    迷わず連絡船に飛び乗り、昼食を食べました。
    安くて美味しかった、、。
     
    満腹の腹を抱えて、タクシーを拾って試験場に戻ります。
     
    午後は自分の治療したファイルを見ながらの Oral Exam.
    1人の先生の英語はほぼ100%理解出来て答えられたが、もう1人のイギリス人らしき人の英語がイマイチよくわからない、、、。
    英語と米語はこんなに違うのか、、ただ単に僕の英語力が足りないのか、、、と、唖然としながら、examinar の質問の内容をこちらからもう一度 repeatしてから答える。30分がアッと言う間でした。
     
    第2日目
     
    会場は、同じくHong Kong Academy of Medicine。
    この日の午前中は矯正歯科のあらゆる項目についての口頭試問。
    自分の番が近づくにつれて心臓が暴れる、、。
    何本か缶コーヒーを飲んで気を紛らわしていると、”Candidate Number 13 !” と呼ばれ、いざ出陣。
    幸いにも試験官の1人は、昨日の英語が分かりやすかった先生。
    ホッとしたのも束の間、歯科理工学に関することから、病理組織学に関すること、解剖学に関すること、成長予測に関することやら、矯正学の歴史に関することまで、難問が機関銃のように飛び出す、、、
    ひえ~~っ!!
    なんとか無事に答え、午前中は終了。
     
    お昼は再び昨日のFloating restaurantに。
    昨日と違うものを食べるが、安くて美味しい~~。
    試験中とあって、ビールが飲めないのがつらい、、。
     

     
    午後は臨床試験。用意されたRecordを見る時間が10分、それについてのOral exam.が10分。3症例なので、計60分。
    これもまた難しい問題ばかりを集めてくれましたが、何とかクリアしたという手応えはアリ。
     
    第3日目
     
    いよいよ最終日。
    今日の試験は Prince Philip Dental Hospitalの矯正科で、実際の患者さんを使って行われる。
     

     

    Prince Philip Dental Hospitalの矯正科
     
    5分間患者さんを診査したり、資料を見る時間を与えられ、計30分間で2人診た後、別室に案内され、口頭試問。
    自分の担当試験官は、M-Orth 試験の最高責任者である Edinburgh 大学の McDnald 先生と北京大学のZeng Xiang-Long 教授。
    プレッシャーを感じつつも、感動したのは2人ともすごくにこやかで、笑顔を絶やさない。
    聞き方も優しい。
    Gentleとはこの事を言うんだなあ、と、これだけでも得るものあり!
    試問には無事答えることが出来て、試験終了!
     
    3時半に合否の発表があり、会場に来てみると、先生方がみんな優しく、笑顔で合格者を迎えてくれて、一人一人握手してくれる。
    なんだか込み上げてくるものがあり、もう少しで泣いちゃうところでした。
    そう言えば、こんな試験、もう何年も受けていないもんなあ、、。
    毎晩2時まで頑張ってよかった!!
     

     
    その夜は Cocktail party と Dinner が Hong Kong Country Clubで行われた。
    examinarの先生方とワインを片手に話し合い、盛り上がった。何人もの examinarが、自分の提出した舌側矯正の治療結果は素晴らしいものだった、と言ってくれると、本当に嬉しかった。
    途中、何度かめげそうになったけど、頑張って本当に良かった!!
     
    最後に、受験にあたり自分を推薦してくださった恩師の出口先生、本当にありがとうございました。
     

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