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院長日誌

  • 2013/02/14

    My dearest Friend, Alain

    2013年2月7日、私の最も尊敬する、最も大切な親友である、パリ大学矯正歯科の教授であるDr.Alain Deckerが永眠しました。
    あまりのショックと悲しみに、何も言葉が出ません。
     
    診療中は、患者さんの治療に集中していますが、診療が終わって帰宅すると、悲しくてしょうがないです。
    ひろ矯正歯科の院長日誌に書くべきネタでは無いようにも思いますが、人が死ぬということは、どうゆう事か、生きるということはどうゆう事か、今一度、皆さんも考えて頂きたく、書くことにしました。
     
    Alainは、2011年、大阪でのWSLOの際に、彼を含めた十数名が私の医院に見学に来る予定でした。
    松本城観光に始まり、典型的な日本料理での晩御飯を用意していたのですが、3月11日の福島原発事故でフランス政府は日本への渡航禁止令を出したために、残念ながら来日中止となってしまいました。
     
    昨年、パリで一緒に食事をしている時に、「日本に遊びにおいでよ」と誘ったら、「もう少しでパリ大学をリタイアする、そしたらイギリスに引っ越すんだ、だから今、イギリスに家を作っているんだ、そっちが忙しいから無理だ」と言いました。
    もしかしたら、その時、彼はすでに彼自身の余命について悟っていたのかも知れません。
     
    パリでの夜は、私が牡蠣が好きなので、高級なレストランを予約してくれ、私が生牡蠣を片っ端から平らげるのを見て、何回も何回もおかわりを注文してくれました。
    超一流レストランでのワインと生牡蠣、途方も無く高額なディナーだったと思います。
    今年の春は私が彼を招待して、彼の好きな物を腹一杯喰わせてやろうと思っていたのに、、、叶わぬ夢となってしまいました。
     

    最近、悲しい事件が多すぎます。
    東北の震災で命を奪われた人達。
    笹子トンネルの管理不行き届きから命を奪われてしまった人達。
    コネチカットで銃乱射、命を奪われた人達。
    LAで冤罪を主張し、警官を逆恨みしての警官殺人。
    Guamでの無差別殺人。
    今朝、朝御飯を一緒に食べ、行ってらっしゃい、と、手を振って送り出した家族が、帰らぬ人となる。
    ついさっきまで、そこで一緒に御飯を食べ、一緒に酒を飲んでいた人が、酒を買いに行ったまま帰らぬ人となってしまう。
    人の命なんて、なんとはかない、なんとあっけないものでしょうか。
    でも、人間である以上、いつか死ぬ。
    必ず死ぬ。
    死なない人なんていません。
     
    いつ死ぬかわからないから、出来るだけ手を抜き、出来るだけ楽をするんだ、自分中心に生きるんだという人もいます。
    でも私は、いつ死ぬかわからないからこそ、常に自分に出来る限りのことを精一杯頑張って生きなければならない、自分は最後にして、人のために生きなければならない、と考えます。
    そして、自分一人で生きているわけではない、自分一人の力で今の自分があるのではないということを常に肝に銘じ、恩を受けた人に恩を仇で返すことが無いように生きて行きたい。
    人間は、いろんな人の恩を受けて生きています。
    親、恩師、友人、家族、、。
    私の親は現在、82才と80才で、幸いにも両親とも健在です。
    いつまでも元気でいて貰いたいと、毎朝手を合わせますが、いつ、何処で、どうなるかわからない。
    私の親は、とんでもない苦労をして私を歯医者にしてくれました。
    歯医者には、親が医者や歯医者で、何の苦労も無しに歯医者になった、開業する時には、土地付き、医院付き、患者付き、スタッフ付き、借金無し、という先生が多いです。
    それを妬む気持ちは全くありません。
    事実として言えるのは、私の親は、喰う物も喰わないで私を歯科大に入れてくれたということで、これがどんなに大変な事か学生時代は全くわかりませんでしたが、卒業して自分で働くようになって、やっとわかりました。
    今、私は矯正歯科医として成功していますが、今の私でさえ、子供が私立の歯学部や医学部に入りたいと言ったら、「頑張って国立に入って頂戴」、と言わざるを得ません。
    だから私は、恩を全うするために出来る事は、私自身が最高の歯医者になること、それ以上の恩返しはないだろうということです。
    金目当てで歯医者をしている、金目当てで矯正歯科医をやっている先生もいます。
    私はお金なんかどうでもいいです。
    正直、お金は欲しいですが、それよりももっと大事なことは、最高の治療をすること、最高の矯正医になることだと考えます。
    恩師への恩返しについても同様に考えます。
     
    自分の食べる分を取り分けておいて、子供には与えない親がいます。
    自分は飢えていても、自分は我慢して、子供に食させる親もいます。
    人生の価値観、家族や回りの人への価値観は人それぞれでしょうが、私は最低限、御世話になった人が死んだあとで、「ああしておけば良かった」、「あんなこと言うんじゃなかった」と後悔したくない。
    そう考えて、精一杯、毎日生きています。
    患者さんの治療にも、スタッフに対しても、家族に対しても。
    患者さんや、スタッフや、家族の期待を裏切らないように。
     

    Alainとの思い出を slide showにまとめました。

    興味ある方は御覧下さい。
     
     

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