11月の23、24日の連休、日本舌側矯正学会が名古屋のウインクあいちで開催され、本学会の会長の佐奈先生から特別講演を依頼されましたので、発表させて頂きました。
じつは、22,23日は私用で出掛ける予定が入っておりましたので、JLOAは参加しない予定だったのですが、会長から直々にお電話を頂いたとなると峻拒するわけにもいかず、24日でも良ければ受けさせて頂きます、とお返事させて頂きました。
私用というのは、まあ、趣味で三重に出向いていたのですが、趣味の空き時間に 幼少の頃から高校卒業するまでを過ごした三重県四日市〜鈴鹿あたりを散策してみました。
四日市市内は道路が広く拡張され、小学校の頃に自転車で遊んだ浜田小学校〜港中学校あたりは、当時の面影は無く、ガラリと変わっていましたが、JR四日市駅周辺と、千代崎、鼓ヶ浦の海岸、このへんは40年前と変わらぬままでした。
JR四日市駅、懐かしいな、、いつまでも変わらないでいて欲しいです。
23日は午前中で用が済み、午後から空き時間となりましたので、そのまま名古屋に向かえば JLOA午後のプログラムと懇親会に間に合ったのですが、何故かハンドルは逆方向に、、、プチドライブで「伊賀」に行って来ました。
何をしに行ったか、、、伊賀と云えば、伊賀忍法で知られていますが、目的は忍者ではなく、「ぎゅ〜」です。
牛肉と言えば、松阪牛が有名ですが、松阪牛のルーツは「伊賀牛」だということを御存知でしょうか。
以前、グルメ番組で伊賀牛のぶ厚いステーキ肉をフォークとナイフじゃなくて、割り箸で切るシーンを見ました。
こんな ぶ厚いお肉を割り箸で切っていました。
番組は一瞬チラッと見ただけだったので、何というお店かわからないのですが、まあ小さな町だし、行けばなんとかなるだろうと、何の下調べも無く向かいました。
番組では、白石神社の近くだと言っていたような、言っていなかったような、、。
でも、向かってみると、白石神社というのは、かなり人気のないところにあり、とても食事出来るところがあるような感じでは無く、Uターン。
結局、伊賀上野の市内に戻って、街中をグルグルと1時間ほど散策。
スマホで「伊賀牛」をサーチすると、美味しそうなお店がいくつかヒットしたので行ってみましたが、3連休の真ん中の日の お昼時だからでしょうか、何処のお店も長蛇の列で、断念。
結局、テレビで見たお店はわからずじまいで、 「ぎゅ〜」は またの機会に置いといて、名古屋に向かいました。
テレビで見たのは、和風の高級料亭では無く、黒っぽいカウンターの、どちらかというと入りやすそうな感じのお店でしたので、もしもお心当たりのある方がいらっしゃいましたら、御連絡頂けましたら嬉しいです。
幻の 白石神社あみ焼き牛ランチ
その夜は名古屋市内のホテルに泊まり、翌日の講演の準備です。
翌朝は、いつもより少しゆっくり寝て、JLOAの会場に向かいます。
講演は30分、内容は先日のインドの学会で紹介をした Mienai Lingual Bracketと、それにつづいて World Board of Lingual Orthodonticsについての私なりの意見を述べさせて頂きました。
もともとは、WBLOについては触れる予定はなかったのですが、Pre-Congress courseで布川・松野両先生が、「最難関な WBLO(World Board of Lingual Orthodontists)試験に合格するための方法」、という題目でコースをされていること、そして、先日のESLO の Active memberの申請には、リンガルで治療したのではない症例を提出している日本人の Candidateがいたこと、そして JLOAが Active memberという呼称を「リンガル認定医」と変えたこと等々について、私なりの意見を述べさせて頂きました。
私はこういった認定試験の審査は、Anonymousであることが絶対条件であると思います。
いろん学会の試験が匿名を詠っていますが、本当に100% 匿名の試験、つまり、試験官が審査している症例は、誰が治療したものであるか全くわからない、同時に、どの症例をどの試験官が評価したのかわからないという100%匿名の試験は、私が知る限りありません。
私が受験した頃のEBOはこの辺はかなりシビアに行われていたようですが、最近は Examiners や Candidatesに いろんな人が入り込んできて、状況が少し変わりつつあると聞いておりますし、殆どの試験において試験官は自分の審査している症例が誰によって治療されたのか等を知っており、私的感情や政治的影響力が少なからず関与していることが多いようです。
その点、日矯の専門医試験は、過去に某大学の教授が不合格になっている事などを鑑みると、かなり公平な形で判定されていると思いますが、症例の難易度が定められていないことなど、改善されなければならない点もいくつかあると思います。
どの学会も行っていない、完全に匿名で、万人に公平な試験にする決定的なアイデアはありますが、ここで記すつもりはありません、スミマセン。
それから、日本舌側矯正学会が「Active member」という呼称を「舌側矯正認定医」と改変したことは、私は賛同できないということも述べさせて頂きました。
なぜなら、舌側矯正は、普通の外側の矯正に比べて遥かに高度な技術を必要とし、診断能力、治療に関する知識も通常の矯正のものに加えて、数段ハイレベルなものを必要とするわけですから、外側の矯正治療でOKである「日矯学会の認定医」を持っていない者が、「日本舌側矯正学会認定医」を持っているという事は、おかしいと思いませんか?
逆上がりの出来ない人間が、いきなりムーンサルトをやったら、大怪我するのは間違い無いからです。
ハーレーに乗りたければ、まず、自転車を乗れるようになる、これが当たり前だと私は思います。
ですので、こういった認定試験は匿名条件であるだけでなく、受験資資格も厳しく絞り込まないといけないと思います。
さらに、日矯認定医に合格しないから、海外の試験にトライする、これはまあ基本的には自由ではあるのでしょうが、Applyする人間のモラルの問題で、そういった事は遠慮するのが良識ある歯科医ではないかな、と私は思います。
先方の先生達にとって失礼であり、非常識です。
WBLOに関しては、2010年に「もっと煮詰めてからスタートすべきである」という、いろんな先生の意見を尻目に、見切り発車的にスタートしてしまった事で、日本や韓国の先生達が、まさに世界の頂点に立てる機会を永遠に逸してしまった、その事が私は残念で仕方がありません。
私は、WBLOは Orthodontic Boardの最高峰であるべきだと考えていました。
それを実現するには、WBLOを持っている人間が、「自分らはトップだ」と言ったところで笑われるだけなので、きちんと整備して、誰が見ても「こいつらはクレイジーだ、こいつらはNo.1だ」と言われるような WBLOにしなければならないと 私は考えていました。
ところが、私が何か意見すればするほど、ヒロはウザイと罪人扱いされ、挙げ句の果て、JLOA理事会に出向いたら、「廣先生来ているけど、入れていいのか」とまで言われ、何処に行っても四面楚歌、おしまいには「ヒロは除名しなきゃダメだ」とまで言われましたが、私は自分の私利私欲で言っていたのではありません。
矯正歯科という医学の基本を遵守し、何処に出しても恥ずかしくない素晴らしい治療を舌側矯正でキチンと行っている先生がいるのだという事実、そういった臨床家の先生達に世界の矯正歯科界のトップに立って欲しかった、誰にも文句の付けようが無い Boardを作って欲しかった、それだけなんですが、、、今となってはどうしようも無いです。
まあ、人生一度しか無いですし、時間も限られているわけですから、今後は自分の必要な学会だけを選んで会員資格を継続し、そうで無い学会は退会してゆこうかな、と考えております。
認定関係については、自分は European Boardを全て舌側矯正で出して合格しているわけですから、この先は、日矯の専門医と EBOだけでOKかな、と思う今日この頃です。
発表のあと、早々に会場を後にし、からめ亭で あんかけスパを食べて帰りました。
あんかけスパはいろいろありますが、私はここのナポリが一番好きです。
最後に、これは心からのお願いです。
自分はいろんな認定試験の Examinerも、関わるつもりはありませんし、関わりたくありませんので、絶対に自分を引き込まないでください。
年内の学会発表は、このJLOAで終わりですが、すでに来年の学会の準備に追われています。
忙しい、忙しい、、。
2014.12.09 追記;
このたび、JLOAを退会したい旨を連絡しましたところ、本日、会長から退会届け受理の旨のメールを頂きました。
今後は、出るとすれば、会員外の一般で参加させて頂きます。
したがいまして、JLOAの「舌側矯正認定医」も、私はありません。
9月13日から16日、インドのムンバイにて、インド舌側矯正歯科学会 が開催され、特別講演を頼まれましたので、行って来ました。
インドでも舌側矯正専門の学会は満員でした。
じつは、インドの先生達からは、数年前から来てくれと お声を頂いていたのですが、なかなかスケジュールが合わず、毎年断っていました。
昨年の夏頃でしたでしょうか、今回の学会の日程と招待についてメールを頂いたのですが、やはり予定が入っているのでと辞退したところ、Hiroの来れる日に学会の日程を変更するから、都合のつく日を教えてくれ、とのこと。
そこまで言われると、断るわけにはいきません。
ナントカ舌側矯正学会の会長なら兎も角、僕ごとき ヒラの田舎の矯正医の事情で 学会の日程を変更しちゃだめだ、なんとかスケジュール調整して行きます、と返事をしたのですが、、、まずビザの申請が大変でした。
約1ヶ月前のお盆前に 東京のインド大使館に申請書類とパスポートを送ったのですが、待てども帰ってこない。
電話すると、「あ〜〜ヒロさんのは、書類不備で止まったままですね〜」とのこと。
なんてこった、電話していなければ、いつまで経っても返送もされて来なかったってこと?
学会に間に合わないから、すぐ送り返して下さいと頼み、書類を一から作り直して送りましたが、あと1週間しかない。
2日前になってもパスポートが戻って来ず、何度かインドビザ申請センターに電話しつつ、もしかしたら行けないかも知れない旨を ILOCにもメールをしていたのですが、電車の出発当日の朝、パスポート、ビザが戻って来ました。
診療を午前中で終え、パスポートとスーツケース片手に昼飯も食べずに特急あずさに飛び乗りました、、やれやれ、、。
羽田発 全日空機でムンバイのチャトラパティ・シヴァージー国際空港に到着、空港内は他の空港と同じなんですが、、。
お迎えの先生を見つけ、車に乗り、ホテルに向かいます、、、街に出て唖然としました。
空港周辺はいわゆる「スラム」(この言葉は好きではありません)で、走っているバスもボロボロ、靴を履いていない人や、服を着ていない人が道路を歩いています。
トゥクトゥクと原チャリがバスや車の僅かな隙間を縫って、クラクションをブーブー鳴らしながら走り抜けます。
学会が用意してくれたホテル、Hotel Lalit Mumbaiに着いて、また驚きます。
まず、ホテルの敷地内に入るのに、成田空港のような車両チェックがあり(成田のような形式だけのチェックではなく、一台一台真剣にチェックしていました)、そして車を降りて、ロビーに入る際にも、空港と同じレベルの検査。
ホテルから見る景色はこんなで、今にも崩れそうな建物にブルーシートがかけられています。
これらは全てお店であり、住居でもあります。
チェックインして、会長の Dr.Pravin Shetty、Co-chairmanの Dr.Jignesh Kothari、そしてSecretaryの Dr.Tushar Hegdeが 晩御飯に招待してくれます。
ホテル1階のレストランに行こうと言われたのですが、僕はインド料理が食べたいとリクエストしてみました。
案の定、とても美味しいディナーでした。
翌日13日とその翌日は、朝から Pre-congress courseです。
学会に招待されたときに、受けてみたい旨を伝えましたら、こちらも無償で参加させて頂けました。
プレでも何か講義してくれ、と言われたのですが、遠慮させて頂き、2日間、聞き手で参加させて頂きました。
プレコングレスコース終了時の記念撮影
滞在中は、朝からインド料理を頂きました。
美味しいからたくさん食べてしまう、、帰って来たら 5㎏太っていました、、。
翌15日は、学会初日です。
先日、イタリアのコモで開催されたヨーロッパ舌側矯正歯科学会会長の Dr.Vittorio Cacciafestaは 2D Lingualについて、インドの Dr.Jignesh Kothari、Dr.Pravin Shettyの両先生は、CAD/CAMを使った Customized Lingual Bracketsについての講演です。
Customized Lingualの元祖といえば Incognitoですが、開発者の Dr.Dirk Wiechmannは、現在は Incognitoの権利を3Mに売却し、現在はオリジナルのシステムで治療を行っています。
今回の学会でも、他の舌側矯正学会と同じく、Incognitoの Userがプレゼンをしていましたが、今回は非常に気分が悪かったです(いつもは別にそう思いませんが)。
彼は自分がスーパードクターだと言わんばかりの講演で、私は、「クラシックカー」だと馬鹿にされました。
自分が這い上がる手段として、人をおとしめたり、人を馬鹿にしたりする。
負けて悔しいなら、人一倍努力すれば良いことで、ひとの邪魔をするべからず、それが私の考え方であり生き方です。
学会という公の場で こうゆう事を平気で言う「奴」は、人間的レベルも、矯正学的レベルも推して知るべしで、私に言わせれば、 Incognitoは 彼が考えたわけでもなく、ただのユーザー、それを宣伝して回るというのは、3Mのinstrumentにすぎない。
診断はコンピュータに委ね、装置は prescriptionから何から何までメーカーが作ったものを使用し、治療に用いるワイヤーもまたメーカーがベンディングマシンで屈曲したものを入れる。 Bending freeだとか、Low profileだとか、Classic carだとか言う前に、矯正歯科の基礎から勉強しなおせよ、と言いたいです。 なぜなら、彼の治療は矛盾だらけで、歯科矯正学という学問の基本原則をも守っていない。
学会で人の事を馬鹿にする前に、日本に来て、恐ろしいハイアングル、 恐ろしい叢生の症例を治してみろ、と言いたいです。
日本の矯正専門医の先生方は、僕の言っている意味は容易におわかり頂けると思います。
翌16日は学会2日目、10:30から30分間、僕の出番でした。
新しいリンガルブラケットの紹介と、全て自動化する事の危険性についてお話ししました。
そうです、昨日の彼に意見をいうために、朝からプレゼンを作り直したのです。
でも、彼は会場に居なかったようですが、、。
別にジョブスの真似をしているわけではないんですが、質疑応答で答えている時は、こうなりました、、。
講演を終えて感謝状を頂き、すぐにチャトラパティ・シヴァージー空港に向かい、帰路に就きました。
翌日からは、いつもどおりビッシリと予約の入っている患者さんの治療に戻りました。
今回の学会も観光など一切無しの仕事オンリー、世間には「学会」という名目のもとに観光旅行をしている先生もいますが、自分ものんびり観光したいなあ、、、。
Presidentの Dr.Pravin Shetty
お招き頂いたことを心から感謝します。
2013年10月7〜9日、松本市のキッセイ文化ホールにて、第72回日本矯正歯科学会大会が開催されました。
日本矯正歯科学会大会は、全国に29校ある国公私立歯科大学が順に主管となって開催されるもので、今年は松本歯科大学に順番が回ってきたために、松本市で開催されました。
今から23年前、私が医局に在籍した当時、松本歯科大学が主管となり、第49回の日矯学会を開催したことがありましたが、当時は松本市内には数千人規模の宿泊施設を確保することが不可能であったことに加え、大きな会場もなかったために、長野市の県民文化会館で行いました。
今と違って、コンベンションサービスも無いに等しい状態で、会場設営から、演題採否から、抄録集印刷から、まさに1から10まで全て、吉川先生の陣頭指揮の もと、私達医局員が徹夜で準備し、学会当日はホテル不足のために、私達医局員は旅館の大部屋に雑魚寝したのを思い出します。
この旅館は、今は結婚式場とレストランとして存続されており、歴史のある素晴らしい建物の中で、礼儀の行き届いたスタッフが対応してくれる素晴らしいお店です。 皆様も長野市に行く機会がありましたら、是非お食事をお楽しみください(事前予約されたほうが良いと思います)。
今回の日矯学会では、私が新しく開発したオリジナルの舌側矯正専用ブラケット、すなわち mienai lingual bracket systemと、もう一つ、セルフライゲーションブラケットについて学術展示を行いました。 今や舌側矯正用ブラケットは各社からいろんな物が販売されていますが、本当に満足の出来るブラケットは無いだけでなく、中にはワイヤーの性能を十分に発揮する事さえ出来ないブラケットも販売されています。
そういったブラケットを使用することで迷惑するのは、患者さんであり、私達矯正歯科医です。
そこで、まず絶対条件として、矯正医の意志に忠実に歯のコントロールが出来るブラケットを開発することを目的として、Normal ligationの .018 Horizontal slotのブラケットを開発しました。
そして、Self ligationの物は、蓋が確実に閉められるだけでなく、ワイヤーに押されて蓋が勝手に開いてしまう事が無い、しかも角がない round shape、かつ表面が滑沢な flash surfaceで、軟組織を傷害することがないというもので、トルク設定を変えるだけで通常の外側からの矯正用ブラケットにも、舌側矯正用ブラケットにもなるという優れものです。
現在、ひろ矯正歯科で使用している超小型のブラケット(Hiro brackets)も、私のオリジナルで、これは1996年に製作、治療に使い始めてから17年が経過します。
Ormco社製 Kurz applainceを使っていた頃は、舌が痛い、話が出来ないなどの問題で治療を中断する患者さんが非常に多かったですが、Hiro bracketsに切り替えてから、患者さんの苦痛は劇的に改善され、現在でも良好な治療結果を得ています。
今回のブラケットは、この Hiro bracketとは全く次元が違う、まさに素晴らしい Lingual applianceです。
2014年2月頃には販売開始の予定ですので、患者さんの皆様、矯正医の先生方、御期待下さい。
学会の前日の日曜日は、竹元先生御夫妻を善光寺〜白馬ジャンプ競技場に御案内、そのあと、温泉で晩御飯も御一緒させて頂きました。
今の自分があるのは、竹元先生のおかげで、常々感謝しております。
先生とはリンガルの学会などで毎年何度かお会いしますが、いろんな事をお話させて頂く機会はないので、とても貴重な1日でした。
1日中、快晴に恵まれました。 ヒルのてっぺんは、さすがに怖かったですが、飛んでいるのを間近で見れたのはラッキーでした。
学会で目にとまった発表は、まず、 North Carolina大学 Sheldon Peck教授の「Extractions, Retention, and Stability: The Search for Orthodontic Truth」という講演でした。
矯正歯科では何故抜歯をすることがあるのか、何故健康な歯を抜くのか等々理解出来ず、「抜かずに治してくれる先生を求めて何百里」という患者さんもいますが、私達矯正歯科医は、抜きたくて抜いているわけではなく、出来る限り抜歯を避けたいと考えていることを御理解ください。
抜歯治療では、矯正歯科学の evidenceに基づいた診断能力が求められるだけでなく、抜歯空隙の閉鎖の際に起こる side effectをコントロールする技術や保定に対する配慮等々、非抜歯治療に比べると遥かに高度な知識と治療技術が必要となります。
抜かないで治そうと思えば、患者さんの歯にブラケットを貼って、ワイヤーを通すだけで歯は真っ直ぐにはなり、とっても簡単、very easy、治療の技術も何も必要ないですが、こんなものは矯正治療ではありません。 ただの「歯並べ」、「矯正ごっこ」です。
患者さんも、「何処に行っても抜かないとダメだと言われたのに、●●歯科では抜かないで治して貰えた」などと喜んでいてはいけません。 抜歯をすべきなのに、非抜歯で治療したために、前歯が極端に前方傾斜したり、無理な拡大で歯根が歯槽骨から飛び出してしまったり、取り返しのつかない事になっている患者さんが何と多いことか!
Peck教授は、抜歯の判断基準は、大学によっても先生によっても異なるということを日本の各大学や開業医の抜歯の percentageを比較され、驚いたことには、日本には抜歯率0%(すなわち非抜歯100%)というドクターが居るという事にまで言及され、「このドクターは矯正歯科というものをわかっていない」、「異常である」と仰っていました。 全く同感です。 ドクターと呼んで良いのでしょうか、、。
さらに、昨年に続き、歯材協の小川さんは、医療過誤の症例を提示され、あまりにもひどい治療が多い、矯正学の基本というものを全く理解していない先生がいる、という現状について話され、滅茶苦茶になっている症例の資料を患者さん了解の上で公開され、「実践なき者は証明無し、証明なき者は信用無し、信用無き者は尊敬無し」、「一般歯科医や社会に対し、リスクを含めた矯正歯科の正しい情報発信が必要である」と、力説しておられました。
これらは、私が日頃から ひろ矯正歯科のホームページに書いている事ですが、私は、患者さんへの情報発信ももちろん必要ですが、歯科医自身が「勉強は自分でする」、「自分に出来ないことはしない」、「嘘をつかない」等々、医療人としての最低限のモラルを守ってくれない事の方が問題であると思います。
患者さんも、今や情報収集は昔とは比べものにならないほど簡単に、広く深く出来るわけですから、基本的な知識を勉強してから受診されれば、取り返しのつかないことにはならないんじゃないか、と思います。
私は、一般歯科の先生は矯正をやるなとは言いませんが、目を覆いたくなる症例が非常に多いことは事実です。 「患者さんは模型実習では無い」、「やる以上はきちんと責任を持ってくれ」、ということを言いたいのです。
このブログを読んで腹を立てた先生は、自分の手を付けた症例を世界で認められている試験機関に提出してみて、評価を仰いで貰えばいかがでしょうか。
患者さんは先生方の小遣い稼ぎのカモではないのです。
治療前の写真を撮れなかったので、この状態が如何に滅茶苦茶であるか、おわかりにならない方もいらっしゃるでしょうが、、、。
ホームページにこんな事が書いてある医院は、行ってはいけません。
さらに日矯学会からは、専門医制度についての現状について説明がありました。
すなわち、日本矯正歯科学会と、後から学会となった発足した日本矯正歯科協会、日本成人矯正歯科学会が、それぞれ専門医制度を設けており、厚生労働省は基準を統一することが必要との見解であるとのことでした。
私が思うに、日矯学会は他の2団体に対し、専門医制度を即刻やめるように通達し、従わない場合は、関係者を日矯学会から除名・退会処分とする、それくらいの迫力を見せて欲しいと思います。
このままでは、迷惑するのは日矯学会だけで無く、日本矯正歯科学会の会員でもあるのですから!
●●党議員が 党の政策に従わず、しかも妨害行為に走れば、即刻離党・議員辞職になるのは当たり前なのです。
折しも、日本舌側矯正歯科学会が先日、「アクティブメンバー」から「認定医」と名前替えを行った事も、何故にこのタイミングでそうゆう浅はかなことをするのかと、全く理解に苦しみます。
これを機に、自分の加入している学会を今一度見直し、本当に必要な学会以外は退会しようと考えております。
今回の日矯学会開催に際し、Dr .Germain Beckerが来日され、ひろ矯正歯科を見学されました。
じつは、2011年4月、WSLOが大阪で開催された際に、学会の前に Alain Decker教授や Lionel, Germainや奥さん達、総勢10名ほどで ひろ矯正歯科に診療見学に来られる予定だったのですが、直前に東日本大震災による原発事故が起きたために、フランス政府は日本に渡航禁止を発令、来れなくなってしまったのでした。
Alainや Germainと お気に入りの海鮮居酒屋に行くことを楽しみにしていたのに、キャンセルとなってとても残念でしたが、Alainが今年の春、逝ってしまったため、叶わぬ夢となってしまいました。 彼の死は、いまだに信じられないです。
学会も終わり、搬出がみんな終わっていますが、Germainに新型ブラケットについて説明しているところです。
10月8日の晩御飯は、Germain御夫妻と瓜生先生を ヒカリヤニシにご案内。
10月9日のお昼は、瓜生先生の弟さんと技工士さんも加えて、メゾンドヨシダに、
10月9日の晩御飯は、かつ玄にご案内しました。
政治目的でこうゆう接待を行う先生が多いですが、私はそういった政治力には全く興味ありません。
ナントカ学会の会長という肩書きなどなくても、世界の先生達は私を inviteしてくれています。
Germainには、いつもヨーロッパで御世話になっているので、その御礼で接待した、それだけです。
こうして友達が遊びに来てくれるというのは、嬉しいものですね。
11月末は、バルセロナの大学に呼ばれています。
年内の出張はそれで終わりの予定です。