European Society of Lingual Orthodontics の Biannual meeting が、7月の3~6日、 France の Cannesで開催されました。
長野県の片田舎で開業してはいますが、世界で第一号の World Board of Lingual Orthodonticsを頂戴いたしました。
ESLOはヨーロッパを中心とした舌側矯正の学会です。
舌側矯正に限定した学会としては世界最大で、発足以来16年を迎えます。
たった16年かと思われるかも知れませんが、矯正歯科事情に詳しい方なら、この20年間で矯正がどれほどの変革を遂げたか、おわかり頂けると思います。
特に舌側矯正においては、Thermo-activated wireの登場や、新しいブラケットの開発、新しい技工技術の開発等により、一昔前の治療と比較すると、同じ結果を得るための難易度、道のりは、全く次元が違います。
ここまで至るには、世間で舌側矯正はダメだと言われても、決して諦めずに頑張って来られた先生達の尋常でない努力のおかげであることを 私たちは忘れてはなりません。
患者さんの快適性も現在の舌側矯正は一昔前とは別物です。
舌側矯正は、治療期間が長いのでやめたほうが良いとか、ちゃんと治らないなどと、いまだにそんな間違った情報を患者さんに提供している歯科医師がいますが、舌側矯正の正しい知識と技術を身につけ、毎回適切に処置を行えば、舌側矯正は外側の矯正と同じ治療期間で同じ治療結果が得られるだけでなく、過蓋咬合や開咬などの症例によっては、外側の矯正よりも短期間で、外側よりも優れた結果を得られることもあります。
アメリカでは、お国柄から舌側矯正は殆ど行われていませんが、アジア、ヨーロッパでは需要がきわめて高く、ゆえに舌側矯正学会の演題も目一杯となってきております。
そのような事情から、本学会では、世界的に有名な先生方を含めて全ての先生が一律15分間の口演でしたが、私はなんと、土曜日の Alain Fontenelle Honor Lecture 30分間を1人任され、その上に日曜日の President’s Closing Ceremony and Closing Lecture 30分間をも務めさせて頂くという素晴らしい機会を与えて頂きました。
また、症例展示のコーナーでは、Honorary Case Presentationとして、European Boardに提出した資料を模範展示するよう依頼されましたので、僭越ではございましたが、御指名でございましたので大役を務めさせていただきました。
会場の Hilton Cannes改め、Palais Stephanieです。
空調が行き届いておらず、学会場はムシムシして快適とはいえませんでした。
週末には、なんでも Ministerが宿泊するとのことで、部屋を移動することを強いられた先生が多かったです。
ESLO学会入り口にて。
緊張しているわけでも、怒っているわけでもありません。
めちゃくちゃ眩しかったんです。
いよいよ、Alain Fontenelle Honor Lectureの開始です。
会長の Alain Decker先生が私の紹介をしてくれます。
後ろにいるのは、前回のVenice meetingの時の会長 Velo先生と セクレタリーの Garino先生です
え? 緊張したかって?
しないんですよ。
なぜだかわかりませんが、ステージに立って緊張したことがないんです。
Officai languageは英語とフランス語ですが、フランス語など全く話せないので、英語で講演です。(英語も下手くそですが、、。)
この Lectureでは、Power Pointによるプレゼンではなく、“Movie”でプレゼンを行いました。
なぜなら、会場が Cannes、Movie Festivalで有名な地ですから!
この Movie撮影に際しては、プロに頼んで、患者誘導~歯面清掃~Lingual Bracket装着~wire set~写真撮影~注意事項説明~Brushing指導~発音テスト~患者退室までをノーカットで録画したもので、28分間のMovieです。もちろん、最新の Hiro Systemにて装着を行いました。
会場にいた日本人の先生から、「これ撮るのに時間かかったんだろうな~」という声が聞こえてきましたが、じつは、この Movieは NGなしの本番一発でした。
いつも患者さんにしているのと同じ事を録画しただけなので、NG無しは当然です。
親友 Fernandoも口演しました。
彼は、新しい Hiro systemの紹介と、新発売の Hiro Bracketsの紹介をしました。
症例展示のコーナーでは、Honorary case presentationとして、European Boardに提出した資料を展示しました。
壁際に展示されているのが、Active memberの審査に通過した症例です。
部屋の真ん中の Island tableが 僕のEBO展示のために特別に用意されたコーナーで、ファイル、模型の他に、模型をスキャン、デジタル変換して展示されていました。
これはマウスでいろんな操作ができ、例えば術前術後の犬歯間幅径を比較することなど朝飯前です。
今回の学会では、私のオリジナルブラケット“Hirobrackets”の販売が開始されました。
このブラケットは、今から10余年前、舌側矯正では Kurz Appliance一色であった時代に、発音障害・舌の痛み・Double Over Tieなど様々な問題を解決するために、私があるメーカーに依頼して特注で製作してもらってから、現在もなお使用し続けている物です。
今まで、非常にたくさんの先生から自分も使いたいのだが、どうしたら入手できるかと言われ、私自身も何度も販売してくれと働きかけましたが、企業間の難しい事情があるのでしょうか、今なお販売には至っておりません。
「売らない」と言われると諦めるのが普通ですが、どうしても使いたいからと諦めきれずに、とうとう独自のルートで同じブラケットを製作し、販売にこぎつけた先生がいます。
スペインのUICの教授である Igresia先生で、販売元はMedics XXIです。
この装置は、患者さんの快適さを第一に、しかも治療のしやすい舌側矯正装置というコンセプトで作ったものです。
最近は同様のコンセプトでアドバタイズし、販売されている物がいくつか出回っていますが、私は特に盗んだの、コピーだのとクレームをつけるつもりはありません。
土曜日の夜、恒例の Gala Dinnerです。
学会が全て終わり、Germain Becker先生と昼食を
仕事が全て終わった後のビールは格別です。
そよ風が気持ちよかったです。
親友の Fernandoとスペインの先生達と一緒に。
松本歯科大学矯正学講座の影山先生と Ocean terraceの Restaurantで Dinnerを御一緒しました。
以前から松本歯科大学矯正学講座の先生には、リンガルをやるなら絶対に ESLOに来なきゃダメだと、しつこいほどお誘いしておりましたが、参加された先生はおりませんでしたので、今回、影山先生は松歯大矯正の先生としては初参加でした。新任の山田教授も何度かお誘いしたのですが、お見えにならなくて残念でした。
影山先生には、実際に参加して頂いたことで、どうして自分が何度も誘ったか理由がおわかり頂けたと思います。
広い視野で物事を見ている人間と、自分の知っている世界だけで生きている人間とは、おのずと差が出てきます。それが、対患者さんに影響するのですから、閉じこもっていてはいけないんです。矯正は勉強してもしても、しすぎということはない、一生、死ぬまで走り続けないといけない、これが私の考え方であり、生き方です。
日本に帰って、時差ボケで寝ているヒマはありませんので、翌日から診療です。
世界初の Lingual Board受賞に、たくさんの患者さんからお祝いのメール、お祝いのお言葉を頂きました。
患者さんから、受賞のお祝いとして こんな立派なお花や、差し入れを頂きました。
本当に嬉しいです。有り難うございました。
東京や大阪など、大都会で開業している先生が「世界初のLingual Board受賞」となると、テレビや新聞で話題騒然となるのでしょうが、長野県の片田舎、人口6万人の塩尻市で開業している矯正医が受賞したとなると、「大した事ないで賞」となってしまって、取り立てて話題にもなりませんが、いいんです。そんなことを目的に一生懸命治療しているのではありませんから。
昨今の原油価格高騰、物価上昇等で、倒産する歯医者もいるそうです。
経費削減のために、注射針の使い回しをしたり、増収のために架空請求等々医療関係者の不祥事が頻発し、医療不信が増大しています。国会議員の常識では考えられない税金の無駄使いが次々に発覚し、厚生年金の不始末に高齢者医療の改悪。国は自分たちの過ちを改めようとせず、弱者から吸い上げることを考えるばかり。一体日本はこの先どうなってしまうのでしょうか。
田中角栄は良くない事をして捕まってしまいましたが、角栄さんは、国民のために何が必要かを知っていましたし、最終的に国民が良くなる政治をしてくれました。
最近は、、、一般人がやったら即刻逮捕されるようなことを平気でやるのが役人であり、それがバレてもクビにもならない。
どんな職業であれ、1人1人がモラルと使命感を持って、自分の仕事に責任とこだわりを持てないのでしょうか。
まったく情けなくなります。
ひろ矯正歯科では、診療の度に長時間お待たせして申し訳なく思っておりますが、私たちは嘘は一切つきませんし、ミスがあれば即座に誠意を持って謝罪します。
自分に出来ないことは「出来ない」と正直に申し上げます。
使い回し等の医療モラルに反することは徹底排除しています。
例えば、患者さんの歯面清掃をするロビンソンブラシ、ラバーカップなども、通常は消毒して他の患者さんに使うのが当たり前ですが、ひろ矯正歯科では、一回っきり、全て使い捨てです。
プライヤーなど、患者さんの口に入る物の消毒は、ホルマリンガス滅菌、高圧蒸気滅菌、薬液滅菌等々を使用し、診療グローブもすべて使い捨てで、他の患者さんの口に手を入れた物を石鹸で洗って使う「使い回し」は一切しておりません。
安心して治療を受けていただけるよう、細かいところまで、精一杯努力しております。
診療の際に差し入れを下さったり、旅行に行って来たので、と、お土産を頂いたりすると、一生懸命やっていて良かったと、本当に嬉しいです。
これからもスタッフが一丸となって、患者さんに喜ばれるよう努力を続けて参りますので、宜しくお願いいたします。
求人情報:
ひろ矯正歯科では、歯科衛生士、歯科医師を募集しています。
興味のある方は、お気軽にメール<info@mienai.com>
或いはお電話 0263-54-6622 ください。
御連絡をお待ちしております。
日本の舌側矯正の集まりである、JLOAの20周年記念大会が3月20日、大阪の中之島センタービルで開催されました。
特別講演として、今年のESLOのSecretaryの Germain Becker先生が来日されました。
Germain Becker先生です。
尊敬する松野先生 現JLOA会長です。
尊敬する小谷田先生
僭越ではございましたが、御指名でございましたので、
座長は私が務めさせて頂きました。
いつもは自分がCertificateを貰う立場ですが、
この日は僕がBecker先生にお渡ししました。
翌日は良いお天気で、奥様と奈良観光を楽しまれました。
Becker先生、鹿にビックリ!
今まで、学会などのブログは講演内容などもある程度紹介してきましたが、、、今回はオミットです。
何故か、、、。
書きたいけど書けない、、でも書かないと、わからないでしょうか、、。
学会や学術会は公の場であり、意見を交換するところです。
個人のアピールをしたり、個人のバッシングをする場ではないはずです。
講演内容までは学会側でチェック出来ないので、学会の落ち度ではなく、これは個人個人のモラルの問題です。
若手の先生方も、前夜、あれほどのバイタリティがあるなら、それを違うところで生せないのかなと思いました。
将来を担っているのですから、発表なども頑張って下さい。
日本舌側矯正学術会例会が11月23日、東京の都市センター会館にて開催されました。
本大会で話をしてくれないかと会長の松野先生から御連絡を頂きました。
諸先輩をさしおいて 僕ごときがしゃしゃり出るべきではないと、ご辞退申し上げたのですが、是非にとのお言葉を頂きましたので、僭越ではございましたが、舌側矯正に必要なラボラトリーワークについてお話しさせて頂きました。
トップバッターは、パリ、ロンドンなどで舌側矯正専門で開業している Fillion先生。
次に、南青山の小谷田先生。 東京、南青山です。
次に、九段の竹元先生。 千代田区。 靖国神社の正門前です。
で、謎の人物登場、、、僕です。 「塩尻市? おい、塩尻市ってどこだ?? 人口6万人だってよ、、。 長野の山奥だってよ、、。」って声が聞こえてきそうで、、。
しんがりは、大阪の布川先生。大阪府、です。
Fillion先生は “Hiro System”を紹介して下さいました。
今回はジョーク抜きで硬く行こうと思っていたのですが、小谷田先生のお話はいつも通りのユーモアーたっぷりで、すっかり僕のボルテージが上がってしまい、僕も急遽ジョークを追加しました。
ラボの話を、ということだったのですが、ラボの話だけして、「あんた、治せるのか?」と思われては、ラボが大切だという言葉も説得力を持たなくなりますので、まずは European Boardの8症例, Growing case, LSWA, Kurz, Creekmore, STbに加え、僕オリジナルの Hiro Bracketsによる治療例、Micro Implantの症例など、21症例ほど御紹介した後、本題のラボの話に入らせて頂きました。
本当は28症例、計688枚のスライドだったのですが、時間の関係から急遽削除して臨みました。
時間が押していたので、大事なことを言うのを忘れてしまいました。
現在、歯科医師募集中です、って言おうと思っていたのに、、。
会場は超満員で申し込みをお断りするほどの盛況であったそうです。
締めのお言葉は、会長の松野功先生。
「舌側矯正は、時間がかかる、ちゃんと治らない等々の説明をする先生が多いですが、今や外側と同じ治療期間で同じ治療結果を得ることが可能です。 患者さんには、正しい情報を提供するのが私たち医療人としての使命です。 時間がかかる、ちゃんと治らない等々の説明をしたい先生は、『私が治療すると、時間がかかります』、『私が治療すると、ちゃんと治らない』と、言ってください」と おっしゃいました。
これには全く同感、さすが松野先生、良いことを仰いました。
じつは、こうゆう説明は日本だけでなく、世界中で見られることなのです。
つい先日までは舌側矯正の事をボロクソに言っていた先生が、ある日突然、舌側矯正を始める、、、おかしいと思いませんか? だったら最初から、松野先生が仰るように、「自分はまだ経験不足なので、、、」と、患者さんに正直に言えば良い。
お医者さんは自分の手に負えないと判断したときは、躊躇なく然るべき病院を紹介します。 勉強しているから、他医に紹介することを恥だとは考えない。 ところが、歯医者は、なんだかおかしい。 「自分に出来ない」ということを恥だと思っている先生が非常に多い。 自分の勉強不足を恥だと自覚するなら、ゴルフや麻雀を少し減らして、勉強すれば良い。
勉強している先生は、お互いの専門性、得意分野を理解し合い、紹介する際には自信をもって紹介状を書きます。
あまり書くと、また風当たりが強くなりますので、このへんでやめときます。
次回の日本舌側矯正学術会は 3月20日の予定です。
皆さん、是非ご参加下さい。