スペインはバルセロナのカタルーニャ国際大学歯学部歯科矯正学講座から舌側矯正全般と Hiro system Laboratory workに関する特別講義をしてくれと、大変光栄な御招待を頂き、行って参りました。
スペインの大学のシステムは日本とはかなり異なり、矯正科には15余名の教授がいます。
筆頭教授は、Professor and Chairman の Andreu Puigdollers先生で、その門下に十数名の著名な教授達がいます。
Professor達は皆開業しており、週に1日以上大学に来て、学生達の指導をし、研究をし、論文を書きます。(羨ましい限りです)
その20名近い教授達を相手に丸1日、さらに2日目、3日目は教授達に加え、大学院の先生や大学院生を相手に舌側矯正のコースをするわけですから、英語が下手な自分にとっては そのプレッシャーたるや 並大抵の物ではありません。
いつも海外の学会で発表する時には特に緊張はしないのですが、今回は質問攻めにあうのは必至だからです。
初めて世界デビューした時は、質問の意図するところが理解できず、苦しんだ思い出があります。
今回のセミナーは、半年以上前に招待の通知を受けていたものの、毎日、診療が終わるとグッタリで、食後に意識不明となってしまう事が多く、思うように準備が捗りません。
間に合わなかったら大変なことになると、毎日 マウス片手に深夜まで、、、気がつくとコックリコックリ、カミさんには「もう寝たほうがいいんじゃない?」と言われる毎日でしたが、なんとか準備は無事に終わりまして、大盛況のうちに終わることが出来ました。
飛行機は、、先方が用意してくれた British Airwayのチケットで搭乗してみると、、、うをっつ!! 個室じゃん!! すご!! (すみません、貧乏なもので、、) 食事もおいちい。
講義前日、Fernandoがビーチにあるレストランに食事に連れってくれました。
全てが美味しい、、。
市内にはこうゆうレンタルサイクルが至るところにあります。
こうゆう Stationがあちこちにあり、契約すると乗りたいところで乗り、駐めたいところで駐めれるというスグレ物です。
彼の診療所は Barcelona(人口160万人)の中でも高級住宅街にあります。
ガラスで仕切られているのは個室の診療室ではなく、中庭です。
素晴らしい診療環境でした。
スペインの歯科事情は日本よりも もっと深刻です。
Barcelonaには約3000軒の歯科医院があり、また、彼のオフィスの半径500m以内には、6軒の矯正歯科専門医が開業しているとのことです。
全ての歯科医院は、歯科技工士を置くことが認められておらず、歯科技工士は難しい試験に合格した後、歯科技工所に勤務するのが普通です。
自分で技工所を開業しようとすれば、歯科医院とつながっていない別のオフィスで、いろんな厳しい検査に合格して初めて認定番号を交付され、開業することが出来ます。
歯科衛生士は、少しでも給与が良い職場があるとすぐに辞めて行くので安定せず、大変だそうです。
ひろ矯正歯科でも昔はある朝突然辞めて行く人がいましたが、最近はみんな一丸となって頑張ってくれているので本当に助かります。
願わくば、歯科衛生士の求人に もう少し反応があると助かりますが、、。
歯科医師も末永く付き合える先生を求人しています。
興味のある方は、是非一度見学に来てください。
毎日、Fernandoが AUDI TTで迎えに来てくれました。
大学には PC roomや英語を習得するための特別な部屋もあります。
ここで講義をします。
矯正歯科診療室です。
学食です。学食なのにすごく美味しい。
学食の一部は僕のために貸しきりとなっていました、、感激。
Under graduate, Post graduate, Professor、、写真は参加者の約1/3です。
最初は Power Point内の原稿を読んでいましたが、ものの数分でアドリブに、、
今回のコースでは、是非とも実習を入れてくれと懇願し、FernandoとProf. Puigdollers、DTのGloria、それからたくさんのResidentsのおかげで、実習が実現しました。本当に本当に皆様に感謝です。
実際にセットアップを使ってHiro systemの実習を行いました。
この日は、なんと、夜8時まで!
最新の Materialを使っての Hiro systemの最新版はすでにペーパーになっています。
1日目は、ちょうど Foot ballのある日で、Fernandoは観戦に連れて行ってくれました。
打ち上げは、丘の上にある高級レストランに招待してくださいました。
この隣にもうひとテーブルあり、Chairmanと Professor達と たくさんの Residents達と楽しくお食事をすることができました。
Professor & Chairman のPuigdollers先生と Prof. Anna Molina
講演が終わった後、個人的な質問に答えていた事に加え、土曜日ということもあって、帰っちゃった先生もいて、全員で写真を撮れなかったのが残念です。
飛行機もホテルも食事も全て出してくれて、超VIP扱いの待遇には本当に感激しました。
Prof. Puigdollersはじめ、手伝って下さった Professor達、Residents達、そして何よりも Fernandoに心から感謝します。
こんな田舎の矯正専門医でも、一生懸命やっていると、いつかは良いことがありますね。
これからも患者さんに少しでも良い治療を受けて頂けるよう、精一杯頑張ります。
出張の際には休診になりますので、患者さんの皆さんにはご不自由をおかけしますが、歯科医学の進歩のためですので、御理解いただきますようお願い致します。
2007年7月12-17日、第二回 World Society of Lingual Orthodontic meeting が Seoulの COEX Congress Center にて開催されました。
今回は内緒でパスしようかと思っていたのですが、Invited Speakerとして招待して頂きましたので、頑張って行ってきました。
会場の COEXです。このあたりの道路には、全然人が歩いていません。
なぜか。。
物凄い地下街が広がっていて、何処に行くにも地上に出ずに行けるのです。
しかし、、、我ながら、毎年毎年演題を考え、しかも一人で準備して、よく間に合うものだと思います。
大学病院に勤務している先生なら当たり前ですが、僕は田舎の開業医、、。
みんな「そのパワーは何処から出てくるのか」と不思議がりますが、ただ単に患者さんに一生懸命向き合っていたら気がついたらこんなになっていた、、それだけです。
さすがに今回は超・ギリギリで、前日、朝から夜中までホテルに缶詰で Power pointを仕上げました。
EOSの際には Intel Macを持っていったのですが、調子が悪く、たいへんな目に遭いましたので、今回は使い慣れた12inch G4を持って行きました。
演題は、「Lingual Orthodontics for Juvenile Patients」です。
舌側矯正というと、普通は大人の患者さんが対象ですが、年々 Low teenで Lingual Orthodonticsを希望される方が増加傾向にありますので、Adult patientsとの違い、注意点等を実際の治療例をまじえて解説してきました。
僕の口演時間は、日曜日の朝イチ、8:30分という時間です。
しょえ~、こんな時間に人が来るんかい、、と思っていると、案の定、5分前には、会場内には僕と座長と次演者の3人だけ。
Venice ESLO のあのイヤな雰囲気が思い出され、思わず笑っちゃいます。。。
プレゼン開始の秒読み態勢にはいると、、、ドカドカと皆さんが駆けつけてくれました。
あ~、よかった。
朝早くから駆けつけて来てくれた皆さん、有難うございました。
プレゼンの最後は、冬ソナのBGMで締めくくりです。
え? 古いって?
でもまあ、韓流ドラマの先駆け、代表作ですからね。
音楽が流れ、ペ・ヨンジュンとチェ・ジュウが出てくると、座長の先生も思わずニッコリ。。
ガンバレ~ !
途中で照明がおかしくなり、プレゼン中断です。 あはは~、いつまで続くのかな~~(^^;)
Coffee Breakでいろんな先生と話していると、Alain Decker先生が僕の顔を見つけ、寄って来てくれて、素晴らしい発表だ、お前の治療はいつも素晴らしい、と、絶賛のお言葉を頂戴しました。
ありがたや、ありがたや、、。
物凄い立派なメインホールです。参加者は600名を超えたとか、、。
その夜は Gala Dinnerです。
Phil Kyung Jaeという Korean Restaurantですが、聞くところによると、韓国の昔の王様の家で、今もそこに住んでおられるとのことです。
Dinnerが始まるまで、お庭でジュースやカクテルを飲みながら御歓談。
日本人の先生達はいつもどおり日本人だけで集まっています。
僕は日本の先生達が嫌いなわけではないのですが、内輪で固まるのはあまり好きではないので、一人でポツンと離れて立っていると、Dirkがこっちに来い、と呼んでくれました。
すると、パリ第5大学の先生達を紹介してくれ、今日の僕のプレゼンのことを聞かれたり、逆にパリ大学でのリンガルの治療の事を聞いたり、話に花が咲きます。
そうこうしていると、Dinnerが始まりました。
左から、竹元先生、 Dirk、 僕、 Decker先生です。
カメラがいっぱいで何処を見ていいのかわからないので、みんな見ているところがバラバラです。。
Dinnerは グループ分けされていて、みんな自分のテーブルに向かいます。
僕は C-groupです。
なるべく内輪で固まらないようにと思っていると、Alain Decker先生が来てくれました。
ここでも昨年同様、先生と楽しく過ごすことが出来ました。
舌側矯正の世界は、自分がNo.1だ、と、勢力争いをして、他の妨害をする先生もいます。
自分のスキルが低いために、上手い者を引きずり降ろそうとする先生もいます。
が、このDecker先生は、話せば話すほど、素晴らしい先生です。
「妨害をする先生がいることは凄く悲しいことだと思います。負けて悔しいなら、人の邪魔をするのではなく、自分が努力すればいいことです。みんなでお互いに知恵を出し合って、少しでも患者さんが優れた治療を受けられるようにと、こうやって世界中から先生が集まってきているのに、なぜそうゆう先生がいるのか僕には理解出来ません。僕がここに参加する目的は一つしかないんです。」と、僕の考えを話すと、「そのとおりだ!」と、まったく同じ考えです。
感激と嬉しさで、もうチョイで涙が、、、(^^;)。
韓国料理のフルコースを食べたのは初めてでした。美味しかったです。
Decker先生と Becker先生は、本当に素晴らしい先生です。
来年の ESLOは必ず駆けつけます! 頑張ってください!
大会長の Hee-Moon Kyung先生、本当にお疲れ様でした。
たいへん御世話になり、有難うございました。
また、尊敬する Ryoon-Ki Hong先生、また是非御一緒出来れば嬉しいです。
カムサンミダ。
松本歯科大学歯科矯正学講座、松本歯科大学独立系歯学研究所教授、総合歯科研究所、そして、シンガポール国立大学歯学部歯科矯正学修士課程教授の出口敏雄先生が、2007年3月を以て松本歯科大学を退官されますので、退官記念祝賀会が10月29日、名古屋のマリオット・アソシアで開催されました。
出口先生は1964年に東京医科歯科大学歯学部を卒業、大阪大学大学院歯学研究科を修了されたあと渡米され、インディアナ大学大学院歯学研究科修士課程を修了されました。
帰国後は、名古屋大学医学部助手、徳島大学歯学部助教授に就任されたあと、1970年より、松本歯科大学歯科矯正学講座の主任教授として、現在まで想像を絶する超々多忙な日々を送られて来られましたが、退官後は隠居されるどころか、シンガポール国立大学歯学部歯科矯正学修士課程教授として赴任されます。
とうとうこの日が来てしまいました、、。
自分が矯正学を志したのも出口先生がいらっしゃったからで、僕の人生に一番大きな影響を及ぼした先生です。
矯正学の教授が出口先生でなければ、自分は矯正専門医にはなっていなかった事は間違いありません。
矯正科に入局した当初は、右も左もわからず、礼を失することも多々あったと思いますが、終始、暖かく見守ってくださいました。
当時は松本歯科大学には大学院がありませんでしたが、福岡歯科大学に持ち込みで学位まで取らせて頂きました。
Charles H. Tweedや、Univ. of Southern Californiaのコースを受けろと、他の先輩医局員をさしおいて真っ先に声を掛けてくださったのも出口先生、自分が医局を退職した後も終始御指導御鞭撻を頂き、英国矯正歯科認定医(M-Ortho RCSEd)や、ヨーロッパ矯正歯科学会専門医試験(European Board of Orthodontists)に挑戦する機会を与えてくださったのも出口先生、Indiana Univ.でJarabak Awardを受賞された時に舌側矯正に関する講演をさせて頂く機会を与えてくださったのも出口先生、矯正学の楽しさと恐ろしさを教えて下さったのも出口先生、野球を教えて下さったのも出口先生、、、。
医局に在籍当時、出口先生の姿を見ていてつくづく感じたのは、矯正歯科医というのは明けても暮れても勉強なのだ、一生全開で走り続けなければならないのだ、という事でした。
医局を退職して開業した後も、こんな出来の悪い教え子が、医院の採算など度外視で、診療に、研究に、学会発表にと、時間と労を惜しまず頑張って来れたのも、出口先生の姿をいつも見ていたからこそであると思います。
いつも他の矯正専門医の先生から「開業していて、そんなにいろいろ一人で出来るわけがない」と言われますが、自分としては当たり前の事をしているだけです。
自分のしていることなど、出口先生の何百分の1、いや、何万分の1です。
式典では出口先生の業績集を頂戴いたしました。
「論文は、英語論文しか論文とは言わない」という出口先生の口癖どおりに、英語の論文・学会発表は124を数え、本当にこれほどの業績を、診療、教育、研究にと残された先生は稀ではないかと思います。
22年間お世話になった出口先生が松本から去られるというのを考えると、本当にこみ上げてくる物があります。
いつかは来る日だということは分かっていましたが、いざ、この日になってみると本当に、、、辛かったです。
お目出度い席なので一生懸命気持ちを切り替えるように努め、宴会中は他の先生達と楽しく過ごさせて頂き、気を紛らわすことが出来ましたが、最後に金屏風の前で出口先生御夫妻に御挨拶を申し上げた際には、本当に涙がこみ上げて来て言葉が出ませんでした。
この場を借りてお詫び申し上げますとともに、今後の益々の御活躍をお祈り申し上げます。
長い間、本当にありがとうございました。
これからも精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします。
僕は一番下座の、出口先生のご家族と一緒のテーブルで嬉しかったです。
当日、塩尻駅前ではワインフェスティバルが、、、飲みたかったけど、我慢しました。