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院長日誌

矯正学

  • 第9回 世界舌側矯正歯科学会大会開催さる

    3月1~3日、神戸国際会議場にて、9th World Society of Lingual Orthodontic meetingが開催されました。

    本学会では、Aligner VS Lingualというテーマでシンポジウムを行うので、話して貰えないかと、学会長の布川先生、大会長の橋場先生から、今から 3年半前の2019年11月、Napaでの Angle biennial meetingの際に頼まれました。

     

    WSLOは3回連続して欠席すると退会になるというルールがあり、自分はWSLOを辞めたいと思っていたので、2013年、Parisで行われた学術大会を最後に出ていませんでした。

    Napaで頼まれたときに、にっこり笑って、「残念ながら、僕はもうメンバーじゃ無いんですよ」と言うと、布川先生、橋場先生から、僕は終身会員だと言われ、驚きました。

    その場の雰囲気で拍手となって決まってしまい、お受けしたのですが、その後、コロナが蔓延し、1年また1年と延期になり、会場も大阪から神戸に変更になり、今年の3月に開催となりました。

     

    久々の大会場での Oral presentation、思えば、コロナが蔓延してから講演したのは、2020年の Angle meetingと、2020年の甲北信越矯正歯科学会(オンデマンド)、2022年10月の松本歯科大学での学生講義くらいです。

     

    講演は慣れているとはいえ、やはり講演が近づいてくると、ナーバスになり、毎日、夜中にしょっちゅう目が開き、毎朝4時半、5時には寝ていられなくなって起床します。

    毎日診療でクタクタになるので、夜はとてもPCを開く気になれず、朝から毎日少しづつ準備です。

     

    今回の講演で一番困ったのは、20分という講演時間で、今までの私の講演は最低でも 30~40分、長いときは 2時間、3時間ということが普通でしたので、20分という短い時間では自分の言いたいことも言えない、症例も見せられない、、、非常に困りました。

    でも、パネラーが6人いますので、1人 20分でも 2時間、1人 30分だと 3時間になるので、20分という時間は仕方が無いです。

     

    講演当日の朝。予備機を持っていったのですが、予備機がクラウドとトラブってしまって、メインのマシンまでおかしくなって、滅茶苦茶焦っているところです。ほんとうに、メッチャクチャ焦りました。

     

     

    本学会での「仕事場」、神戸国際会議場のメインホール

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    本学会では、上顎前突を伴う著しい症例など、アライナーでは到底治療出来ないだろうなと思う症例を 3症例、しかも2症例は治療後 10年、15年の長期保定の経過を提示し、さらに「私のリンガルに対する情熱」と題して、35年前から私がやってきたことを、いつもどおり Jokeを盛り込んでお話しました。

     

    第一症例の治療前と治療後

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    第二症例の治療前と治療後

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    第三症例の治療前と治療後

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    今でこそ、いろいろな装置やインスツルメントが各社から販売されていますが、35年前はブラケットも Kurzのみ、インスツルメントも限られた物しかありませんでした。

    無ければ作れば良い、と考え、私のオリジナルのブラケットやインスツルメントを開発し、学会で報告してきました。

    いつの時代でも、どんな分野でも、人の作った物を真似て、あたかも自分が最初であるかのように言う人がいますが、この世界でも同じで、例えば、私が考案したヒロ・システムをほんの少しモディファイしただけで、”Now, we are not using Hiro System but Kommon base”などとわざわざ国際学会で言う。

    でも結果的にそれでは IBSの精度が出ないので、結局 Kommon baseのコアを切縁・咬合面まで延長して、その延長部分は Bonding後に除去する。
    そのまんま Hiro systemです。

    要するに、自分が追い越されたから邪魔をしてやろう、有名になって気に入らないから恥をかかせてやろう、嫌がらせはそれだけでは無く、矯正メーカーいろんなところに手を伸ばして私の製品開発を妨害する。

    そうゆう人間がいるかと思えば、何年もの間 友達面して 頻繁に ひろ矯正歯科に見学に来て、友達だと思うからこそ、いろいろ隠さず見せて教えて、おしまいには私が発明したスロット形状をそのままコピーして学会発表し、一言の挨拶も詫びもなしにメーカーから大々的に売り出す。

    Kommon baseの小森先生は、発表に際し、一言 Hiroの名前を出して敬意を表してくれますが、こうゆう奴ら、人間的におかしいでしょう。

    頭に来たので、私のプレゼンでは思いっきり毒を吐いてやりました。

     

     

    自分で考案・発明したものではなく、私の考案を学会で見て、そのままコピーしてあたかも自分で考えたように売り出す、日本の近くの某国では当たり前に行われていることですが、日本で、しかも友達のように振る舞っていた者が無断でこうゆうことをするってのは、正直人間不信に陥りました。

     

    演者 6人の中には、いつも絶対に講演時間を守らない者が含まれていますので、大会長の橋場先生には 20分という時間を絶対に厳守させて欲しいと何回も何回も念押ししてあったにもかかわらず、講演開始の際に座長がやって来て、「Scuzzoだけ 30分話します、遠いところから来てるので」とのこと。

    冗談じゃ無いです、みんな話したいことが一杯あるのに 20分でまとめてきているというのに、彼が 10分長く喋れば Discussionが 10分短くなるということが座長なのにわからないのでしょうか。

    Scuzzoと Takemotoはいつも講演時間を守らないですが、これは演者として失格、学会で話す資格は無いと思います。

    Scuzzoの プレゼンの内容はといえば、いつもどおりのアレな内容、聞きたくもないので、トイレに行きました。

     

    Scuzzoが講演時間を無視して時間超過しても話し続けたために、Discussionは 演者全員一言のみ。

    私は Alignerの先生方にいくつも言いたいことを準備していたのに、殆ど言えず、閉会式の時間となってしまいました。

    そんな短い時間の中で、どうしても言わなければならなかったことは、Alignerをやっている先生は、写真だけ見せて、治った、治ったと言う先生が多いが、歯科矯正学は evidenceに基づいた医学的治療であって、「歯並べ」をしているわけでは無いので、矯正歯科を名乗るのであれば、治療開始前の検査結果や診断結果、治療目標などもキチンと提示し、治療に際しては、歯科矯正学の基本原則である項目、例えば、治療によって下顎前歯が Flare outしていないか、犬歯間幅径は拡大されていないか等が守られているか、ということを示して欲しいと言わせて頂きました。

     

    私のコメントには、会場で深くうなずいてくれている先生が多く、嬉しく思いました。

    (上記だけでなく、治療後の root parallelingはどうであるか、歯根吸収はどうであるか、歯槽骨の状態はどうであるか、治療期間がどれ位で何回来院したか、などの情報が提示されていて当然なのに、これらについては全く触れない先生が非常に多い、こういった点がアメリカでは Lingual Orthodonticsは treatmentと言われているのに対し、Alignerは therapyと言われる所以であると思います、と言いたかったのですが、時間不足で言えませんでした。)

     

    日本矯正歯科学会では、今では Lingualは「リンガルマルチブラケット法」という学術用語が存在し、認定医や専門医の試験にも Lingualで受験することが認められていますが、私がヒロシステムの論文を投稿した頃には、そういった学術用語は無く、Lingualは悪い評判ばかりで、やっている先生も矯正歯科医というより、金だけが目当ての「破壊者」といった否定的な、白い目で見られていたのです。

     

    私は Lingualでも Labialと同じようにキチンと治療出来るということを証明するために、M-Orthの試験に全て Lingualで受験して合格、ヨーロッパの矯正専門医試験にも全て Lingualで受験して合格、日本矯正歯科学会専門医試験も Lingualで受験して合格してきました。

    何十年も前から、はじめから Lingualが日矯学会で認められていたわけではなく、現在、日本矯正歯科学会専門医試験においても Lingualが認められているのは、そういった経緯があるからなのだということをお話しし、Alignerの先生方が、自分は素晴らしい治療をしていると思うならば、Alignerの meetingではなくて、普通の矯正歯科の集まり、例えば日本矯正歯科学会などにも treatment recordを提出して、Alignerが認めて貰えるように行動してくださいと発言させて頂きました。

    (上記は今回の演者の先生方を批判するものではなく、世間一般的で「マウスピース矯正」を行っている歯科医師、SNSで 自慢げに Alignerの症例写真を出している先生に対して言ったのですが、演者の先生方には、お分かり頂けたでしょうか。)

     

     

    シンポジウムですから、講演の後は、会場からたくさん質問が出て、演者とディスカッションするのが常ですが、時間が無いため、質問は小川先生1人に限られました。

    これじゃあ、シンポジウムじゃなくて、普通の講演にした方が良かったのではないでしょうか。

    大体、リンガルを全くやった事も無い先生がリンガルの学会で座長席に座るとは、おこがましいと思いませんか?

     

     

    Alignerの第一人者である尾島先生は、Alignerの進化と現状についてプレゼンされ、現在は 3D scannerで口腔内を scanし、チェアサイドで速攻で Clin checkを行い、 Thermo Pressではなくdirectに CAD/CAMで Alignerを作製する、しかも形状記憶のマテリアルを使う、とのことでした。

    自分は基本的に Alignerは使っていませんし、この学会に出るまでは、Alignerなんかダメだと思っていました。

    私が Alignerを使う唯一の例外は、保定中に wireが切れたりして僅かに不正が出てしまった場合で、作製に際しては、通常どおり印象採得し、set upで歯を配列しなおし、Thermo pressで作る、といった古典的な方法で、全て in houseで行っています。

    一番の問題は、作製に要する時間と適合性ですが、尾島先生の行われている方法であれば、chair sideでアッという間に出来てしまい、AT社に注文してから2週間近く待たなくても良いといいう点、しかも適合は従来のものに比べて格段に向上しているという点、Alignerの致命的問題点である咬合面を覆ってしまうという点でさえも、この方法であれば自在にコントロールが出来るという点、AT社に法外な費用を支払う必要が無いためにコストが大幅にカット出来るという点等々、これなら Alignerも良いなあ、 Lingualと同じで出来るドクターが適切に使うならアリかなと思いました。

     

    まあ、私が 35年前に Lingualを始めた理由は、当時は誰がやっても治療期間が長く、ちゃんと治らない、舌が傷だらけになる、喋れない、著しい歯根吸収を起こす、顎関節症になる、やっている人間は矯正学の基礎をわかっていない等々さんざんなことを言われていたので、そんなに難しいならやってみようと思って始めたわけで、35年間リンガルをやってきて、これらの問題点を全てクリアして、リンガルでもラビアルと同じ期間で同じ結果を得ることが出来るということを国内外の専門医試験や学会で第三者評価を得て証明出来ましたので、当初の目的は達したわけです。

     

    私にリンガルで治療をして貰いたいという方が多いので、まだやめるわけにはいきませんが、パクリだとか、人の邪魔をする輩は顔も見たく無いし、この世界にも嫌気がさしてきているので、まずはWSLOを退会し、講演も今後は頼まれたら引き受けるのではなく、自分にとって意義のある学会にのみにしようと思っています。

    スライドの最後に Good bye, everyone! と書いたのは、その決意表明です。

     

     

    Conclusionでは下の2枚のスライドを出しました。

     

    Q:「あなたはなぜ山に上るのですか?」

    A:「そこに山があるからです」

    「登る山は高ければ高い方が良い」

    という名言があります。

     

    Q:「Dr.Hiro、あなたは なぜリンガルをやるのですか?」

    A:「なぜならそれが一番高い山だからです」

    「矯正歯科で 最も難しいテクニックだからです」

     

     

    最近、ハイブリッド・リンガルなどという方法を提唱している先生がいます。

    聞こえは良いですが、要はリンガルでざっと並べて、細かな仕上げはアライナーで誤魔化すというもので、一般歯科の先生が大喜びしそうな方法です。

    超一流の料理人は、最初の一品から最後の一品まで気を抜かず、自分に出来る限り精一杯気持ちを込めて作った最高の料理をお客様に出します。

    最後の一番大変な部分をアライナーに逃げるというのは、リンガルをリスペクトしていない、矯正治療そのものに気合いが入っていないということに他なりません。

    リンガルをやるなら、それ相当に気合いを入れて、最後までリンガルで勝負するのが一流の Lingual Orthodontistではないでしょうか。

    個人的にはもう少し期待をしていましたので、正直、ガックリです。

    若い先生の中にはリンガルの将来を背負って立つような気合いの入った先生はいないのでしょうか。

    私は死ぬまで筋金入りの矯正歯科医でありたいと思っていますので、そんなハイブリッド・インチキはせず、どんなに大変でも最後までプライヤーとワイヤーで勝負します。

     

     

    学会が終わった夜はパリ大学の Guillaumeを誘って晩御飯。

    大学時代の同級生も来てくれました。彼とは学生時代、一軒家を借りてシェアハウスしていました。
    思い出話に花が咲きました。

     

    Guillaumeは学会のあと白川郷や高山などを観光し、20日間日本に滞在するそうです。
    学会が始まる前日に現地入りして、終わった当日に帰って、翌日から仕事するというのは、日本人だけですね。

     

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    学会が終わって翌日の土曜日は神戸市内を少し散策し、Eggs’n thingsでパンケーキを。
    日曜、月曜は松本でゆっくりとお休みさせて頂き、火曜日からいつものお昼御飯も食べれない日常臨床に戻りました。

     

     

    久しぶりに会った友人達

    Dr. Fillionと Dr. Stradi

    Fillion先生は少し会わないうちに随分歳をとったような気がしました。
    Robertoは 2022年の Sorrentoでの ESLOの会長。

    Key note speakerとして講演を頼まれましたが、コロナ禍でしたので、辞退させて頂きました。

     

     

    Dr.Kyungと、Dr. Kanarelis

    Takisは AthensでのESLOの Presidentで、いつもパリ大学の大学病院でも会います。

     

     

    学会場の業者展示では、日本を代表する Titan Bicycleの Muller Japanがブース出展。

    素晴らしい自転車で、自転車と言うより、芸術品と言った方がピッタリです。

    近い将来、世界でも有名なブランドとなるでしょう。

     

     

  • 第81回 日本矯正歯科学会大会開催さる

    2022年 10月 5~7日、大阪の国際会議場で第81回日本矯正歯科学会大会が開催されました。

    コロナが蔓延してから、いろんな学会が On line、On demand、会場とwebinarの hybridで開催されています。

    現地会場のみだと、聴きたい演題が同じ時間に重複している場合、どちらか一方を諦めざるを得ないのですが、On demandだと全て聴くことが出来るので、なんとも有り難いものです。

    コロナが終息しても、On demand配信は続けて頂けたら有り難いな、と個人的には希望します。

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    .私が矯正科の医局に入った頃は、開業している矯正専門医というのは非常に少なく、特別な存在でした。

    当時から矯正専門医を志していた私にとっては、日矯学会は世界中で最も威厳のある学会だと常にリスペクトしてきましたので、日本矯正歯科学会の専門医試験に合格した時には、歯科医師国試に合格した時よりも嬉しく、感激したのを覚えています。

    日本矯正歯科学会学術大会といえば、日本の矯正歯科界では最高の学会であり、最高の演者と最高の講演。

    今回の学会では、国内外からその方面に関しては第一線で活躍されている著名な先生の講演をたくさん拝聴できたのはとても素晴らしい事でした。

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    10月5日は「顎関節症治療の最前線」では東京医科歯科大学の儀武先生、広島大学の谷本幸太郎先生、神奈川歯科大学の玉置勝司先生の講演に、指導者講習会。

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    10月6日のシンポジウムでは、『顎関節に問題のある患者さんへの対応』として、広島大学の谷本幸太郎先生、前松本歯科大学教授の山田一尋先生、神戸市立医療センター中央市民病院の竹信俊彦先生の講演。

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    今回の学会で最大の目玉は教育講演、USCのGlenn T. Sameshima先生の『矯正歯科治療における歯根吸収(最新版)Orthodontic Root Resorption:An Update for the Clinician』、たいへんためになる素晴らしい講演でした。

    歯根吸収に関しては、教科書的には「強すぎる矯正力」と言われていますが、私の経験上は遺伝的要因が非常に大きく関与している、つまり、お兄ちゃんお姉ちゃんの矯正治療で著しい歯根吸収が認められたなら、その妹弟や親を治療するときも歯根吸収する傾向が非常に強いと思っていましたので、Sameshima先生の講演を聴いて、私の考えは正しかったのだということが確認出来ました。

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    10月7日の臨床セミナーでは、『エビデンスに基づいたリンガルブラケット矯正法の臨床』というテーマで、3名の先生が講演されました。

    出口先生は Louisville Univ.で臨床・研究を行っておられますので、文献考察もされていましたが、他のお二方は、上記テーマに沿った講演とは少しかけ離れていて違和感を感じました。

    リンガルの歴史を振り返ると、世界中の先生達が既説を鵜呑みにして治療を行った結果、同じ失敗を何度も繰り返してきました。

    例えば、リンガルの anchorageが強いのは Cortical bone anchorageのためであるとリンガルの先駆者達は信じ、それを広く教えてきましたので、リンガルをやっている先生の殆ど100%は そのとおり信じてきましたが、これは大きな間違いであるということを私は理論的に説明し、anchorageが強いのでリンガルの診断はラビアルの診断とは異なるということ、それにより抜歯部位も異なるということ等は、何十年も前からヨーロッパの舌側矯正学会で報告してきました。

    症例によってセットアップを変えたり、オーバートルクをブラケットに組み込んではいけないということは、30年ほど前からヨーロッパだけで無く、アメリカの舌側矯正歯科学会においても講演し、巷で行われていることの何が間違っているのか、ではどうすれば良いかということを繰り返し説明してきました。

    演者の先生達が自分の臨床でどのようにされるのは自由ですが、学会で話される際には、エビデンスを示した上で、「但し私は、」と付け加えて頂かないと、リンガルを勉強中の先生達が過去と同じ失敗を再び繰り返すことになります。

    過去の失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないこと、これこそが真のエビデンスであり、患者さん相手の治療で最も大切なことではないでしょうか。

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    そもそも、リンガル関連の研究であれば、ヨーロッパの大学、例えばパリ大学には舌側矯正専門のマスターコースがあり、学位論文もたくさん書かれていますので、この分野での第一人者を呼ばずに、演者をどういった基準で選んでいるのか関係者に聞いたところ、人選に関しても小児歯科で有名な某先生が介入し、自分のコントロールの出来る先生を演者に推しているとのこと。

    テーマや演者を決めるのは大会長ですし、誰に何を話させようが大会長が一存で決めれば良いと思いますが、折角の日矯大会、勿体ないなあという気がしないでもありません。

    そもそも、政治家に何かを頼むと、その政治家には頭が上がらなくなり、今回のようなことが今後も続けば、日矯会員は勉強する機会を失い、日本の矯正歯科医学は発展が滞り、将来的には矯正専門医の存在自体さえも危うくなる可能性があります。

    40年近く矯正一本で浮気もせずに必死で走り続けてきた 矯正専門医の個人的な希望としては、大学の教授をはじめとする諸先生方は特別な存在なわけですから、自分達は一般歯科や小児歯科とは違うのだ、矯正歯科専門医として日本の矯正歯科界を引っ張ってゆく責任があるのだ、という誇りと自信を持って、胸を張って生きて頂きたいなと思います。

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    他には、前から思っている事ですが、認定医、指導医、臨床指導医(専門医)の試験に提出されて合格した症例は、先生の所属、氏名とともに症例の写真や概要を会員限定で公開したほうが良いと思います。

    そうすることで、他人の症例を借りて出す等の不正を防げるだけで無く、会員がいろいろな研究のデーターベースとして使え、論文も研究も増えることは間違いないからです。

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    また、症例審査に関しては、私は10年ほど前から日矯学会や地方学会で提案している症例の難易度評価(Difficulty Index)がまだ導入されていないようです。

    公平な評価のためにも早急に導入して頂きたいなと、個人的には思いました。

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    私ごときが日本矯正歯科学会を批判するつもりは毛頭ありませんので、あくまでも純粋な矯正専門医としての希望ですので、誤解無きようお願いいたします。

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    今回の学会では、講演を聴くだけなら大阪に出向く必要は無かったのですが、会場でやりたい事があり、現地入りしました。

    会場はかなりの人で、久々に日矯学会らしい空気でした。

    会場に何をしに行ったのかは、時期が来ればわかると思います。

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    やはり日矯学会大会は素晴らしいです。
    自分が矯正専門医であるということを誇りに感じ、明日からも頑張ろう、と思います。

    次回の第82回 日本矯正歯科学会大会は、2023年11月1日、新潟市の朱鷺メッセで開催されます。

    今から楽しみです。

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  • 松本歯科大学にて歯学部4年生に舌側矯正の講義

    コロナ以前は、ヨーロッパの国際学会パリ大学に招かれては、大学の教授や先生達を相手に舌側矯正の講演をすることを楽しみに感じていましたので、辞退すること無く快諾しておりましたが、コロナが蔓延してからは、出入国の関係から全ての講演依頼を辞退しております。

    海外に出向いて、万が一にも入国時に隔離されて、予定どおり帰れなくなったら、来院予定の患者さんにたいへんな迷惑がかかるからです。

     

    日本では9月から帰国時の対応基準が大幅に緩和され、現在ではコロナ以前とほぼ同じように出入国が出来るようになりました。

    そのニュースを聞いたのでしょうか、来年6月にフランスの Le Touquet-Paris-Plageで CEO学会が開催されるので、特別講演をしてくれないかと、大会長の Dr. Guillaume Lecocqから頼まれました。

     

    CEOは2011年に 故 Alain Deckerを驚かせるためにフランス語で講演し、会場から standing ovationを頂いた思い出深い学会です。

    最近では、2019年に Nantesで講演させて頂きました。

    フランスとフランス人が大好きな自分にとっては、有り難いお話しです。

     

    来年6月なら、今から半年以上も先だから、おそらくコロナ関連の状況は相当改善しているでしょうが、万が一、ドタキャンしないといけない状況になっては、CEOの会長、大会長、学会員など、皆様に多大な迷惑がかかりますので、残念ながら辞退させて頂きました。

    コロナが蔓延してからの講演は、記憶の限りでは、甲北信越矯正歯科学会の講演をオンデマンドでやった事ぐらいでしょうか。

     

    母校松本歯科大学での学生講義は2〜3年ほど前から頼まれていたのですが、これもコロナの影響で延び延びになっていました。

    昨年末に松本歯科大学から連絡があり、歯学部4年生の最終講義をやってくれないかとの事でしたので、お受けさせて頂きました。

     

    松本歯科大学の講義館に足を踏み入れるのは、卒業以来のような気がします。

    教室に入ると、学生時代のことが昨日のように思います。

     

    講義はまず、皆さんの先輩として、皆さんはなぜ歯科医師になろうと思ったのか、将来どうゆう歯科医師になろうと考えているのか、という質問から始めさせて頂きました。

    というのは、私が矯正歯科の医局に入って矯正歯科を専門的に勉強したいと思ったのは、ちょうどその頃だったからです。

     

    私の知っている先生の中には、お金の事など考えずに、自分に出来る限り最高の治療を一生懸命でやっている先生がいます。

    恩師の故 橋本先生などは本当に歯医者の鏡のような先生でした。

    ところが、金、金、金、金、お金第一主義で、本来保険診療である筈の歯周病治療でさえも自費で診療し、1人の患者さんから1000万円もの治療代をふんだくってノウノウと生きている歯医者がいます。

    その先生曰く、きちんと治療をしたらそれだけチャージするのは当然だ、とのことですが、自画自賛にすぎず、その言い分がまかり通るのであれば、私の矯正治療は、海外の専門医試験に合格しているから、と言って、患者さんに数千万円請求して良いのでしょうか?
    私はそんな非常識なことはしませんが、流石にここまでくると、洗脳宗教じみていると思います。

     

    また矯正歯科分野では、矯正歯科をやりたくて志したのでは無く、矯正歯科が儲かりそうだと思って矯正歯科を開業し、治療の勉強など全くせずに、お金第一主義、治療を開始する前に契約書を取り、100万円以上のお金を前払いさせて、転居などで治療継続が困難になったとしても、一旦支払ったお金はいかなる理由があろうとも鐚一文返金しないという、暴力団か詐欺師になったほうが良いような歯科医師がいます。

     

    勿論、生きてゆく上ではお金は必要ですし、医院を経営してゆく上でもお金は必要です。

    しかしながら、医業は利益追求主義でやってはいけない筈ですし、ましてや本来保険で診療すべき歯周病治療を自費で診療して、1000万円も請求し、金、金、金、金と、お金の事しか考えていない金の猛者は歯科医師を辞めるべきだと思います。

    学生の皆さんには、こんな歯科医師になって欲しくない、道を踏み外して欲しくないという思いが伝わったでしょうか?

     

     

    90分間、矯正歯科の役割、重要性、難しさ、舌側矯正の特殊性についてお話しをさせて頂きました。

    フランスの大学と同じように、殆どの学生さんが非常に熱心に聞き入ってくださいました。

    コロナの影響で海外に出ることが無くなりましたので、他大学でも講演の機会を頂ければ、お話しさせて頂きたいと考えております。

    謝礼は一切不要です。

     

     

     

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