先日、第115回歯科医師国家試験の結果が厚労省から告示されました。
全国 28校全体の合格率は 61.6%(受験者数 3,198人、合格者 1,969人)、内訳は、新卒者が 1,999人中合格者 1,542人(合格率 77.1%)、 既卒者(いわゆる国試浪人)が1,199人中合格者 427人(合格率35.6%)とのことです。
私が歯科医師国試を受験した頃は、たしか 100%が 10校くらい、母校の松本歯科大学は新卒既卒の合計が 97.6%だったと思いますので、それに比べると随分と合格率が低くなっています。
これは国の政策で歯科医師国試のカットラインが変わったことによるものだそうです。
私が学生の頃は、「留年」っていうと、とんでもないことをしでかしてしまったというイメージがありましたが、今では留年や放校は珍しくないようで、歯学部に入学してから一度も留年せずに、一発で国試に合格する学生は、国公私立全ての大学で概ね 50%ほど、つまり一緒に入学したクラスメートの半分しかいないということになります。
今や歯学部に入学したら、国試までの6年間、相当気合いを入れて、毎日毎日、本当に一生懸命勉強しないと歯科医師になれないのです。
上の表に示すように、我が母校松本歯科大学の現役の合格率は、全国国公私立 28校中 2位で、全ての国立大学よりも良い成績です。母校の先生方、学生さん達、よく頑張ってくれています。
既卒の国試浪人を含む総数では全国 8位と、こちらも優秀ですが、既卒の国試浪人の合格率が 15.4%ですから、彼らがクリアすることが出来れば、全体の合格率は飛躍的にアップします。
国試浪人の皆さん、目標も期限もなしにダラダラやっていてもダメです。
「次回の国試に受からなければ歯科医師は諦める」という覚悟で国試に臨んで欲しいと思います。
私は母校の国試合格率が高いからといって自慢するつもりはありませんし、松本歯科大学OBであるということは、別に誇りに思ってもいませんし、恥じてもいませんので HPにも明記していますが、卒業生の中には、松歯大卒であることを隠す者がいます。
歯科医師の中には、自分よりもランクが低いと思われる大学の出身者を馬鹿にし、歯科医師としてのレベルが低いように見下したりする人がいるからです。
実際に私自身、学会やセミナーなど、公衆の面前で自分の耳を疑うような侮辱をされたことが何度かあります。
矯正歯科界に於いても、出身校を聞いた途端に態度が横柄になったり、SWAを使っている先生を wire bendingが出来ないと決めつけて馬鹿にする人がいます。
私自身は日常臨床では Chair timeを短くし、患者さんの快適さのために SWAを使っていますが、 必要に応じて 2×4、2×6、loop mechanicsも使いますし、Burston の Segmentも使っています。
TPAは印象を採ってラボで曲げる先生が多いですが、私は曲げ始めからセットするまで約5分ですので、 chair sideで曲げています。
Wire bendingは矯正の初歩の初歩なのですから、出来て当たり前なのに、そんなことで自分が優れていると勘違いして天狗になり、あろうことか、国立大学の助教が、授業中に、大勢の学生の前で、「松本歯科大学とか日本歯科大学新潟歯学部にはデンタルで行ったけど、馬鹿すぎて困った」などと発言した事実があります。
学生を指導する立場の人間が、授業中に、公の場でそのような事を言う、これは決して許される問題ではありませんので、時期を見て主任教授、学務、歯学部長に抗議したいと思っています。
日本の大学も外国の大学のように、学生が指導教官を評価するシステムを取り入れ、このような不適切なインストラクターは大学から追放されるようにならないと、歯科大学での教育は良くならないと思います。
私が母校に望むことは、名物教授の存在です。
私が学生の頃は、例えば口腔外科では千野武広先生、待田順治先生、補綴では橋本京一先生、保存では安田英一先生、障がい者歯科では笠原浩先生、矯正歯科では出口敏雄先生などなど、日本でも指折りの教授がたくさんおみえになりました。
今でも宇田川先生のように世界で活躍されている先生はいらっしゃいますが、「○○教授の○○を勉強したいから松本歯科大学に入りたい」という学生が増えてくれれば、学生のレベルももっともっと上がり、国試合格率も自然とアップするのではないかなと思います。
納村先生時代の日大矯正歯科は凄かったなあ、、。
「矯正装置が入っているとMRIが撮れないから、矯正装置を外してくるように」と言われて、MRIを撮影して貰えないことがあります。
放射線科の医師・技師さんが矯正装置を外せと言う理由は2つ、
です。
私からのコメントは、
矯正治療に使われる金属の殆どは、コバルト、クロム、ニッケルを主体とする合金で、ものによっては、チタン、モリブデン等が含まれております。
MRIは磁気共鳴を利用したものですので、矯正のワイヤーやブラケットがアーチファクトを起こす原因となります。
ところが、撮影条件を工夫すれば、矯正装置が入ったままでも顎関節、上顎洞、海馬なども全く問題ない画像が得られています。
僭越ですが、アーチファクトで撮れないという場合は、以下の撮影条件で撮って頂ければ、撮れることがあると思いますので、御参考にして頂ければ幸いです。
です。
大体は 5のシムボリュームを調整して頂ければ、2〜4はいじらなくても撮れることが多いようです。
じつは、「入れ歯や矯正装置が入っているとMRIが撮れない」というのは、昔から殆どの病院で言われており、MRIを撮る際に、矯正装置を外して来るように言われて、全ての患者さんが撮影して貰えませんでした。
矯正装置を外さないとMRIが撮れないと言われると、困るのは患者さんですので、私はその都度、放射線科の医師・技師さんと撮影条件についてお話しをさせて頂く、ということを長年続けて来た結果、今では長野県内の殆どの病院で問題なくMRIを撮影して頂いています。
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上記は 2021年3月にアップした内容ですが、誤解されている方がいらっしゃいましたので、少し修正させて頂きました。
基本的には、MRI撮影のために矯正装置を除去する必要は無いと考えますが、「絶対外しません」ということでもありませんので、お困りの場合には御相談ください。
第35回甲北信越矯正歯科学会学術大会がオンデマンドで開催されました。
本大会に於いては、松本歯科大学歯科矯正学講座教授 岡藤範正先生から講演を依頼されましたので、「日本矯正歯科学会専門医試験に合格したリンガルマルチブラケット法症例」という演題で30分間の講演を動画配信で行いました。
一般に、リンガルマルチブラケット法による治療は、外側からのマルチブラケット法に比べて、治療期間が長く、治療結果も劣ると言われることが多く、さらに、リンガルの治療は、装置が舌側に位置するため、会話が困難になる、激しい舌痛を伴う、著しい歯根吸収を起こす、顎関節症の原因になる等々、リンガルの治療そのものが良くないとコメントする歯科医師が多いのですが、私は、30余年リンガルを行っており、新しいIndirect bonding systemの開発、オリジナルの小型ブラケットの開発、通説となっているメカニクスの盲点など、リンガルに関連する問題点を1つづつ解決することで、ラビアルと同じ良好な結果を、ラビアルと同じ治療期間で得ることが可能となりました。
ただし、これはSelf esteem であってはならないと考え、第三者評価を得ることを目的として、European Board of Orthodontics, M-Orth RCSEd, World Board of Lingual Orthodontics, Angle membership case presentationなどに演者の治療したリンガルの治療記録を提出した結果、全て合格しました。
審査が厳格なことで知られる日本矯正歯科学会の専門医試験に於いても、リンガルの症例を提出して、全て合格していますので、今回、その治療例を一部紹介し、海外での専門医試験、例えばアメリカのABO、ヨーロッパのEBOなどについても詳細を御説明し、キーポイントも解説させて頂きました。
最初は私の海外での活動を御紹介し、
症例 1:日本矯正歯科学会専門医試験に合格した症例
症例 2:World Board of Lingual Orthodonticsに合格した症例
症例 3:日本矯正歯科学会専門医試験に合格した症例
Chin capは効かないと思っている先生がいますので、Class III bookを紹介しました。
症例4:European Board of Orthodonticsに合格した症例