2024年10月29日〜31日、パシフィコ横浜にて、東京科学大学教授 森山啓司先生大会長のもと、第83回日本矯正歯科学会大会が開催されました。
私は日本矯正歯科学会臨床指導医であり、5年毎に更新が必要です。
更新期限まであと 2年あるのですが、症例提出は患者さんの同意書が必要であり、早めに済ませておきたいので、本学会ではいつもどおりリンガルマルチブラケット法で治療をした症例を提出、無事合格しました。
本大会では、必ず聞きたい講演がいくつかあり、3日間、第1会場と第2会場を行ったり来たり、朝から晩まで聞きたい講演を全て拝聴することが出来ました。
まず29日、15時から生涯研修セミナー、「ビスホスホネート製剤と歯科治療」というテーマでは、福岡歯科大学教授 池邉哲郎先生が「薬剤関連顎骨壊死MRONJポジションペーパー2023の背景と今後の課題」、大阪府立病院 道上敏美先生が「小児におけるビスホスホネート治療」、松本歯科大学教授 田口明先生が「薬剤関連顎骨壊死のポジションペーパー2023の概要」について講演されました。
骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート製剤を服用している患者さんに観血処置を行うと、顎骨壊死を起こすことが知られており、私たちが日頃非常に神経を尖らせているところです。
患者さんの中には、御自身の身体の不具合を隠していたり、歯医者に関係ないと勝手に判断して服用している薬剤を申し出てくれない人もいるからです。
私の知っている限りでは、ビスホスホネート製剤が直接顎骨壊死を起こすのではなく、観血処置後の感染が顎骨壊死を招くのであり、処置後の感染対策をしっかり行えば大丈夫、と認識していました。
先生方の講演を聴き、私の知識は間違ってはいなかった、つまり、顎骨壊死は観血処置を行う以前から存在していることが多いこと、観血処置のために投薬中止をしてはならないということを再確認しました。
16:30からのサテライトセミナーは、「外科的矯正治療の今」というテーマで、東京歯科大学准教授 菅原圭亮先生が「デジタルテクノロジーを駆使した外科的矯正治療の今」、東北大学教授 山内健介先生が「顎矯正手術の現在と未来」、大阪大学准教授 黒坂寛先生が「骨延長術を伴う顎変形治療における診断と治療」という演題で講演されました。
最近の外科矯正にはdigital dataは不可欠ですが、東京歯科大学では学生教育にも Apple vision Proを用いているのには驚きました。
ひろ矯正歯科は顎口腔機能診断施設であり、外科矯正治療も健康保険適用となります。
過去には松本歯科大学や信州大学と連携し、SSROだけでなく、2 jaw surgeryをも多数行って来ましたが、最近では、外科矯正症例はオペも矯正治療も松本歯科大学に依頼していました。
その理由として、オペの際には、顎位確認のために私がオペ室に入る必要があるのですが、某先生が執刀されていた頃は、オペが時間どおりに進まず、私がオペ室から引き上げる時間が大幅に遅れ、オペ当日の午後、ひろ矯正歯科に来院される患者さんを非常に長時間お待たせしてしまうことが多かったためです。
ところが、矯正治療をどうしても ひろ矯正歯科で行わなければならない患者さんがいらっしゃって、ひろ矯正歯科での外科矯正を復活することとなりました。
ちなみに、松本歯科大学口腔外科の名誉のために記しますと、現在は、芳澤享子先生、栗原祐史先生の両教授のもと、外科矯正は佐藤工先生が執刀されており、難しいオペも安心して受けることが出来ます。
29日の夜は勤務医の村上先生と芽生先生と3人で食事をしました。
30日朝イチの海外特別講演は、、、演者の名前は記しませんが、特別講演としてはあまりにも内容がアレで、聴いていた先生の殆ども同じように感じられたのではないでしょうか。
非常に著名な先生ですが、日本の矯正歯科のレベルを知らないのかな、、。
10:20からのシンポジウム1、「矯正歯科治療にける形態と機能の調和を目指して 側方的問題に対するアプローチ」では、Ferrara大学客員教授 Ute Schneider-Moser先生が「Unveiling the buccal corridor myth」、日大松戸教授 根岸慎一先生が「混合歯列期の口腔機能が歯列形態に及ぼす関連性について」、鶴見大学教授 友成博先生が「非対称症例の機能的問題と側方的問題に対するアプローチ」という演題名で講演されました。
Uteは私がEBOを受けた際のExaminerである Dr. Lorenz Mozerの奥さんです。
Buccal corridorやSmile archに関しては、日本でも20年近く前に本を書かれている先生もいますが、内容的には同意出来ない部分が多かったので、Uteの講演を聴いて、やはりあの本に書いてあることはオカシイ、私は正しかったナ、という確証が得られました。
30日午後は臨床セミナー、「歯科矯正用アンカースクリューを用いた臨床をアップデートする」というテーマで、東京科学大学助教 上園将慶先生が「皮質骨に固定源を求める新型歯科矯正用アンカースクリューによる矯正歯科治療の試み」、東京歯科大学講師 立木千恵先生が「矯正歯科用アンカースクリューの適応を拡げる」、Kyung Hee大学教授 Won moon先生が「Could we advance Maxilla in Mature Patients Non-surgically? Non-surgical Class III Orthopedic Correction with MSE and FM: Growing vs Nongrowing Patients」という演題で講演されました。
MIAの長さは維持とは相関が無いというデータがあり、特に上顎正中部にMIAを打つ場合には洞との関係から短い方が望ましいと思っておりましたので、上園先生の大径の短いスクリューは安全で脱落しにくいと思われ、早く使いたいと思いました。
16時からのワークショップは「矯正歯科専門医制度の認定と今後について」というテーマで、日大名誉教授 清水典佳先生が「矯正歯科専門医制度認定までの道程」、鶴見大学教授 友成博先生が「日本歯科専門医機構認定矯正歯科専門医制度の概要と取り組み」、九州歯科大学教授 川元龍夫先生が「新たな矯正歯科専門医制度における研修施設に求められる教育要件」、奈良県 岡下慎太郎先生が「これから新しく専門医を取得するために留意すべきポイント」について講演されました。
「矯正歯科専門医」に関しては、過去の院長日誌に書いたように、日本成人矯正歯科学会と、日本矯正歯科協会が「矯正歯科専門医」という用語を使い始めたために、厚労省のほうから3つの異なる団体にそれぞれ矯正専門医があるのはおかしい、1つにするように、という指導があり、2019年より「日本矯正歯科学会専門医」という用語が使えなくなり、日本矯正歯科学会学会は「臨床指導医」という、患者さんにとって非常にわかりにくい語句を使用せざるを得なくなりました。
この問題解消のために、非常に永い間、日本矯正歯科学会の役員の先生方が大変な苦労をされてきました。
迷惑したのは、日矯学会の役員の先生方だけでなく、専門医の資格を有する会員も、非常に大きな迷惑を被ってきました。
私は、個人的には、このような行為は日本矯正歯科学会会員としてあるまじき行為で、私流に考えると、日本矯正歯科学会会員資格の剥奪、学会から除名すべきだと常々思っておりました。
ただし、こうゆう輩は、除名すれば、不当だと訴訟を起こしてくることが当然予想されますので、これらの迷惑行為を行っている日矯会員には、迷惑行為をやめるか日本矯正歯科学会を辞めるか、どちらかを自分で選択するようにさせ、自分で決めさせれば良いと思います。
会規がそうなっていないから無理だと言う先生がいますが、それならば会規を改めれば良いのです。
そこのへんをじつに上手く、波風立たないように、大人対応をされた日矯学会の先生達は流石で、頭が下がります。
長年、お疲れ様でした、有り難うございました。
そのおかげで、今現在、「矯正専門医」という用語はやっと使用することが可能となりました。
ただし、いくつか条件があり、表記するには「日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医」と記すこと、ホームページは矯正料金やリスクなどが公開されている等々、委員会の審査を通過しなければなりません。
認定された「日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医」の中には、HPに料金もリスクも掲載されていない医院や、料金が掲載されていても、実際にかかる料金とは違う、自分が他よりも優れているという表現がされている、などという医院も存在します。
ひろ矯正歯科の公式ホームページでは、これらはきちんと公開しており、料金に関しても、記載と違うような料金を請求されるなどということは絶対にありませんので御安心下さい。
朝、ホテルからは富士山が見えました。
31日は9時から Washington大学教授 Greg J Huang先生の「Aligners: Past, Present, and Future」という演題で、アライナーの 20年以上前の RCTから未来について講演されました。
アライナーは一時期もの凄い勢いで増えていましたが、最近、アライナーの問題点を理解する先生が増えたのでしょうか、少し勢いが衰えたように感じます。
ひろ矯正歯科では、現時点では基本的にアライナー矯正は行わず、真面目にマルチブラケットで治療を行っています。
リンガルマルチブラケット法で少しだけ歯の移動を行った後、アライナーで誤魔化す、などというインチキもしません。
12:40からの創立100周年記念学術研究プロジェクトセッションでは、福岡歯科大教授 玉置幸雄先生etc.が「日本におけるマウスピース型矯正装置の問題」、東京科学大学教授 小野卓史先生が「咬合-味覚-糖代謝関連:矯正歯科から糖尿病への新提案」、明海大学教授 須田直人先生が「日本における口唇裂・口蓋裂児の術前顎矯正の治療指針作成に向けた多機関(施設)評価 -動的矯正治療開始時の咬合不正の軽症化に向けて-」、岩手医大教授 佐藤和朗先生が「歯科矯正材料のMRI検査に及ぼす影響について」講演されました。
矯正治療中のMRI撮影に関しては、ひろ矯正歯科の公式ホームページにて公開しているとおり、撮影条件を工夫すれば、矯正装置が入っていても、保定のワイヤーが入っていても、問題なくMRIは撮影可能で、脳(海馬)や顎関節も撮影可能です。
15時からのシンポジウム2では「矯正歯科治療における形態と機能の調和を目指して -垂直的問題に対するアプローチ」というテーマで、北海道医療大学教授 飯嶋雅弘先生が「垂直的問題を有する不正咬合に対する成長期の矯正治療」、東京歯科大学教授 西井康先生が「咀嚼筋と顎骨骨質の関係そして矯正治療後の安定性」、九州歯科大学講師 郡司掛香織先生が「当分野で行っている垂直的問題に対する外科的矯正治療」、広島県 小川晴也先生が「垂直的問題に対してアプローチを行った矯正歯科治療の長期保定 -開咬の術後長期経過からの考察-」について講演されました。
今回の日本矯正歯科学会は、「矯正歯科専門医」の件で、記念すべき大会であったと思います。
「日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医」を取るには、日本矯正歯科学会の認定医を持っていることが条件であり、その条件となる日矯認定医を取るには、最低2年間の基本研修機関での研修、そのあと最低3年間の臨床研修機関での研修を行わないと、認定医試験を受験することが出来ません。
現状の大きな問題点として、先生によっては諸々の事情で基本研修機関に残れないことがあります。
特に女性の歯科医師は、妊娠、出産などや、家族の事情等によって、やむなく大学に残ることを断念した、という先生が多く存在します。
認定医や専門医の目的が、「患者さんが安心して矯正治療を受けられるようにすること」であるならば、基本研修機関で研鑽することが出来なかった歯科医師に対しては、
などの救済策を作り、大学に残れなかった歯科医師にも日本矯正歯科学会認定医試験の受験のチャンスを与える、ということが必要であると考えます。
これは、海外では既に行われていることであり、日本では、例えば「大検」のように、高校を卒業出来なかった人にも大学受験資格を与える、ということが行われています。
日本に存在する最大かつ最高権威の矯正歯科学会という学術団体として、御一考頂けることを希望します。
本学会では、学術展示171題も目を通してきました。
非常に濃い3日間でした。
次回は 2025年9月29日から、札幌コンベンションセンターにて開催されます。
折角横浜に来たんだからと、帰り道、中華街に寄りました。
焼き小籠包は、いつも火傷するアツアツでしたが、この日は3軒食べてもみんな冷たくて、美味しくなかったです。
自分は、テレビはあまり見ないほうですが、毎週、これだけは録画しても必ず見るという番組があります。
日曜日の朝 8時から BSでやっている 「ゴルフ侍」 という番組で、腕に覚えのあるアマチュアがプロと対戦するというものです。
プロは、第一線のツアーから退いたシニアで、年配の方は 70才を超えていることもあります。
しかも、そのコースは番組収録で初めて回るというプロもいます。
一方、アマチュアは、年に何十回もラウンドしている自分のホームコースで、コース攻略法も、落とし穴も全て知り尽くしており、幾度かクラブチャンピオンになっている、番組が選りすぐったアマチュアで、自分でも相当の自信があって出てきている筈ですので、条件的にはアマチュアが断然有利な筈です。
ところが戦績は、2024年 2月 18日の時点で、プロが 415勝、アマチュアが 84勝、59引き分け、と、プロの圧勝です。
結果も然りですが、見ていると、アマチュアとプロはゴルフの内容とレベルが全く違います。
プロとアマチュアの決定的に違う部分、それは、プロはアマチュアのような、あり得ないような失敗をしない、そして、キチンと結果を出す、ということです(中には超下手くそなプロもいますが、、)。
有名なプロが言うには、アマがプロに勝てないのは、練習量の違いもさることながら、「考えていることが違う」からだそうです。
何を言いたいか、、、ゴルフの話ではなく、矯正歯科の話です。
以前、非常に大規模な小児・矯正歯科の先生の医院にお邪魔した際、院長先生から「廣くん、症例検討会に出るか?」と聞かれたので、出ました。
そこの勤務医のプレゼン中、「なんでそうなるのかなあ、、」と思い、聞いていました。
プレゼンが終わった後、院長先生から「廣くん、何かあるか?」と聞かれたので、「この患者さんの主訴は何ですか?」と聞いたら、院長は真っ赤な顔をして怒り出し、「廣くんなあ! この子らには、まだそんな事教えてへんのや! あまり変な事言わんといてくれるかな!」と怒鳴られました。
別に怒られるような事は何も言っていないので、唖然として返す言葉を失いましたが、この先生達は、患者さんを治療する上で最も大切な「患者さんの主訴」を知ろうともせず、レントゲンと歯列模型だけを見て「歯並べ」をしようとしている、つまり、その医院の矯正の患者さんの殆どは小児歯科治療からの持ち上がりで、患者さんが矯正治療を希望していないことが多いので、主訴を聞かれて激怒したのでした。
かかりつけの一般歯科や小児歯科の先生(以下GPオルソ)に矯正を勧められたので治療を開始したが、何年経っても治らない、と、ひろ矯正歯科に泣きついてくる患者さんが毎年相当数います。
混合歯列期にパノラマを撮って、側方歯群が重なっている、これはアゴが小さいからだ、だからアゴを拡げる治療をしないといけない、と言ってアゴを拡げるのです。
でも、混合歯列期にパノラマを撮れば、側方歯群が重なって写るのは当たり前のことで、重なっているから隙間が足りない、アゴを拡げないといけない、というのは間違っているのですが、それを知らない先生が非常に多いです(GPオルソだけでなく、矯正専門医にもいます)。
(症例 1)
7才 10ヶ月の女の子のパノラマで、未萌出永久歯が重なり合って、永久歯が入りきらないように見えますが、女の子の成長のピークは概ね 11才くらい、これから身体もアゴも成長する時期です。一般歯科でアゴを拡げると言われて、セカンドオピニオンで来院されました。
経過観察して 11才 9ヶ月の時のパノラマです。アゴを拡げてはいませんし、第一段階の治療も何もしていませんが、永久歯萌出後、叢生は殆どありませんでしたので、非抜歯で矯正治療を行いました。
(症例 2)
9才 8ヶ月の男の子のパノラマで、症例 1と同じように未萌出永久歯が重なり合って、永久歯が入りきらないように見えます。やはり、一般歯科でアゴを拡げると言われて、セカンドオピニオンで来院されました。男の子の成長のピークは概ね 14才くらい、これから身体もアゴも成長する時期ですので、このまま経過を観察しました。
経過観察して 12才 8ヶ月の時のパノラマです。アゴを拡げてはいませんし、第一段階の治療も何もしていませんが、永久歯は問題なく生え、非抜歯で矯正治療を行いました。
治療経過など、詳細はまた別の機会に御紹介します。
GPオルソがホームページにアップしている治療例を見ると、専門医よりも安い費用で、専門医と同じような矯正治療が受けられるように書かれていることが多いですが、治療中に不信感からひろ矯正歯科に相談に来られた患者さんの中には、その不適切な処置がなければ何でもない症例だったのに、その処置のせいで外科矯正(アゴ切りの手術です)を余儀なくされた、本当に気の毒な患者さんもいました。
GPオルソと私達矯正専門医との違いは、「ゴルフ侍」のアマチュアとプロの違いです。
GPオルソの殆どは、歯科大学を卒業してから一般歯科医としてスタートし、一般診療のかたわら収入アップを目的とする矯正セミナーなどを受けて、矯正治療を始めたという先生で、矯正歯科の専門教育を受けていません。
一方、矯正専門医の多くは、大学卒業と同時に大学の医局に残り、矯正歯科専門医を目指して何年も矯正歯科一筋に勉強します。
こうゆう背景の違いでしょうか、GPオルソの先生と話していると、私達矯正専門医とは本質的に考え方が違うと感じることが非常に多いです。
ただ、症例数に関しては、大規模小児歯科などは矯正専門医よりも多いことがあります。
これは、虫歯治療で来院した小児の患者さんをエスカレーター式に矯正治療に誘導してゆくためですが、治療の方法、治療内容や治療結果は全く違うことが多いと感じます。
日々診療してると、こんなアフォみたいな DMや SNS広告が毎日送られて来ます。
金、金、金、金、そんなに金が欲しければ歯医者をやめて、他の仕事をすれば良いと思います。
こうゆう会社が成立するのは、それを申し込むアフォな歯医者が多いからに他なりません。
矯正専門医とは何か?
ひろ矯正歯科の HPには、患者さんが相談できる「相談室」があります。
私からの返事には、決まり文句のように、「日本矯正歯科学会の臨床指導医の先生のところに行ってください」と書いていますが、その理由は、「日本で最高の矯正歯科学会が認めた専門医(臨床指導医)」は、GPオルソの先生達が普通にやらかしてしまうような、とんでもない失敗をする心配がない、というのがその理由です。
日本矯正歯科学会の臨床指導医の先生は、日本矯正歯科学会の HPから検索する事が出来ます。
医療ですから、全て完璧ということはありませんし、プロゴルファーの中にも「超下手くそ」がいるように、矯正歯科専門開業している先生にも知識や力量に差があるのが当然です。
私は自分の治療が完璧とは思っていませんし、全ての患者さんを 100点満点で終わっているなどとは思っていませんが、患者さんに満足して頂けるよう、他の専門医からも尊敬されるような矯正医でありたいと、毎日一生懸命精一杯頑張って診療しています。
おかげさまで、私が治療した患者さんが結婚されて、お子さんや配偶者を連れてきてくれるのは、私の腕を信頼されているからだと思います。
舌側矯正に関しては、私が舌側矯正を始めた 30年前は、舌側矯正は治療期間が長く、ちゃんと治らないと信じられており、実際に、世界で有名だと言われていた先生達でさえ、間違った通説を信じて治療し、臼歯部には外側に装置を付け、治療のレベルも低くて、見ていて絶句する事が多々ありました。
私が 2005年に舌側矯正で EBOに挑んだのは、リンガルでもラビアルと同じ治療期間で同じ治療結果が得られるということを証明するために、第三者に評価してもらうのが目的であり、自己研鑽のためでした。
先日、歯科医師会の書類を読んでいたら、某先生の略歴に「EBO(ヨーロッパ上級矯正専門医)」と書いてあるので、「は? 上級って何だ?」と思って、Yahooに「ヨーロッパ上級矯正専門医」と入力してみると、「ヨーロッパ上級矯正専門医」とホームページに書いている先生が EBO holder 日本人 11名の中で 4人いることがわかりました。
しかもその 4人は全員、日本矯正歯科学会臨床指導医。
European Board of Orthodonticsは、日本語では「ヨーロッパ矯正歯科専門医」であり、「advanced」、「senior」、「upper superior」などの上級を意味する語句は何処にも付いていません。
4人の中には HPに「アジア人で初めて合格」と書いている先生もいますが(この人が最初に「上級」をつけ加えたようです)、これは当時の主任教授がこの先生に EBO受験の機会を与えただけであって、誰も受からない難しい試験に初めて合格したアジア人ではありません。
「上級」の先生に連絡してみると、返って来たのは、サイトは自分では修正出来ないとか、EBOの試験は昔と今は違うとか、おかしな言い訳を並べたてるので、試験の内容について EBO事務局に問い合わせてみましたが、試験は昔も今も何も変わっていないという返事が返って来ました。
この「上級」の 4人、HPを見ると、EBOを宣伝目的で使っているのが丸出しですが、これは EBOの本来の目的・規約違反の筈です。
一体、この人達は、何を目的で専門医試験を受けているのでしょうか。
自己研鑽、第三者評価が目的じゃ無いのでしょうか。
こうゆうことをする人がいるから、海外の試験に日本人が Apply出来なくなるのだということがわからないのでしょうか。
EBOの HPに掲載されている EBOの目的には、“EBO for your advertisement”などとは書かれていません。
勝手に「上級」を付け加えるのは、厚労省広告規制の「患者に誤解を与える表現」、「自分が他よりも優れているかの表現」、「事実と異なる記載」等に該当する筈です。
医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)を読んでも、明らかに違反事項だと思います。
「上級」と付けている人がいるから自分も「上級」を付ける、私はそんなアホなことは死んでもしませんが、真面目に矯正専門医をやっている者からすると、何とも不愉快な話であり、由々しき問題であると思います。
自分が日本で最高の「日本矯正歯科学会専門医」であるという誇りと、自覚を持って欲しいと切に思います。
私はこんな専門医には なりたくないです。
これを読んで、私を悪者にして騒ぐ先生がいると思いますが、御自由にしてください。
私は、おかしいものはおかしい、間違っている物は間違っている、そんなことも言えない人間にはなりたくないです。
患者さんの皆さん、歯医者選びは慎重に、一般歯科で矯正治療を受けるのは、やめてください。
特にアライナー、インビザラインなどのマウスピース矯正を患者さんに勧める GPオルソが増えていますが、トラブルが物凄く多いです。
取り返しのつかない事になってからでは遅いです。
矯正治療は日本矯正歯科学会の臨床指導医の先生のところで受けて下さい。
先日、第115回歯科医師国家試験の結果が厚労省から告示されました。
全国 28校全体の合格率は 61.6%(受験者数 3,198人、合格者 1,969人)、内訳は、新卒者が 1,999人中合格者 1,542人(合格率 77.1%)、 既卒者(いわゆる国試浪人)が1,199人中合格者 427人(合格率35.6%)とのことです。
私が歯科医師国試を受験した頃は、たしか 100%が 10校くらい、母校の松本歯科大学は新卒既卒の合計が 97.6%だったと思いますので、それに比べると随分と合格率が低くなっています。
これは国の政策で歯科医師国試のカットラインが変わったことによるものだそうです。
私が学生の頃は、「留年」っていうと、とんでもないことをしでかしてしまったというイメージがありましたが、今では留年や放校は珍しくないようで、歯学部に入学してから一度も留年せずに、一発で国試に合格する学生は、国公私立全ての大学で概ね 50%ほど、つまり一緒に入学したクラスメートの半分しかいないということになります。
今や歯学部に入学したら、国試までの6年間、相当気合いを入れて、毎日毎日、本当に一生懸命勉強しないと歯科医師になれないのです。
上の表に示すように、我が母校松本歯科大学の現役の合格率は、全国国公私立 28校中 2位で、全ての国立大学よりも良い成績です。母校の先生方、学生さん達、よく頑張ってくれています。
既卒の国試浪人を含む総数では全国 8位と、こちらも優秀ですが、既卒の国試浪人の合格率が 15.4%ですから、彼らがクリアすることが出来れば、全体の合格率は飛躍的にアップします。
国試浪人の皆さん、目標も期限もなしにダラダラやっていてもダメです。
「次回の国試に受からなければ歯科医師は諦める」という覚悟で国試に臨んで欲しいと思います。
私は母校の国試合格率が高いからといって自慢するつもりはありませんし、松本歯科大学OBであるということは、別に誇りに思ってもいませんし、恥じてもいませんので HPにも明記していますが、卒業生の中には、松歯大卒であることを隠す者がいます。
歯科医師の中には、自分よりもランクが低いと思われる大学の出身者を馬鹿にし、歯科医師としてのレベルが低いように見下したりする人がいるからです。
実際に私自身、学会やセミナーなど、公衆の面前で自分の耳を疑うような侮辱をされたことが何度かあります。
矯正歯科界に於いても、出身校を聞いた途端に態度が横柄になったり、SWAを使っている先生を wire bendingが出来ないと決めつけて馬鹿にする人がいます。
私自身は日常臨床では Chair timeを短くし、患者さんの快適さのために SWAを使っていますが、 必要に応じて 2×4、2×6、loop mechanicsも使いますし、Burston の Segmentも使っています。
TPAは印象を採ってラボで曲げる先生が多いですが、私は曲げ始めからセットするまで約5分ですので、 chair sideで曲げています。
Wire bendingは矯正の初歩の初歩なのですから、出来て当たり前なのに、そんなことで自分が優れていると勘違いして天狗になり、あろうことか、国立大学の助教が、授業中に、大勢の学生の前で、「松本歯科大学とか日本歯科大学新潟歯学部にはデンタルで行ったけど、馬鹿すぎて困った」などと発言した事実があります。
学生を指導する立場の人間が、授業中に、公の場でそのような事を言う、これは決して許される問題ではありませんので、時期を見て主任教授、学務、歯学部長に抗議したいと思っています。
日本の大学も外国の大学のように、学生が指導教官を評価するシステムを取り入れ、このような不適切なインストラクターは大学から追放されるようにならないと、歯科大学での教育は良くならないと思います。
私が母校に望むことは、名物教授の存在です。
私が学生の頃は、例えば口腔外科では千野武広先生、待田順治先生、補綴では橋本京一先生、保存では安田英一先生、障がい者歯科では笠原浩先生、矯正歯科では出口敏雄先生などなど、日本でも指折りの教授がたくさんおみえになりました。
今でも宇田川先生のように世界で活躍されている先生はいらっしゃいますが、「○○教授の○○を勉強したいから松本歯科大学に入りたい」という学生が増えてくれれば、学生のレベルももっともっと上がり、国試合格率も自然とアップするのではないかなと思います。
納村先生時代の日大矯正歯科は凄かったなあ、、。