2023年 12月 17日、LTSOAが東京 ヴェルサール神田で開催されました。
矯正歯科という学問は 200年以上の歴史があり、治療後の安定について いろいろな先生、研究者が研究していますが、これをやったらマズい、ということはわかっていても、こうすれば安定する、ということはわかっていません。
矯正治療で歯並びを治せば、ずっと綺麗な歯並びでいられると思っている患者さんがいますが、歯並びは矯正してもしなくても加齢と共にだんだん悪くなるのが普通であり、矯正治療後の歯並びを何もしないでそのまま維持してゆくことは不可能で、きれいな歯並びを維持してゆくには「保定」が必要です。
保定に関しては、通常 2年間の保定期間で終了して、さようなら、また凸凹になったら来て下さい、と言って、再治療を希望する患者さんには再chargeという先生が多いのが実情です。
矯正治療後には保定は絶対必要であるのに、矯正専門医の中には、保定料金を治療代とは別に chargeするという、ちょっと常識外れというか、悪徳っぽいというか、信じられないことを平気でやっている先生もいます。
ひろ矯正歯科では、保定には異物感・発音障害の大きい可撤式の保定装置は使わず、異物感の殆ど無いリテーナーで、最低限 3年間の保定を行っています。
その間は半年に 1回チェックに来て頂き、3年経ったところで外すかこのまま保定を続けるか、外したらどうなるかの説明を行い、外すか外さないかの判断を患者さん御自身にして頂いています。
保定延長を希望される患者さんには、追加料金等は一切無しで、患者さんが希望する限り保定を続けていますが、殆どの患者さんが長期保定を希望されており、20年以上保定のワイヤーが入っている方が多いです。
ワイヤーが付いていてもフロスや歯間ブラシは使う事が出来ますので、虫歯や歯周病になる心配はありませんが、長期保定の患者さんは、最低でも 3年に 1度はチェックに来て頂いております。
時々、ワイヤー切れや脱落などで急患で来られる方がいらっしゃいますが、通常はその対応も無料で行っています。
患者さんの中には、チェック料が欲しいから外してくれない、と思っている人もいるようですが、正直なところ、長期保定は医院にとって大赤字ですので、本当は前述のように 2年で外してサヨウナラ、戻ったらまた再治療を再chargeで行った方が助かるのですが、折角私のところに来てくれて、何年も通ってくれて、高いお金を払ってくれた患者さんに対して、そのような対応は私には出来ませんので、長期保定は完全にボランティアで行っています。
この LTSOA、矯正歯科長期安定研究会という会は、この永遠のテーマである長期安定に関する研究会で、今回が設立されて第1回目の開催です。
「学会」と名乗るには所定の条件があり、これらを満たさない限りは正式には学会とは認められません。
ですので、通常は「研究会」として発足し、実績を積んでから学会に昇格というステップを踏みますが、中には有志が募って勝手に「日本○○矯正学会」などと名乗っているものもあります。
本研究会は、大学の教授も発起人となっており、研究会としてスタートしています。
開催の御知らせが来た際に、「これは絶対に参加したい」と思い、即申し込みました。
実際に参加してみて、初回であるのに200名ほどの先生が集まりました。
第1回学術大会、大盛況でした。(写真は小川先生から拝借しました。)
最近の学会の傾向として、演者が講演時間を守らないために質疑応答の時間が無かったり、時間はあっても雰囲気的に挙手発言しにくかったり、ということが多いですが、本会は参加人数は多いものの、at homeな雰囲気で、私は 3度ほど質問させて頂きました。
質問中のワタクシ。(写真は小川先生から拝借しました。)
症例展示もあります。皆さん熱心に読まれています。(写真は小川先生から拝借しました。)
次期大会は、2024年12月15 日、秋葉プラザで開催の予定です。
私は講演を依頼され、一応、お受けしましたが、もしかすると、辞退するかも知れません。
理由は、登録は先着200名限り、とのことですので、演者も登録が必要かどうか問い合わせたところ、演者も参加料を払って登録、懇親会も参加費を支払ってくれとのことで、理由は会にお金がないからとのことですが、特別講演を含めて演者 6名、たった 6万円のお金が工面できない筈が無いわけで、他に理由があるならばハッキリと言えば良いと思います。
講演するということは、診療時間を削って、寝る時間を削って準備するわけですから、足代も謝礼もない上に参加費用も懇親会費用も支払えというのは、演者に対して失礼だと思うのです。
私は過去30年ほど、ALOA、ESLO、CEO、WSLO等々、海外の学会や大学で講演してきましたし、講演以外にCourseも行って来ましたが、謝礼を要求したことはありませんし、金目当てでやっているわけではありません。
ただ、最低限、参加費は無料、ガラディナーは招待、これは講師に対する最低限の表敬であり、礼儀であると思うのです。
お金が無いとのことですが、参加費 1万円だと 200名集まって 200万円ですが、2万円だと 400万円、3万円だと 600万円になりますから、懐事情が全く違ってきます。
第1回はインパクトと内容から考えて、仮に 2万円取っていても同じ数は集まったと思います。
2024年の参加費は既にネットで公開しているので今さら値上げするわけにもいかないでしょうが、講演するということは、それなりに経費もかかり、診療を削って、或いは寝る時間を削って準備するわけですから、それなりの対応が出来るようにプランニングすべきではないかと思います。
例えばアメリカの著名な先生をオンラインでライブ公演して頂き、会場で流す。
オンラインなら講師の航空券もホテル代も必要無く、薄謝で済みますし、十分に集客力はある筈で、時差を考えても十分に実現可能な筈です。
参加費も、例えば、入会金 5000円、参加費は会員 15000円、非会員 25000円、と設定すれば、非会員で参加するよりも入会した方が安くなり、より多くの入会者を獲得できる筈ですが、こういった工夫もされていません。
繰り返し書きますが、僕はお金目当てで講演などやっていませんし、要求したことなど 1度もありませんが、礼を失することは大きな問題であり、折角面白い会が出来たのに、その芽を摘むような事にならないようにと思いましたので、大会長に連絡させて頂きましたが、軽く遇われたというのがその理由です。
どんな学会でも研究会でも、座長として壇上の座長席に座るということは、座長としての役割と務めがあり、大会長には大会長としての責任と勤めがついて回るもので、名誉以外に義務や責任がついて回ると思うのですが、、。
今年も松本歯科大学から御指名を頂き、歯学部4年生の特別講義をさせて頂きました。
まずは、他では見られないであろう舌側矯正の治療例を数症例紹介し、巷で言われている「舌側矯正は治療期間が長く、ちゃんと治らない」とか、「喋れなくなる」、「上顎はリンガルでも良いが、下顎はラビアルの方が良い」等々が如何に間違った情報であるかとうことを立証し、矯正歯科の目的や効果についてお話しし(学生さんには難しすぎるため、同席していた医局の先生達のためにお見せしました)、昨年同様、皆さんは何故歯科医師になるのか、どうゆう歯科医師になるのか、という質問をしました。
というのは、歯科医師のあるべき姿からかけ離れ、患者さんを食い物にして、暴利をむさぼる最低な歯科医師が目に付くからです。
先日の銀座の何億円も持ち逃げした歯科医院は論外ですが、こういった話は大都市に限ったことではなく、長野県内にも「あなたの口をきちんと治療するには、最低でも 1000万円は見ておいてください」と平気な顔で言う歯科医師が実在します。
保険診療では自分の理想の治療が出来ないから自費で診療される先生は理解出来ますが、保険の効く筈の歯周病治療で 1000万円!
患者さんの中には家を売って支払ったという人もおり、医療法人というより宗教法人かと言わざるを得ません。
その歯科医師は、某スタディークラブの会長をしており、御自身の治療には、たいそうな自信があるようですが、海外のレベルから見ると全然大したことはなく、自信では無く過信、典型的な悪徳歯科医で、治療以外の面でも、人を平気で馬鹿にする、仁義をわきまえないなど、人間性にも問題ありで、そんな人間は歯科医師を辞めて欲しいと思います。
講義では、そのような実例を挙げつつ、矯正歯科は今後どうなるのか、特にアライナー(いわゆるマウスピース矯正)が世界中で急速に拡大しつつあることで、矯正歯科に対する moralと philosophyの欠如した歯科医師が増え、取り返しのつかない結果になって泣きを見る患者さんが爆発的に増えるということ、そして wire bendingが出来ない、診断も出来ない「ナンチャッテ矯正専門医」が増え、本物の矯正歯科専門医の存在そのものが危ぶまれる時代になるであろう、ということについてお話させて頂きました。
私自身は今まで、relapse症例など、Bracketを付けるよりも Alignerの方が適していると判断した症例には in houseで作製して使っていましたが、基本的には Alignerを否定してきました。
それは Alignerそのものの限界というより、矯正の知識が全く無い歯科医師によって信じられないようなトラブル症例が Alignerによってたくさん作られてきたということが一番大きな理由です。
Alignerそのものについては、最近の Software、Hardware、Materialの改良と、尾島先生をはじめとする Aligner expertの存在によって、やるべき人が、キチンと手順を踏んで、症例を選んで行えば、素晴らしい結果が得られ、今や multi bracket法のみが矯正の治療では無いと思っています。
但し、繰り返し書きますが、Alignerを使うにしても、矯正学の基本的知識が必要なことは変わりなく、先日初診相談で来られた患者さんは、他医でアライナーを2年ほど治療しており、歯根は骨から飛び出し、臼歯関係は狂い、上顎前歯は前突して著しい horizontal open biteになっており、本当に悲惨な状態でした。
アライナーに限らず、矯正治療では、金銭面でのトラブルも多いです。
治療を開始する前に全額前金で払わせておき、一旦支払ったお金はいかなる理由があっても返金しませんという念書を取る。
そんなのは歯科医師を辞めて、詐欺師か暴力団にでもなったほうが良いと思います。
こんなクソ歯科医は、自分が逆の立場なら納得して支払うのでしょうか?
絶対に支払わないと思います。
私が大学を卒業した当時は、矯正専門医というのは希有なる存在で、矯正歯科と標榜することも認められていませんでした。
一般歯科で開業すると、開業直後からたくさんの患者さんが押し寄せて大忙しということが多いですが、矯正専門開業は、立ち上げの数年間がまさに地獄の苦しみで、どんなに苦しくても一般診療には絶対に手を出さないぞ、死ぬまで走り続けるんだ、という、本当に想像を絶する覚悟と努力と耐力が必要でした。
なので、医局の先輩達も矯正専門で開業する先生は少なく、一般歯科・矯正歯科、あるいは小児歯科・矯正歯科で開業する先生が殆どでした。
今回私が講義をしたのは 4年生ですが、彼らは来年になると臨床予備実習があります。
私達が学生の頃は、登院する前にポリクリというのがあり、無事ポリクリを終えると臨床実習で大学病院に登院して患者さんを配当されるのですが、毎日診療前に診療計画書をインストラクターに提出してOKを貰わないと患者さんを診させて貰う事は出来ませんでした。
今ではカリキュラムが変わり、臨床実習前には、CBT、OSCEという試験があり、これらを通過しなければ、進級は不可、留年になります。
これらの試験は国が行っているものですが、学生の人生を左右する重要な節目であるにもかかわらず、非常に大きな問題がいくつもあります。
まず CBTに関してはパソコン相手であるため、試験官の主観が入ることは無いのですが、OSCEは以下のような重大な問題があります。
などなどです。
1は、非常に重要なポイントで、例えば、私が試験官を務めていたヨーロッパの指導医の試験は、完全に Blind、Anonymousで行われており、試験官からはその Applicantが何処の誰なのかわからない、受験する Applicantからも、自分を評価する Examinerが誰なのか、わからないようになっています。
さらに評価は 2人の異なった試験官が1人の Applicantの採点を行い、お互いの採点結果を照らし合わせて、最終的に合否が決められます。
合否が決まった後、Examinerと Applicantは対面して、Examinerは Applicantに合否を告げ、採点の基準について説明、これは何点減点である、これは何点加点である等々の Feedbackを行います。
したがって、何故不合格なのか納得のいかないまま終わり、とか、友達だから合格させた、ということはありません。
ところが、日本で行われている OSCEは臨床想定の試験が対面で行われており、最も大きな問題は、その試験官と受験する学生は、座学や基礎実習などで何度も顔を合わせていて面識があるということで、試験官を務める医局員が、「この学生は気に食わないから落してやろう」と思えば簡単に落とせる、逆に部活の後輩など、自分のお気に入りの学生に対しては、ミスがあっても見ぬふりをして合格させることが可能であるということです。
つまり、仮に全国屈指の優秀な学生が毎日 OSCE対策のトレーニングを積み、本番の試験で何も問題なく終えたとしても、試験官がコイツは落してやろうと思えば簡単に落とせる、試験官次第でその学生の人生が変えられる可能性がある、ということです。
試験要項では、試験の様子はビデオ撮影され、いつでも再審査が可能であるように詠われていますが、実際にはそのようなことは無いようです。
試験結果を公表しないという理由は、問題漏洩の防止のため、とされていますが、結果の公開非公開と試験問題漏洩とは無関係であり、しかも試験官は、結果が非公開でクレームは一切受け付けないということを知っているので、不当な評価で学生を不合格にしたとしても、それが立証されることはない、つまり試験官の好き放題、やりたい放題がまかり通っているという事です。
これらは医学部のOSCEに関する投稿です。
受験する学生側にはいろいろな制約があり、納得出来ないルールがいくつも存在するのに、試験官は好き放題、やりたい放題で、試験官を評価するシステムは皆無なのです。
この問題をクリアして、OSCEを正当かつ公平な試験にするには、
等々でしょうか。
そもそも医学部、歯学部の一般教養以外の基礎実習、臨床実習などの学生教育は、教授でも教員でも何でも無い「ただの医局員」によって行われており、その医局員達は教育に関するトレーニングは何一つ受けていないということ、その連中の中には、自分が学生時代にインストラクターに虐められてとても辛い思いをしたから、今度は自分が学生を虐めまくってやろうと考えているような、人格に問題のある者もいるということです。
なので、学生が徹夜で必死で何十枚も書いてきたレポートを学生の目の前でビリビリに破いて大声で怒鳴り散らしたり、学生の作ってきた製作物を学生の目の前でゴミ箱に投げ捨てたり、学生のカバンを足で蹴っ飛ばしたりする医局員がいるのです。
私が学生の頃、同級生が保存科のインストラクターから連日ひどい虐めを受け、その同級生は「あの野郎、卒業したら絶対殴ってやる」と言っていました。その同級生は卒業式の日に本当にそのインストラクターをぶん殴って、殴られたインストラクターはロビーで腫れ上がった顔を冷やしていたのを思い出します。
海外の歯科大学では、インストラクターが学生の評価を行うだけでなく、学生もインストラクターの評価を行い、評価が低いインストラクターや、クレームが多いインストラクターは大学から追放されます。
日本の全ての歯科大学でも、1日も早く学生が教員を評価できるシステムが導入され、不適切なインストラクターが歯科学生の夢や希望を奪う事がなくなるよう、心から希望します。
学生諸君、泣き寝入りしないで、みんなで力を合わせて闘え!
附:上記は、松本歯科大学のことではありません。一般的傾向として、私立大学は学生に優しく、国公立大学では上記のような傾向が強いようです。
3月1~3日、神戸国際会議場にて、9th World Society of Lingual Orthodontic meetingが開催されました。
本学会では、Aligner VS Lingualというテーマでシンポジウムを行うので、話して貰えないかと、学会長の布川先生、大会長の橋場先生から、今から 3年半前の2019年11月、Napaでの Angle biennial meetingの際に頼まれました。
WSLOは3回連続して欠席すると退会になるというルールがあり、自分はWSLOを辞めたいと思っていたので、2013年、Parisで行われた学術大会を最後に出ていませんでした。
Napaで頼まれたときに、にっこり笑って、「残念ながら、僕はもうメンバーじゃ無いんですよ」と言うと、布川先生、橋場先生から、僕は終身会員だと言われ、驚きました。
その場の雰囲気で拍手となって決まってしまい、お受けしたのですが、その後、コロナが蔓延し、1年また1年と延期になり、会場も大阪から神戸に変更になり、今年の3月に開催となりました。
久々の大会場での Oral presentation、思えば、コロナが蔓延してから講演したのは、2020年の Angle meetingと、2020年の甲北信越矯正歯科学会(オンデマンド)、2022年10月の松本歯科大学での学生講義くらいです。
講演は慣れているとはいえ、やはり講演が近づいてくると、ナーバスになり、毎日、夜中にしょっちゅう目が開き、毎朝4時半、5時には寝ていられなくなって起床します。
毎日診療でクタクタになるので、夜はとてもPCを開く気になれず、朝から毎日少しづつ準備です。
今回の講演で一番困ったのは、20分という講演時間で、今までの私の講演は最低でも 30~40分、長いときは 2時間、3時間ということが普通でしたので、20分という短い時間では自分の言いたいことも言えない、症例も見せられない、、、非常に困りました。
でも、パネラーが6人いますので、1人 20分でも 2時間、1人 30分だと 3時間になるので、20分という時間は仕方が無いです。
講演当日の朝。予備機を持っていったのですが、予備機がクラウドとトラブってしまって、メインのマシンまでおかしくなって、滅茶苦茶焦っているところです。ほんとうに、メッチャクチャ焦りました。
本学会での「仕事場」、神戸国際会議場のメインホール
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本学会では、上顎前突を伴う著しい症例など、アライナーでは到底治療出来ないだろうなと思う症例を 3症例、しかも2症例は治療後 10年、15年の長期保定の経過を提示し、さらに「私のリンガルに対する情熱」と題して、35年前から私がやってきたことを、いつもどおり Jokeを盛り込んでお話しました。
第一症例の治療前と治療後
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第二症例の治療前と治療後
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第三症例の治療前と治療後
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今でこそ、いろいろな装置やインスツルメントが各社から販売されていますが、35年前はブラケットも Kurzのみ、インスツルメントも限られた物しかありませんでした。
無ければ作れば良い、と考え、私のオリジナルのブラケットやインスツルメントを開発し、学会で報告してきました。
いつの時代でも、どんな分野でも、人の作った物を真似て、あたかも自分が最初であるかのように言う人がいますが、この世界でも同じで、例えば、私が考案したヒロ・システムをほんの少しモディファイしただけで、”Now, we are not using Hiro System but Kommon base”などとわざわざ国際学会で言う。
でも結果的にそれでは IBSの精度が出ないので、結局 Kommon baseのコアを切縁・咬合面まで延長して、その延長部分は Bonding後に除去する。
そのまんま Hiro systemです。
要するに、自分が追い越されたから邪魔をしてやろう、有名になって気に入らないから恥をかかせてやろう、嫌がらせはそれだけでは無く、矯正メーカーいろんなところに手を伸ばして私の製品開発を妨害する。
そうゆう人間がいるかと思えば、何年もの間 友達面して 頻繁に ひろ矯正歯科に見学に来て、友達だと思うからこそ、いろいろ隠さず見せて教えて、おしまいには私が発明したスロット形状をそのままコピーして学会発表し、一言の挨拶も詫びもなしにメーカーから大々的に売り出す。
Kommon baseの小森先生は、発表に際し、一言 Hiroの名前を出して敬意を表してくれますが、こうゆう奴ら、人間的におかしいでしょう。
頭に来たので、私のプレゼンでは思いっきり毒を吐いてやりました。
自分で考案・発明したものではなく、私の考案を学会で見て、そのままコピーしてあたかも自分で考えたように売り出す、日本の近くの某国では当たり前に行われていることですが、日本で、しかも友達のように振る舞っていた者が無断でこうゆうことをするってのは、正直人間不信に陥りました。
演者 6人の中には、いつも絶対に講演時間を守らない者が含まれていますので、大会長の橋場先生には 20分という時間を絶対に厳守させて欲しいと何回も何回も念押ししてあったにもかかわらず、講演開始の際に座長がやって来て、「Scuzzoだけ 30分話します、遠いところから来てるので」とのこと。
冗談じゃ無いです、みんな話したいことが一杯あるのに 20分でまとめてきているというのに、彼が 10分長く喋れば Discussionが 10分短くなるということが座長なのにわからないのでしょうか。
Scuzzoと Takemotoはいつも講演時間を守らないですが、これは演者として失格、学会で話す資格は無いと思います。
Scuzzoの プレゼンの内容はといえば、いつもどおりのアレな内容、聞きたくもないので、トイレに行きました。
Scuzzoが講演時間を無視して時間超過しても話し続けたために、Discussionは 演者全員一言のみ。
私は Alignerの先生方にいくつも言いたいことを準備していたのに、殆ど言えず、閉会式の時間となってしまいました。
そんな短い時間の中で、どうしても言わなければならなかったことは、Alignerをやっている先生は、写真だけ見せて、治った、治ったと言う先生が多いが、歯科矯正学は evidenceに基づいた医学的治療であって、「歯並べ」をしているわけでは無いので、矯正歯科を名乗るのであれば、治療開始前の検査結果や診断結果、治療目標などもキチンと提示し、治療に際しては、歯科矯正学の基本原則である項目、例えば、治療によって下顎前歯が Flare outしていないか、犬歯間幅径は拡大されていないか等が守られているか、ということを示して欲しいと言わせて頂きました。
私のコメントには、会場で深くうなずいてくれている先生が多く、嬉しく思いました。
(上記だけでなく、治療後の root parallelingはどうであるか、歯根吸収はどうであるか、歯槽骨の状態はどうであるか、治療期間がどれ位で何回来院したか、などの情報が提示されていて当然なのに、これらについては全く触れない先生が非常に多い、こういった点がアメリカでは Lingual Orthodonticsは treatmentと言われているのに対し、Alignerは therapyと言われる所以であると思います、と言いたかったのですが、時間不足で言えませんでした。)
日本矯正歯科学会では、今では Lingualは「リンガルマルチブラケット法」という学術用語が存在し、認定医や専門医の試験にも Lingualで受験することが認められていますが、私がヒロシステムの論文を投稿した頃には、そういった学術用語は無く、Lingualは悪い評判ばかりで、やっている先生も矯正歯科医というより、金だけが目当ての「破壊者」といった否定的な、白い目で見られていたのです。
私は Lingualでも Labialと同じようにキチンと治療出来るということを証明するために、M-Orthの試験に全て Lingualで受験して合格、ヨーロッパの矯正専門医試験にも全て Lingualで受験して合格、日本矯正歯科学会専門医試験も Lingualで受験して合格してきました。
何十年も前から、はじめから Lingualが日矯学会で認められていたわけではなく、現在、日本矯正歯科学会専門医試験においても Lingualが認められているのは、そういった経緯があるからなのだということをお話しし、Alignerの先生方が、自分は素晴らしい治療をしていると思うならば、Alignerの meetingではなくて、普通の矯正歯科の集まり、例えば日本矯正歯科学会などにも treatment recordを提出して、Alignerが認めて貰えるように行動してくださいと発言させて頂きました。
(上記は今回の演者の先生方を批判するものではなく、世間一般的で「マウスピース矯正」を行っている歯科医師、SNSで 自慢げに Alignerの症例写真を出している先生に対して言ったのですが、演者の先生方には、お分かり頂けたでしょうか。)
シンポジウムですから、講演の後は、会場からたくさん質問が出て、演者とディスカッションするのが常ですが、時間が無いため、質問は小川先生1人に限られました。
これじゃあ、シンポジウムじゃなくて、普通の講演にした方が良かったのではないでしょうか。
大体、リンガルを全くやった事も無い先生がリンガルの学会で座長席に座るとは、おこがましいと思いませんか?
Alignerの第一人者である尾島先生は、Alignerの進化と現状についてプレゼンされ、現在は 3D scannerで口腔内を scanし、チェアサイドで速攻で Clin checkを行い、 Thermo Pressではなくdirectに CAD/CAMで Alignerを作製する、しかも形状記憶のマテリアルを使う、とのことでした。
自分は基本的に Alignerは使っていませんし、この学会に出るまでは、Alignerなんかダメだと思っていました。
私が Alignerを使う唯一の例外は、保定中に wireが切れたりして僅かに不正が出てしまった場合で、作製に際しては、通常どおり印象採得し、set upで歯を配列しなおし、Thermo pressで作る、といった古典的な方法で、全て in houseで行っています。
一番の問題は、作製に要する時間と適合性ですが、尾島先生の行われている方法であれば、chair sideでアッという間に出来てしまい、AT社に注文してから2週間近く待たなくても良いといいう点、しかも適合は従来のものに比べて格段に向上しているという点、Alignerの致命的問題点である咬合面を覆ってしまうという点でさえも、この方法であれば自在にコントロールが出来るという点、AT社に法外な費用を支払う必要が無いためにコストが大幅にカット出来るという点等々、これなら Alignerも良いなあ、 Lingualと同じで出来るドクターが適切に使うならアリかなと思いました。
まあ、私が 35年前に Lingualを始めた理由は、当時は誰がやっても治療期間が長く、ちゃんと治らない、舌が傷だらけになる、喋れない、著しい歯根吸収を起こす、顎関節症になる、やっている人間は矯正学の基礎をわかっていない等々さんざんなことを言われていたので、そんなに難しいならやってみようと思って始めたわけで、35年間リンガルをやってきて、これらの問題点を全てクリアして、リンガルでもラビアルと同じ期間で同じ結果を得ることが出来るということを国内外の専門医試験や学会で第三者評価を得て証明出来ましたので、当初の目的は達したわけです。
私にリンガルで治療をして貰いたいという方が多いので、まだやめるわけにはいきませんが、パクリだとか、人の邪魔をする輩は顔も見たく無いし、この世界にも嫌気がさしてきているので、まずはWSLOを退会し、講演も今後は頼まれたら引き受けるのではなく、自分にとって意義のある学会にのみにしようと思っています。
スライドの最後に Good bye, everyone! と書いたのは、その決意表明です。
Conclusionでは下の2枚のスライドを出しました。
Q:「あなたはなぜ山に上るのですか?」
A:「そこに山があるからです」
「登る山は高ければ高い方が良い」
という名言があります。
Q:「Dr.Hiro、あなたは なぜリンガルをやるのですか?」
A:「なぜならそれが一番高い山だからです」
「矯正歯科で 最も難しいテクニックだからです」
最近、ハイブリッド・リンガルなどという方法を提唱している先生がいます。
聞こえは良いですが、要はリンガルでざっと並べて、細かな仕上げはアライナーで誤魔化すというもので、一般歯科の先生が大喜びしそうな方法です。
超一流の料理人は、最初の一品から最後の一品まで気を抜かず、自分に出来る限り精一杯気持ちを込めて作った最高の料理をお客様に出します。
最後の一番大変な部分をアライナーに逃げるというのは、リンガルをリスペクトしていない、矯正治療そのものに気合いが入っていないということに他なりません。
リンガルをやるなら、それ相当に気合いを入れて、最後までリンガルで勝負するのが一流の Lingual Orthodontistではないでしょうか。
個人的にはもう少し期待をしていましたので、正直、ガックリです。
若い先生の中にはリンガルの将来を背負って立つような気合いの入った先生はいないのでしょうか。
私は死ぬまで筋金入りの矯正歯科医でありたいと思っていますので、そんなハイブリッド・インチキはせず、どんなに大変でも最後までプライヤーとワイヤーで勝負します。
学会が終わった夜はパリ大学の Guillaumeを誘って晩御飯。
大学時代の同級生も来てくれました。彼とは学生時代、一軒家を借りてシェアハウスしていました。
思い出話に花が咲きました。
Guillaumeは学会のあと白川郷や高山などを観光し、20日間日本に滞在するそうです。
学会が始まる前日に現地入りして、終わった当日に帰って、翌日から仕事するというのは、日本人だけですね。
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学会が終わって翌日の土曜日は神戸市内を少し散策し、Eggs’n thingsでパンケーキを。
日曜、月曜は松本でゆっくりとお休みさせて頂き、火曜日からいつものお昼御飯も食べれない日常臨床に戻りました。
久しぶりに会った友人達
Dr. Fillionと Dr. Stradi
Fillion先生は少し会わないうちに随分歳をとったような気がしました。
Robertoは 2022年の Sorrentoでの ESLOの会長。
Key note speakerとして講演を頼まれましたが、コロナ禍でしたので、辞退させて頂きました。
Dr.Kyungと、Dr. Kanarelis
Takisは AthensでのESLOの Presidentで、いつもパリ大学の大学病院でも会います。
学会場の業者展示では、日本を代表する Titan Bicycleの Muller Japanがブース出展。
素晴らしい自転車で、自転車と言うより、芸術品と言った方がピッタリです。
近い将来、世界でも有名なブランドとなるでしょう。