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院長日誌

講演活動

  • 2013/05/18

    À Marseille et Paris

    昨年一昨年に続いて、今年もフランスの矯正専門医達の指導に招かれましたので、フランスに行って来ました。
    4月15日から18日までは、マルセイユ大学で終日フランスの矯正専門医を相手に講演と実技指導、19日はパリ大学で午前中一杯は教授達に舌側矯正のレクチャーを行い、午後は大学病院で患者さんの治療の指導を行って来ました。

     

    マルセイユのハーバー、いわゆる ル・ポルト・マルセイユです。

     

    フランスの歯科大学は全て国立で、マルセイユ大学は医学部・歯学部・薬学部と、それに併設された付属病院がある grande universitéです。
    以前、石橋貴明がフランス人のことを頭がペチャだとか、或いは、前東京都知事の石原慎太郎がフランス人は数も数えられないとか発言していますが、私に言わせれば、何もわかっていないのにテレビでそうゆう事を言う方がお馬鹿、と思います。
    日本の新幹線は今でこそ世界で一目置かれるようになっていますが、世界最速の高速鉄道は今もフランスのTGV(320km/h)、飛行機も世界を代表するエアバスはフランス製、超音速のコンコルドもフランス製、世界最速の市販車もフランス製、医学・歯学の分野でも多国をリードしているのが現状です。

    特に歯科治療では、スーパーモデルを超アップで撮影してもわからないような素晴らしい治療をしますので、審美的歯科治療も、矯正歯科も、レベルが非常に高いです。

    そんな大学の中でも、パリ大学といえば、日本の東大にあたる大学です。
    そこの矯正歯科の教授達に講義をする、大学病院で治療の指導にあたるということは、普通ではあり得ない名誉な事で、例えばナントカ舌側矯正学会の会長とか、カントカ矯正学会の歴代会長とかの肩書きがあれば、政治的に呼ばれることもあるでしょうが、私は今までそのような会長経歴はゼロ、しかも開業しているのは人口6万人の塩尻市、田舎の開業医ですから、私のような者がパリ大学に呼ばれるなんて、なんとも光栄な、有り難い事です。

     

    舌側矯正を極めるということは、通常の矯正は超簡単になるわけですので、ひろ矯正歯科では、舌側矯正だけでなく、普通の矯正治療も他よりも安く安心して受けて頂けます。
    但し、一人一人きちんきちんと治療しますので、どうしてもお待たせしてしまいます。
    予約制なのに、なんで長時間待たせるのかと思っておられる方が多いと思いますが、自分の納得のいく治療をしたいので、一生懸命にやっております。
    何卒、御理解ください。

    ただでさえ忙しいスケジュールをやりくりして、1週間医院を休診にして外国に行くというのは、正直、滅茶苦茶きついのですが、自分のような者を呼んで頂けるという事を感謝し、フランスの教授達に敬意を表してお受けしていますので、学会出張についても何卒御理解頂きますようお願いいたします。

     

    4月14日
    14日午前のエールフランスで成田を発ち、シャルル・ド・ゴールで乗り継いでマルセイユに向かいます。
    マルセイユ空港からホテルまでタクシーで向かい、チェックインして荷物を置いたらすぐに散策に出掛けます。
    港周辺には、安くて美味しそうなシーフードのお店が並びます。
    マルセイユと言えばシーフード、シーフードと言えば生牡蠣ですので、早速頂きました。

     


    生牡蠣6個と、エビと、デザートがついた定食で 12 EURO、お値打ちでした。

     

    4月15日
    集合は8時ですが、朝4時に起きて講義の最終確認をします。
    6時半に朝食を取り、そのあともプレゼンのチェックをしますが、あっと言う間に集合時間に。

     


    教授達と一緒に地下鉄に乗り、大学に向かいます。
    フランスの朝は本当にすがすがしいです。

     


    地下鉄に揺られること約15分、大学に到着しました。

     


    これがマルセイユ大学です。

     

    Toulouseは郊外にありましたが、Marseilleは街中にあり、医学部・歯学部・薬学部がある grande universitéです。
    その中でも矯正歯科は別のビル、1棟丸ごとが矯正歯科です。

     


    このビルが矯正歯科。 ここで CECSMOが行われます。

     

    このコースは、すでに国家試験に合格した先生達で矯正歯科専門医になりたい先生がとる4年間のコースで、大学矯正歯科の教授達が教える、歯科矯正学に集中した4年間のコースです。

    矯正歯科の基本的知識が全くないのに、金目当てで患者さんの矯正治療を行い、とんでもない結果になっているケースが日本だけでなく、フランスにもたくさんあるそうです。
    こういった裏事情は、私が歯科事情に詳しいからわかるのですが、歯医者でなければ、やはり治療の良し悪しも、歯医者の選び方もわからないだろうなと思います。
    今や、医療は医師側の良識だけに頼っていたのでは安心出来ません。
    患者さんが医者や歯医者を選ぶ際の一つの目安となるものとして、その分野の学会の指導医や専門医制度がありますが、日本矯正歯科学会には、こういった事例を無くする強制力はありませんし、認定を持っていなくても、学会に属していなくても、矯正治療は好きにやって良いというのが日本の現状です。

    私が思うに、歯科医師の免許を与えたのは国ですから、免許を与えた後の管理も国が行うべき、すなわち、最低限の知識と経験をも持っていない歯科医や、「悪徳」とも言える治療をしている歯科医師には、矯正治療を行ってはいけないという制限を行う、これくらいの権限を国は行使しても良いのではないかと思います。
    例えて言うと、車の免許が原付、自動二輪、普通車、大型等々に分けられているのと同じように、医師や歯科医師もそうしないと、この先、被害者は増える一方だと思います。
    「無免許運転」や、「ひき逃げ」を放置して良いのかと思いますが、皆さんはどう思われますか?

    実際、ひろ矯正歯科に相談に来る患者さんの中には、他医で恐ろしい事になっている事例が後を絶ちません。
    まだ乳歯列で、顎の発育も良好であるのに、顎を拡げないといけないと言われて100万円近く支払って、全く必要のない治療を受けている人。
    ホームページの裏側矯正が出来るという言葉を信じて治療を始めたのに、外側に装置を付けられ、抜いてはならない歯を抜かれ、目を覆いたくなる状態になっている患者さん等々。
    同業者を悪く言いたくはありませんが、唖然とするような、「悪徳」と言わざるを得ない歯科医院が存在することは事実です。
    昔からかかりつけだから、とか、近所だからという理由で歯医者を選ばず、その先生の言っていることが本当に正しいかどうか、その治療が本当に必要なのかどうかの選球眼を患者さん自身が持つしかありません。

     

    話をマルセイユに戻します。
    矯正歯科のビルに入り、まず1〜4年の先生達全員が大教室に集まり、Presidentの話から始まります。

     

     

    2月のブログにも書きましたが、フランスの矯正歯科を引っぱる最も重要な人物、すなわち、Dr. Alain Deckerが、このCECSMOに参加すること無く旅立たれました。
    私は彼のことを矯正学的にも人間的にも物凄く尊敬しており、彼も私のことを非常に高く評価してくれていました。
    プライベートな付き合いこそ殆どありませんでしたが、私が European Boardを全部舌側矯正で受験・合格して以来、いつも「Toshi、お前は他の先生達と根本的に違う、間違い無く世界一だ」と言ってくれました。
    彼の名誉のために書いておきますが、彼が私と仲が良かったから、WBLOの世界第一号が私に与えられたのではなく、European Boardにリンガルで受験して合格したのが世界初、私一人だったから、WBLOも世界第1号を授与してくれたのです。

    私は彼の他界がこれほどまでに悲しいとは思いませんでした。
    彼を慕い、彼の思い出にいつでも触れること出来るよう、彼を追悼する slide showを youtubeにアップしました。

    驚いたことに、大教室での講義は、私のアップしたyoutubeから始まりました。
    フランス人の、フランス人による、フランス人のための学会で、日本人の私の思い出が放映されたのでした。

     


    彼がこの部屋にいないという事が現実であると思うと、本当につらかった。

     

    そのあと、Level 4の先生達と共に部屋に戻り、Hiro systemの製作手順を詳細なキーポイントを含めて講義をしました。

     


    初日は1時間半のレクチャーです。
    1時間半だと、気が楽です。

     

    今回は昨年と違い、私が日本で行っているコースと同じ方法で進められ、15日は終日 Hiro systemの実習が行われました。

     


    石膏模型とTypodont のset upは、Lionelが全て準備してくれました。
    素晴らしい、、さぞ大変だったと思います。

     

    夕方、再度講義をさせて頂き、そのあと「早番」で一足先にホテルに帰ってNapをとりました

     

    4月16日
    16日は朝から講義を任され、舌側矯正の要、特に前歯の噛み合わせが深くて装置が付けられない症例はどうやって治療するか、そして、他の先生が教える方法と自分のやり方はどこが違い、その利点は何か、等々について解説をします。

     

    お昼御飯は、昨日同様、大学病院の最上階にあるレストランに用意してくれてあり、先生達と楽しくおしゃべりしながら美味しいフランス料理を頂きました。

     


    お昼休み、キャンパスでくつろぐ先生や学生達

     

    午後はHiro system laboratory worksを完成まで、でしたので、一人一人チェックして指導を行いました。


    私が事前に送った原稿がシラバス(教科書)として配られていました。
    これも感激。

     


    隣の教室では、level 3の先生達が一生懸命勉強しています。
    教える方も、教わる方も、本当に真面目で真剣です。
    こうゆうの、好きだな〜。

     

    4月17日
    17日は再び朝から講義を任され、昨日同様、非常に臨床に即した、即戦力となる内容、すなわち、closing sectionの調整の仕方、Anterior BCT (Buccal Crown Torque) の入れ方や、Copper Ni-Tiなどの Thermal activate wireの曲げ方、Angle Class II div.2の治療について、実際の症例を紹介しながら、治療のステップや落とし穴について模型やシェーマを使って解説をし、午後はタイポドント実習の指導です。

    他の教授の講義では、外科矯正について、Surgery firstについて話をされていました。

     

    Surgery firstとは??
    外科矯正をする場合、通常は術前矯正を行い、咬合を安定させてから顎のオペをするわけですが、術前矯正をしないで一番最初にオペをする事を Surgery firstと言います。
    数年ほど前から、Surgery firstを提唱する矯正医が増え始め、このスライドに紹介されている菅原先生は、2010年に Journal of Clinical Orthodonticsに投稿されていますが、私は Surgery firstを 2001年から行っています。
    私が Surgery firstを行う理由は、外科矯正のオペでは、私達矯正医が口腔外科医に依頼したとおりに顎が位置づけられておらず、顎間固定をはずすと数ミリのズレが出て、術後矯正が非常に困難になることが往々にしてあります。
    ならば、術前矯正をしないで、先にオペを行ってしまえば、もしオペ後に顎関係が予定した状態になっていなくても、そこからが矯正のスタートになるから、リスクが相当回避されるのでは、と考えたからです。
    当時はまだ、こんなことを行っている先生はいなかったために、長野日赤の口腔外科では、患者さんのオペ直前にオペをドタキャンされたこともありました。
    事前に担当医を通じて何度も連絡を取り合い、口腔外科部長のコンセンサスを得て準備をしていたにもかかわらず、オペ直前に口腔外科部長の横林先生はオペをドタキャンし、私に怒鳴り声で電話をかけて来て、患者さんに多大な迷惑をかけてしまったことがありました。
    結局その患者さんは、松本歯科大学口腔外科で surgery firstでオペをして、良好な結果を得ることが出来ました。(この治療記録は、患者さんの同意を得た上で、日本矯正歯科学会専門医の試験に提出、合格したことからも、私の行った Surgery firstが正しかったということは証明できたと思います。)
    この件は、当時、長野県の歯科医師会でも問題になり、事実を曲げて伝えられ、私一人が悪者という形で幕を閉じましたが、私達医療人たるものは、どんな時も自分の不勉強のために患者さんに迷惑をかけないようにしたいものです。

     


    Dearest friend Germain、とても人間味のある人です。
    彼も本当に多忙で、5分の時間も惜しまず仕事をします。

     

    Dinnerは Marseilleでも屈指の歴史あるレストランに連れて行って頂き、食事が終わると、受講生達がパーティーをやっているから、ちょっとだけ顔を出そうと誘われてハーバーに向かいます。
    何億円もするだろうなと思われる豪華なヨットが所狭しと係留されていますが、その中でもひときわ大きなヨット一隻が宴会場となっています。
    階下のキャビンではラップがガンガン流れ、みんな踊りまくっています。
    デッキではみんなシャンパン片手に大騒ぎ。

     


    何を話しているのでしょうか。
    矯正の事でしょうか、彼女の事でしょうか、、。

    私もシャンパン片手にぶらぶらしていると、写真を撮ってくれと取り囲まれ、ウイグとグラスを付けられ、このありさまです。

     


    この金髪・赤いサングラスが私ですが、わかりましたか?

     


    メッチャ楽しい!
    よく学び、よく遊べ!
    こうゆうの大好きです!
    もっと居たかったですが、他の先生達が帰るというので、一緒にホテルに帰りましたが、楽しかった、、。

     

    4月18日
    18日は、朝からFillion先生のレクチャーがありますが、パリに向けて発たなければなりませんので、会場で挨拶をして、他の教授達に別れを告げ、Germainの Touaregで一足先にパリに向かいます。

     

    「パリまで600km程もあるのに、車で来たの???」って聞くと、途中 Lionに、ミシュランに載っているレストランがあるから、そこでランチを食べさせたいから Luxembourgから車で来たとのことでした。
    なんとも有り難いことです。
    飛行機で移動するより、電車や車で移動した方が旅は数倍楽しめます。
    高速道路は制限速度を守り(フランスは速度超過要注意です)、美しい景気に見とれつつ、仕事をしながらの楽しいドライブです。

    ちょうどお昼の時間に目的のレストラン、L’Amaryllisに着きました。

     

    横には小川が流れ、日本を意識したとのことで、柳の木が植えられていました。
    お庭も、建物も、お店の方の対応も、そして料理も、本当に最高でした。
    ありがとう、Germain。

     


    この青リンゴのような物は、デザートで、中にソルベが入っています。

     


    いくつものフロマージュ。
    これも美味しかったです。

     

    食事を終えた後、一路パリに向かいます。
    この日は大学病院の近くのホテルを Germainが予約してくれてありました。

    着替えてすぐに晩御飯に出掛けます。
    晩御飯は、もちろん Weplerです。
    ここは昨年、Alainが山ほどの生牡蠣を御馳走してくれたお店です。

     

    この日も食べきれないくらいの 生牡蠣、貝、エビ、蟹を御馳走してくれました。
    Germain、ありがとう。

     

    4月19日
    今日は朝からParis Vの教授達を相手に2時間の講演、午後は矯正治療の指導です。
    ホテルから Bretonneau Hôpitalまで歩いて10分ほど、4月のパリの朝のすがすがしい空気を堪能しながら病院に向かいます。

    病院に着き、いざ lecture 開始。
    Power pointを起動し、Alainの写真を机上に置き、
    先生方への挨拶から始めますが、、、
    Alainが死んでしまった、去年はここに居た、、、、
    今年も居るって約束したじゃないか、、。
    って思うと、つらくて、悲しくて、泣けてきて、、
    たくさんの教授達の前でしたが、5分くらいでしょうか、号泣してしまいました。

     

    教授達は、泣きじゃくる私に対し、全員席から立ち上がり、黙祷してくれていますが、私は話すどころか、泣くばかり。
    ハンカチで顔中を拭きながら、座って下さいとゼスチャーしますが、、その後も5分ぐらいでしょうか、、号泣状態で、レクチャーになりませんでした。

    最近、身の回りはスタッフの結婚式など、お目出度いお話ばかりでしたので、大切な人の死に直面するというのは、これほどまでに悲しいこととは、、。
    人間なんて、いつ死ぬかわからない。
    死ぬ時は、あっけないもの、死は突然やって来ます。
    さっきまで一緒に居た人が、帰りに死んでしまうかも知れない。

    恩師の出口先生は、私のことを「廣は凄く親孝行なんだ」と言ってくれますが、死んでから、あれもしてあげれば良かった、これもしてあげれば良かったと悔やんでも遅い。
    だから、生きている間に自分に出来る事を出来る限りやっておきたい、そう思って、親にも、家族にも、友達にも、患者さんにも接しています。

     

    福島原発の事故がなければ、2年前、Alainは10名ほどの教授達を引き連れて、塩尻の私の診療所にやって来る筈でした。
    昨年、Toulouseでは、日本においでよと誘ったのですが、忙しいからダメだとAlainは言いました。
    じつはその時、彼自身は、3%しか生き延びる可能性が無いということを知っていたようです。
    彼に日本に来て貰いたかった、、。
    日本の居酒屋に連れて行きたかった、、。
    地震は避けられないけど、原発事故は避けられた筈。
    中国の大気汚染PM2.5ばかり取りざたされていますが、隣国の大気汚染より、自国の放射能汚染のほうが深刻だと私は思いますが、、。

     

    パリ大学での講義は、現在開発中の新しいブラケットの特徴について、9時から11時まで、2時間ミッチリお話しをさせて頂きました。
    講演後に質疑応答を終え、終わろうとしていると、昼ご飯まであと2時間あるから、もっと話してくれとのこと、、。
    え〜っ、2時間って聞いていたんですけど、、、ポリポリ。

     

    僕の話をもっと聞きたいから、何の話でもいいから続けてくれ、とのこと。
    ではWBLOの試験に提出した10症例について話しましょうか?と聞くと、一同拍手。
    この10症例は、パリ大学の矯正科に今も展示されていますので、治療の詳細について聞きたいとの事でした。
    Déjeunerまで、WSLOの症例について、受験時の注意点や症例の選び方なども含めて講演しました。

    Déjeunerは、昨年と同じレストランでステーキを頂き、午後は大学病院で患者さんの治療の指導です。

     


    昨年、ヒロシステムで装置を装着した患者さんも来ています。

    これからオペなので、外側には顎間固定用のフックが接着されていますが、舌側矯正で外側しばっちゃいけないよと、スーパーバイザーの教授に話しました。

     

    午後一杯、あっちの部屋、こっちの部屋と、次々に呼ばれ、患者さんの口の中を見ては、ここをこうしろ、このワイヤーに換えろ、これはマズイからこうしろ等々の指導を行いました。

     


    病院を去る前、教授達と。
    花は、Alainのお墓に供えるために、昼食後に近所の花屋で買ってきた物です。
    日本流にブーケにしましたが、お墓に持って行くには、鉢植えのほうが良いようです。

    そのあと、LionelにAlainのお墓に連れて行ってもらいますが、Lionelは、つらいからと、車にもどります。
    Alainのお墓を前にし、この下にAlainが埋まっているんだということが信じられなかったです。
    花束を供えて、自分流に手を合わせてお祈りしました。

    その夜は、Weplerで食事をしようと誘ってあったのですが、Alainの家に招待してくれました。
    大事な人はレストランには連れて行かない、家に招待するんだ、とのこと。

    僕が生牡蠣が大好きだと知っていて、生牡蠣やシーフードを山ほど用意してくれてあり、手土産も何もないので恐縮でしたが、お言葉に甘えて、dînerを頂きました。

     


    Alainの家は、築数百年の古民家を再生したもので、Artそのもの、Alainの人柄そのものでした。
    本当にありがとう。

     

    翌日20日は、帰る日です。
    朝からいつもどおりモンマルトルを散歩し、午後の便で帰国しました。

    次は7月、世界舌側矯正歯科学会がパリで開催されます。
    欠席のつもりでしたが、大会長のFillion先生から、Key note speakerで30分の講演と、さらに3時間のpre-congress courseをしてくれないかとのオファーを頂きましたので、受けさせて頂きました。

    昨日も、今日も、明日も、日曜日も、朝5時に起きて準備です、、。
    少し休みたいな、、。

    Avec mes amis à Marseille

    Au revoir!

     

     

  • 2011/06/10

    北井則行先生と小川晴也先生

    5月22日、朝日大学歯学部歯科矯正学講座(正式には、口腔構造機能発育学講座歯科矯正学分野)の教授・北井則行先生の矯正歯科研究会に招かれ、お話しをさせていただく機会を与えていただきましたので、2時間、舌側矯正についてお話しをさせて頂きました。
     
    北井則行先生の御略歴を簡単に記しますと、86年に大阪大学を卒業され、同年4月に同大学歯科矯正学講座に入局ののち、講師、助教授を経て、2004年に朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座の教授に就任されています。
     
    私たち開業医からすると、教授というのは別世界の生命体、すなわち、私たちは平民、教授は天守閣に住まわれる御殿様、といったイメージがあるのは私だけでしょうか、、。
     
    オファーをお誘いをお受けした後、北井先生から連絡があり、御礼かたがたはるばる塩尻まで挨拶にいらっしゃるとのことでしたが、滅相もない、私はただの田舎の矯正医、お招きにあずかっただけで大変光栄なことですので、その必要はありません、と遠慮させて頂きました。
     
    講演前日の夜、じつは小川先生とタコ焼きを食べに行こうと約束していたのですが、急遽、北井先生もいらっしゃるとのことで、予定変更、私の一八番の「串の坊」に行くことにしました。
    約束の時間、店の前で緊張しながらお待ちしていると、北井先生がいらっしゃいました。
    簡単に挨拶をして、店の中に。
    小川先生とは学生時代のテニスのライバルだったそうで、話が弾んでいました。
    僕はいつもどおりビールをマイペースで頂きますが、北井先生と話してみると、意外にも話しやすい先生で安心しました。
     

     
    途中から松原先生もいらっしゃり、食事の後は二次会、楽しい思い出となりました。
     

     
    翌日の講演は、50名ほどの先生がおいでになり、いつもどおりリラックスしてお話しをさせて頂きました。
    私のリンガルの臨床は、世界のリンガルの先達が教えてきたこと、やって来たことと、かなり違います。
    ループやパラタルバーを用いない、バンドも用いない、ブラケットも超小型で、発音障害や舌への刺激が最小限に抑えられている、等々。
     

     
    私が永年、舌側矯正で通常の矯正と変わらぬ良好な結果を得ているのは、このヒロブラケットと、私のオリジナルの接着方法、この2つの賜物です。
    これらのどちらかが欠けても、私はリンガルの治療をすることが出来ません。
    他の先生とは少し違ったレクチャーに、教授から若手の先生までお楽しみ頂けたのではないかと思います。
     
    今度は仕事以外で松本に遊びに来て下さいと、北井先生とは再会を誓って、大阪を後にしました。
    北井先生、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
     
     
    話変わって、前出の小川晴也先生が甲北信越矯正歯科学会で講演されるとのことで、6月4日に来松されました。
    小川先生の御略歴は、86年に大阪歯科大学を卒業、その後、学位を取得され、現在は広島県福山市で矯正歯科専門開業をされています。
    私とは、USC courseで同期、アレキサンダー研究会でも御一緒させていただきました。
     

     
    小川先生の来松は半年ほど前に聞いていましたので、午後休診にして、15時に塩尻駅にお迎えにあがります。
    そのあと医院にご案内して、松本市内を簡単にご案内した後、私のお気に入りの宿、すぎもと旅館に向かいました。
     

     

    いつもながら美味しい食事とお風呂。
    小川先生にも、とても満足して頂けたようでした。
     
    翌5日は、小川先生の特別講演、「態癖改善が咬合に及ぼす影響」。
    甲北信越矯正歯科学会はとても小さな学会ですが、大きな学会と違った良いところがあります。
    いつも海外のリンガルの学会と重なってしまうので、欠席ばかりでしたが、こ最近はなるべく参加するようにしております。
     

     

    お昼御飯は、手打ち蕎麦の丸泉にご案内しました。
     
    小川先生、お疲れ様でした。
    良い思い出になりました。
     
    日々仕事に追われ、矯正歯科の先生や、歯科医師会の先生と殆ど交流のない私ですが、最近いろいろと思うことがあります。
    今後は、矯正歯科の先生や歯科医師会の先生方とももっと親睦を重ねてゆきたいと思っております。
     

    余談ですが、この私の行っているリンガルのラボ(いわゆるヒロシステム)、以前は院外の先生からも請け負っていましたが、技工士の都合でやめておりました。
    現在、準備が整いましたので、6月末から再度受注・製作させて頂きます。
    御希望の先生は、指示書を送らせて頂きますので、御連絡ください。
     

  • 第4回世界舌側矯正歯科学会と、、

    2011年4月2日~4日、World Society of Lingual Orthodontic Meetingが大阪国際会議場にて開催されました。

     

    本学会では、御指名により、Pre-congress courseの講師と、4月3日の最終演題に講演をさせて頂きました。

    学会の開会の挨拶は、震災で亡くなられた方々への1分間の黙祷から始まりました。
    津波に家族をさらわれ、地震以後、家族と会っていない、でも、何処かで生きていると信じて、一生懸命頑張って生きている人達を想うと、涙が出ました。
    自分だったら、生きてゆける自信はありません。
    気が狂ってしまうと思います。
    被災された方々の精神的ケアと、1日も早い復興をお祈りいたします。

     

    この原発事故の影響で、海外からの先生の多くはキャンセルとなりましたが、日本語の話せない先生が、「がんばれ日本、負けるな日本」と、カタコトで言ってくれたり、そう書いたスライドが出てくる度に、泣けてきました。

     

    学術大会前日、2日の土曜日は Pre-congress courseです。
    有名な日本人・イタリア人の部屋は小さい部屋で参加者も10名程度なのに、私のコースは、約 90名ほどの先生達が受講してくださり、会場はなんと、学会のメインコングレスの部屋!

    有り難いことです。

     

    私のコースの内容は、3種類のワイヤーベンディングと、舌側矯正のレクチャーです。

    本当にたくさんの先生が参加してくださいました。
    じつは、この3つの wire bendingは、それぞれがリンクしています。
    最初に行った Breakfast menuは、臨床でのワイヤーベンディングのスキルアップに直結するトレーニングです。
    2つ目は、前歯にベンドを入れると臼歯にどうゆうトルクが入り、どうゆうハイトの違いが出るか、臼歯にベンドを入れると前歯にどうゆう影響が出るかということを再確認することを目的として、また同時に、レクタンギュラーワイヤーを余計なトルクや傾斜が入らないように、正確に曲げる練習です。

     

    この2本目までを午前中に終了させ、昼食のあとは珈琲でも飲みながら質疑応答、午後は臨床に使うワイヤーを曲げる練習をして、レクチャーに入る予定でした。
    ところが、、、思ったより先生方のワイヤーベンディングが捗らず、結局2つ目のメニューは、最後まで曲げるのを断念、3つめの Clinical exerciseに入りました。

     

    これは、1725の Beta Titan wireを使って、Lingualの mushroom archを屈曲し、前歯部に Buccal Crown Torqueを入れる練習、そのあと Gable Bendを組み込んで、実際の治療で Space closingに用いるワイヤーを曲げて頂きました。

     

    これらの wire bendingに予想以上に時間がかかってしまい、一部の先生からの fundamentalな質問も加えて、予想外の 超・ウルトラ・ディレイ。

     

    レクチャーの方は大急ぎで行いましたので、ブーイングが出るかな、と少し覚悟していましたが、終わるやいなや、国内外のたくさんの先生達から、「前歯部のトルクがあんなに簡単に入れられるとは知らなかった」、「知らないことをいっぱい教えて貰えた」等々、絶賛のお言葉を頂きました。
    急ぎましたが、ポイントは飛ばさずしっかりおさえましたので、御理解いただけたでしょうか。

     

    学会終了後、コースに参加していた小児歯科の先生から 「しょーもないコースやりやがって! 居波がどれだけ迷惑してるかわかってんのか!」と言われましたが、私は 1円たりとも謝礼は受け取っていません。
    コース参加料がいくらか知りませんが、仮に5万円だとすると、450万円ほど学会に貢献しているわけです。
    居波先生から頼むから助けてくれと言われてコースを引き受けて、多大な貢献をしているのに、御礼も言わないというのはどうなんでしょうか。
    それと、この小児歯科の先生、WSLOに何しに来たのか知りませんが、小児歯科専門医の先生にはリンガルは必要無いし、無理でしょう。
    失敗したらリンガルが悪く言われるので、やめて貰いたいです。

     

    学会最終日の講演は、”Doctor, can you treat me with Lingual Orthodontics?”という演題で、リンガルは治療期間が長く、ちゃんと治らないからやめた方が良いという歯科医師が多いが、それは間違っているということについて、実例を示して証明しました。

     

    今回の学会では、日本矯正歯科学会会長の後藤教授をはじめとする日本の国公立・私立大学の教授達がたくさん参加しておられました。
    外国では、たくさんの Professors & Chairmen がリンガルの学会に参加しますが、日本でのリンガルの学会に大学の教授が参加するというのは、珍しいことです。

     

    これにはいろいろ理由があるのでしょうが、一番の理由は、リンガルに対するイメージ、すなわち、「リンガルをやっている奴ら=金目当て」、「リンガルをやっている奴ら=まともな治療をしていない」、「リンガル≠矯正歯科、リンガル=美容矯正」といった公式が成り立っているからだと、私は考えます。
    そして、そうゆう評価を受けるのは何故なのか、リンガルをやっている先生達は自分の胸に手を当ててよく考えて頂きたいものです。
    私はリンガルの治療に際しては、資料、診断、治療内容、治療結果、治療後の安定性、どれをとっても通常の矯正以上であるように、何処のどんな試験官がみてもお墨付きを頂けるような治療であるべく、精一杯頑張っています。
    御参加いただいた教授達には、リンガルはファッションではない、リンガルは患者集めの手段ではない、これだけきちんと治療している者もいるのだ、ということを伝えたかったので、演題もその内容に焦点を合わせましたが、伝わりましたでしょうか、、。

     


    黒いスーツが Brazilの Dr.Arima。 彼の Board caseは今回の candidatesの中で最も素晴らしい治療であったと聞いています。

     

    学会が終わった後、Dr.Svitlana Babiiが塩尻の私のオフィスまで見学に来られました。
    彼女の住む Odessaは、人口100万人で、専門医は50人くらい、歯科医院の数は美容院の数よりも多い、とのことです。
    リンガルについて教えてくれる環境がない、教えてくれる人もいないとのこと。
    2日間滞在されましたので、一通りのラボワークをお教えし、臨床見学と、困っている症例についての相談を受けましたので、私ならこう治す、とアドバイスをさせて頂きました。
    何一つ隠さず、私の知っていることは全てお教えしましたが、御理解いただけたでしょうか、、。

     


    技工室にて、Hiro’s lab. work experience
    技工士さんは英語が話せないので、勤務医の神谷貴志先生が付きっきりで教えます。

     


    いつもどおり「かつ玄」で 一緒に晩御飯を。

     


    ハイ、ポーズ!

     


    次回のリンガルの学会は、2012年6月28日〜7月1日、Frankfortで行われます。
    日本の大学の先生達がたくさん参加されることを希望します。
    WSLOは、もうイイかな、、。

     

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