5月22日、朝日大学歯学部歯科矯正学講座(正式には、口腔構造機能発育学講座歯科矯正学分野)の教授・北井則行先生の矯正歯科研究会に招かれ、お話しをさせていただく機会を与えていただきましたので、2時間、舌側矯正についてお話しをさせて頂きました。
北井則行先生の御略歴を簡単に記しますと、86年に大阪大学を卒業され、同年4月に同大学歯科矯正学講座に入局ののち、講師、助教授を経て、2004年に朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座の教授に就任されています。
私たち開業医からすると、教授というのは別世界の生命体、すなわち、私たちは平民、教授は天守閣に住まわれる御殿様、といったイメージがあるのは私だけでしょうか、、。
オファーをお誘いをお受けした後、北井先生から連絡があり、御礼かたがたはるばる塩尻まで挨拶にいらっしゃるとのことでしたが、滅相もない、私はただの田舎の矯正医、お招きにあずかっただけで大変光栄なことですので、その必要はありません、と遠慮させて頂きました。
講演前日の夜、じつは小川先生とタコ焼きを食べに行こうと約束していたのですが、急遽、北井先生もいらっしゃるとのことで、予定変更、私の一八番の「串の坊」に行くことにしました。
約束の時間、店の前で緊張しながらお待ちしていると、北井先生がいらっしゃいました。
簡単に挨拶をして、店の中に。
小川先生とは学生時代のテニスのライバルだったそうで、話が弾んでいました。
僕はいつもどおりビールをマイペースで頂きますが、北井先生と話してみると、意外にも話しやすい先生で安心しました。
途中から松原先生もいらっしゃり、食事の後は二次会、楽しい思い出となりました。
翌日の講演は、50名ほどの先生がおいでになり、いつもどおりリラックスしてお話しをさせて頂きました。
私のリンガルの臨床は、世界のリンガルの先達が教えてきたこと、やって来たことと、かなり違います。
ループやパラタルバーを用いない、バンドも用いない、ブラケットも超小型で、発音障害や舌への刺激が最小限に抑えられている、等々。
私が永年、舌側矯正で通常の矯正と変わらぬ良好な結果を得ているのは、このヒロブラケットと、私のオリジナルの接着方法、この2つの賜物です。
これらのどちらかが欠けても、私はリンガルの治療をすることが出来ません。
他の先生とは少し違ったレクチャーに、教授から若手の先生までお楽しみ頂けたのではないかと思います。
今度は仕事以外で松本に遊びに来て下さいと、北井先生とは再会を誓って、大阪を後にしました。
北井先生、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
話変わって、前出の小川晴也先生が甲北信越矯正歯科学会で講演されるとのことで、6月4日に来松されました。
小川先生の御略歴は、86年に大阪歯科大学を卒業、その後、学位を取得され、現在は広島県福山市で矯正歯科専門開業をされています。
私とは、USC courseで同期、アレキサンダー研究会でも御一緒させていただきました。
小川先生の来松は半年ほど前に聞いていましたので、午後休診にして、15時に塩尻駅にお迎えにあがります。
そのあと医院にご案内して、松本市内を簡単にご案内した後、私のお気に入りの宿、すぎもと旅館に向かいました。
いつもながら美味しい食事とお風呂。
小川先生にも、とても満足して頂けたようでした。
翌5日は、小川先生の特別講演、「態癖改善が咬合に及ぼす影響」。
甲北信越矯正歯科学会はとても小さな学会ですが、大きな学会と違った良いところがあります。
いつも海外のリンガルの学会と重なってしまうので、欠席ばかりでしたが、こ最近はなるべく参加するようにしております。
お昼御飯は、手打ち蕎麦の丸泉にご案内しました。
小川先生、お疲れ様でした。
良い思い出になりました。
日々仕事に追われ、矯正歯科の先生や、歯科医師会の先生と殆ど交流のない私ですが、最近いろいろと思うことがあります。
今後は、矯正歯科の先生や歯科医師会の先生方とももっと親睦を重ねてゆきたいと思っております。
余談ですが、この私の行っているリンガルのラボ(いわゆるヒロシステム)、以前は院外の先生からも請け負っていましたが、技工士の都合でやめておりました。
現在、準備が整いましたので、6月末から再度受注・製作させて頂きます。
御希望の先生は、指示書を送らせて頂きますので、御連絡ください。
2011年4月2日~4日、World Society of Lingual Orthodontic Meetingが大阪国際会議場にて開催されました。
本学会では、御指名により、Pre-congress courseの講師と、4月3日の最終演題に講演をさせて頂きました。
学会の開会の挨拶は、震災で亡くなられた方々への1分間の黙祷から始まりました。
津波に家族をさらわれ、地震以後、家族と会っていない、でも、何処かで生きていると信じて、一生懸命頑張って生きている人達を想うと、涙が出ました。
自分だったら、生きてゆける自信はありません。
気が狂ってしまうと思います。
被災された方々の精神的ケアと、1日も早い復興をお祈りいたします。
この原発事故の影響で、海外からの先生の多くはキャンセルとなりましたが、日本語の話せない先生が、「がんばれ日本、負けるな日本」と、カタコトで言ってくれたり、そう書いたスライドが出てくる度に、泣けてきました。
学術大会前日、2日の土曜日は Pre-congress courseです。
有名な日本人・イタリア人の部屋は小さい部屋で参加者も10名程度なのに、私のコースは、約 90名ほどの先生達が受講してくださり、会場はなんと、学会のメインコングレスの部屋!
有り難いことです。
私のコースの内容は、3種類のワイヤーベンディングと、舌側矯正のレクチャーです。
本当にたくさんの先生が参加してくださいました。
じつは、この3つの wire bendingは、それぞれがリンクしています。
最初に行った Breakfast menuは、臨床でのワイヤーベンディングのスキルアップに直結するトレーニングです。
2つ目は、前歯にベンドを入れると臼歯にどうゆうトルクが入り、どうゆうハイトの違いが出るか、臼歯にベンドを入れると前歯にどうゆう影響が出るかということを再確認することを目的として、また同時に、レクタンギュラーワイヤーを余計なトルクや傾斜が入らないように、正確に曲げる練習です。
この2本目までを午前中に終了させ、昼食のあとは珈琲でも飲みながら質疑応答、午後は臨床に使うワイヤーを曲げる練習をして、レクチャーに入る予定でした。
ところが、、、思ったより先生方のワイヤーベンディングが捗らず、結局2つ目のメニューは、最後まで曲げるのを断念、3つめの Clinical exerciseに入りました。
これは、1725の Beta Titan wireを使って、Lingualの mushroom archを屈曲し、前歯部に Buccal Crown Torqueを入れる練習、そのあと Gable Bendを組み込んで、実際の治療で Space closingに用いるワイヤーを曲げて頂きました。
これらの wire bendingに予想以上に時間がかかってしまい、一部の先生からの fundamentalな質問も加えて、予想外の 超・ウルトラ・ディレイ。
レクチャーの方は大急ぎで行いましたので、ブーイングが出るかな、と少し覚悟していましたが、終わるやいなや、国内外のたくさんの先生達から、「前歯部のトルクがあんなに簡単に入れられるとは知らなかった」、「知らないことをいっぱい教えて貰えた」等々、絶賛のお言葉を頂きました。
急ぎましたが、ポイントは飛ばさずしっかりおさえましたので、御理解いただけたでしょうか。
学会終了後、コースに参加していた小児歯科の先生から 「しょーもないコースやりやがって! 居波がどれだけ迷惑してるかわかってんのか!」と言われましたが、私は 1円たりとも謝礼は受け取っていません。
コース参加料がいくらか知りませんが、仮に5万円だとすると、450万円ほど学会に貢献しているわけです。
居波先生から頼むから助けてくれと言われてコースを引き受けて、多大な貢献をしているのに、御礼も言わないというのはどうなんでしょうか。
それと、この小児歯科の先生、WSLOに何しに来たのか知りませんが、小児歯科専門医の先生にはリンガルは必要無いし、無理でしょう。
失敗したらリンガルが悪く言われるので、やめて貰いたいです。
学会最終日の講演は、”Doctor, can you treat me with Lingual Orthodontics?”という演題で、リンガルは治療期間が長く、ちゃんと治らないからやめた方が良いという歯科医師が多いが、それは間違っているということについて、実例を示して証明しました。
今回の学会では、日本矯正歯科学会会長の後藤教授をはじめとする日本の国公立・私立大学の教授達がたくさん参加しておられました。
外国では、たくさんの Professors & Chairmen がリンガルの学会に参加しますが、日本でのリンガルの学会に大学の教授が参加するというのは、珍しいことです。
これにはいろいろ理由があるのでしょうが、一番の理由は、リンガルに対するイメージ、すなわち、「リンガルをやっている奴ら=金目当て」、「リンガルをやっている奴ら=まともな治療をしていない」、「リンガル≠矯正歯科、リンガル=美容矯正」といった公式が成り立っているからだと、私は考えます。
そして、そうゆう評価を受けるのは何故なのか、リンガルをやっている先生達は自分の胸に手を当ててよく考えて頂きたいものです。
私はリンガルの治療に際しては、資料、診断、治療内容、治療結果、治療後の安定性、どれをとっても通常の矯正以上であるように、何処のどんな試験官がみてもお墨付きを頂けるような治療であるべく、精一杯頑張っています。
御参加いただいた教授達には、リンガルはファッションではない、リンガルは患者集めの手段ではない、これだけきちんと治療している者もいるのだ、ということを伝えたかったので、演題もその内容に焦点を合わせましたが、伝わりましたでしょうか、、。
黒いスーツが Brazilの Dr.Arima。 彼の Board caseは今回の candidatesの中で最も素晴らしい治療であったと聞いています。
学会が終わった後、Dr.Svitlana Babiiが塩尻の私のオフィスまで見学に来られました。
彼女の住む Odessaは、人口100万人で、専門医は50人くらい、歯科医院の数は美容院の数よりも多い、とのことです。
リンガルについて教えてくれる環境がない、教えてくれる人もいないとのこと。
2日間滞在されましたので、一通りのラボワークをお教えし、臨床見学と、困っている症例についての相談を受けましたので、私ならこう治す、とアドバイスをさせて頂きました。
何一つ隠さず、私の知っていることは全てお教えしましたが、御理解いただけたでしょうか、、。
技工室にて、Hiro’s lab. work experience
技工士さんは英語が話せないので、勤務医の神谷貴志先生が付きっきりで教えます。
いつもどおり「かつ玄」で 一緒に晩御飯を。
ハイ、ポーズ!
次回のリンガルの学会は、2012年6月28日〜7月1日、Frankfortで行われます。
日本の大学の先生達がたくさん参加されることを希望します。
WSLOは、もうイイかな、、。
日本の舌側矯正の集まりである、JLOAの20周年記念大会が3月20日、大阪の中之島センタービルで開催されました。
特別講演として、今年のESLOのSecretaryの Germain Becker先生が来日されました。
Germain Becker先生です。
尊敬する松野先生 現JLOA会長です。
尊敬する小谷田先生
僭越ではございましたが、御指名でございましたので、
座長は私が務めさせて頂きました。
いつもは自分がCertificateを貰う立場ですが、
この日は僕がBecker先生にお渡ししました。
翌日は良いお天気で、奥様と奈良観光を楽しまれました。
Becker先生、鹿にビックリ!
今まで、学会などのブログは講演内容などもある程度紹介してきましたが、、、今回はオミットです。
何故か、、、。
書きたいけど書けない、、でも書かないと、わからないでしょうか、、。
学会や学術会は公の場であり、意見を交換するところです。
個人のアピールをしたり、個人のバッシングをする場ではないはずです。
講演内容までは学会側でチェック出来ないので、学会の落ち度ではなく、これは個人個人のモラルの問題です。
若手の先生方も、前夜、あれほどのバイタリティがあるなら、それを違うところで生せないのかなと思いました。
将来を担っているのですから、発表なども頑張って下さい。