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院長日誌

院内の事

  • 第82回 日本矯正歯科学会学術大会開催さる

    2023年 11月 1日〜3日、第 82回日本矯正歯科学会学術大会が新潟市の朱鷺メッセで開催されました。
    本大会は日矯設立 100周年、聞きたい演題がたくさんあり、楽しみにして新潟入りしました。

    大会初日、朝少し早めに会場入りし、総合受付近くのテーブルで抄録集を再チェックしていると、向こうから尾島先生が。
    先生と記念撮影をして、少しお話。

     

    尾島先生はアライナーにかけては世界をリードする先生です。

    12月 2~3日の JAAO行きますが、土曜日しか出れない旨お伝えしたところ、数日後、1日しか出れない先生のためにオンデマンドで配信しますというメールあり。

    まさか僕のことでは無いと思いますが、有り難いことです。

     

    まず、学会開会式で大会長の齋藤功先生の御挨拶。
    齋藤先生は新潟大学の教授、本大会の大会長であり、日矯学会の理事長をも兼任されていらっしゃいます。
    退官されたとのことですので、会場で記念撮影を御願いしたところ、快く一緒に撮って下さいました。

     

    齋藤先生と言えば、Standard edgewise、研究も第一人者、お人柄も優しく、紳士的な先生で、学生からも尊敬され、憧れられています。
    退官された後も甲北信越矯正歯科学会でお会い出来ることを楽しみにしています。

     

    学術講演は「矯正治療における形態と機能の関連を探る」というシンポジウムから始まり、日大松戸の根岸慎一先生、新潟大の大川加奈子先生、鶴見の菅崎弘幸先生、鹿大の大賀泰彦先生、医科歯科の小野卓史先生が講演されました。
    偶然なのかはわかりませんが、今回の学会ではシンポジウムや海外講演も含めて拡大に関する講演が多く、中には、特に狭窄もしていない混合歯列期の拡大を行っているなど、拡大の判断基準が明らかに間違っている先生もいました。
    ひろ矯正歯科のホームページでは拡大に関する注意喚起を記していますが、一般歯科医がパノラマレントゲンだけ撮って、歯が入る隙間が足りないからアゴを拡げなければいけない、と、間違った拡大を行い、5年も 6年もアゴを拡げ続けて、目を覆いたくなるような状態になって、泣きついてくる患者さん(=被害者)が後を絶ちません。
    混合歯列期にパノラマを撮れば、未萌出の側方歯が重なって写るのは当たり前で、そんなことも知らないで「歯が入りきらない」、「アゴを拡げる治療が必要」と言う先生が矯正歯科専門医にもいるのには辟易とします。
    Basal arch云々言ったところで、人によって Cranial width も違えば zygomaticも違うし、arch widthも違うので、何を根拠に拡大が必要というのか、間違っていることに気付いて下さい。
    特に一般歯科の先生、矯正の専門的知識も治療技術も無いのに、これ以上患者さんを食い物にして被害者を増やすのはやめてください!
    シンポジウムなので遠慮せずに挙手発言しようと思いましたが、隣に座っていた芽生先生が「教授なんだから、やめな」って制止するので思いとどまりましたが、やはり発言したほうが良かったような気がします。

     

    海外特別講演は West Virginiaの Peter Ngan先生、Maxillary expansion and protraction in the primary, mixed and permanent dentitionsという演題で講演されました。
    Ngan先生からは、10年ほど前に Class III bookを書くのでリンガルの Class III 治療について3症例くらい治療方法について書いてくれと頼まれ、これでどうだ、とばかりに 10症例出してリンガルのメカニズムについて書いたところ、大反響、2019年の Angle biennial meetingでは、先生のほうから声をかけて下いました。

     

    Ngan先生は、とても friendly な優しい先生です。
    講演では、混合歯列期の患者さんに implant anchorを使って expansionを供覧しておられましたが、う〜っ、、、若年者は implantが fail outしやすいのに、なんでわざわざインプラント使うか、、、私なら implantは使わず、普通に Bandingして、通常の skeleton typeの RPEを使うけどなあ、、、質疑応答の時間があったので、質問しようと思いましたが、折角の講演に水を差しても申し訳ないので遠慮しました。
    Protractionに関しては、参考になる部分がありました。

     

    シンポジウム 2は「100周年学術研究プロジェクトの意義、進捗そして今後」というテーマでと昭和の中納治久先生、北大の佐藤嘉晃先生、医歯大の小川卓也先生、鹿大の宮脇正一先生とその研究グループ、東北大の金高弘恭先生の講演、さすが、一流の先生達は違います。

    もう一人の海外特別講演は Connecticutの Ravindra Nanda先生の「Reflections on the Last Five Decades and Predictions for the Next Fifty Years of Clinical Orthodontics」、 国内特別講演は、牧野惇さんの「アナログとデジタルの境界を跨ぐ表現」という講演、非常に興味深く聴かせて頂きました。

     

    やはり日本矯正歯科学会大会は日本で一番古くからある、日本で最大の矯正歯科学会、会場の空気が張り詰めていて厳かでイイナと思いました。

     

    学会のあとは associateの村上先生と一緒にお食事.

     

     

    学会前日はゴルフコンペにも参加しました。
    良いコースでしたが、カートがリモコンじゃないので、逆に疲れました。

     

    2024年の JOSは、10月 29〜31日、横浜で開催されます。

     

     

  • 2023年 年頭に際し

    はやいもので、年が明けてもう1月も終わりです。

    新年の御挨拶を申し上げるには少々遅いですが、本年も、ひろ矯正歯科のスタッフ全員、皆様の治療に精一杯取り組んで参りますので、宜しくお願いいたします。

     

    昨年は皆様にとってはどんな年だったでしょうか。

    私はといえば、私の知り合いや長年御厚誼にして頂いた人がたくさん他界された年でした。

    正月早々書くことでは無いと思い、少し間があいてからアップしようと考えていましたので、この時期になりました。

    他界された方々の中で一番ショックだったのが、大学の矯正科の医局で長年苦楽を共に分かち合い、一緒に海に行ったり、ゴルフをしたり、私の家ですき焼きパーティーをしたり、公私共々仲の良かった後輩が肺癌で鬼籍に入ってしまったことでした。

    彼は死ぬ間際、ひろ矯正歯科に電話をしてくれていました。

    しかしながら、その時私は仕事で大阪に出掛けており、彼の電話を受けた新人の受付が電話を切ってしまっただけでなく、マニュアルに従わずに私への連絡を怠ったために、彼は私と話しをする機会を失い、言葉を交わすこと無く逝ってしまったということでした。

     

    彼は喫煙者で、私も医局にいた頃は煙草を吸っていました。

    当時は学内は喫煙は自由で、どこの医局でも技工室でも、みんなパカパカと煙草を吸っていました。

    私は煙草をやめたかったので、彼と煙草を吸ったら罰金1万円という約束を交わし、私は禁煙することが出来ましたが、彼は私の禁煙に付き合ってくれただけで、彼自身は禁煙をするつもりは無かったようです。

    あの時、彼から煙草の匂いがする度に罰金を取っていたら、もしかしたら彼も煙草をやめ、まだ健在だったかも知れません。(煙草の害については、こちらを御覧下さい。)

     

    人間はいつ死ぬかわかりません。
    さっきまで一緒に食事していた人が、帰り道死んでしまうことも有り得ます。

    人間は1人で生きているのではありません。

    必ず誰かと出会い、その人の影響を受けます。

    自分もまた、他の人に影響を与えます。

    その人との出会いが自分の人生にとって、とてつもなくプラスに働く相手もいれば、限りなく負の影響を及ぼして自分を不幸に導く相手もいます。

     

    彼は今も時々夢に出てきますので、もっと一緒にゴルフしたかった、一緒に酒を飲みたかった等々つくづく思いますが、命日に何百回墓参りをしたところで、生きているうちの 1回には勝てません。

     

    私事ですが、私の親は 92才と 90才になりました。
    最近、何度か大怪我をして、死ぬんじゃ無いかと、とても心配しましたが、幸にも今のところ両親共に元気です。

    私と兄が歯科医になるために、両親には途方もない苦労をかけました。

    親が死んでから、あれをしてあげれば良かった、これもしてやれば良かった、と、墓の前で泣いても遅いですので、今のうちに自分に出来る事を精一杯やりたいと思っています。

    恩を受けたら感謝、毎日御飯を頂くときにも感謝、感謝の気持ちを忘れてはいけません。

    皆さんも親を大切にしてください。

     

     

    12月29日は、午前中大掃除、午後はあさひ館で忘年会を予定していましたが、コロナ拡大のためにキャンセル、医院の2階でハンバーガーを食べながらいつもどおりビンゴ大会をしました。

     

    みんな一生懸命で大掃除、当然 私も頑張ってお掃除です。

     

    午後は例年どおり一人一人御給料と記念品を手渡しし、1年を振り返って私からの御挨拶。

     

    そのあとは、フララのハンバーガーを頂いて、ビンゴ大会ですが、その前に、、

     

    スタッフにはいつも感謝、自然と頭が下がります。

    今年は歯科衛生士さんが念願叶ってマイホームを新築、歯科技工士さんが新築のマイホームを購入されましたので、お祝いにEmilio Robbaのお花 をプレゼントさせて頂きました。
    ひろ矯正歯科で頑張ってお仕事してくれている人は、次々とマイホームを購入されます。

    院長として嬉しい限りですね。

     

    さて、お待ちかね、恒例のビンゴ大会!
    今年も豪華景品がいっぱいです!

     

     

     

     

    皆さん、今年も1年間、本当に有り難うございました。
    感謝、感謝。
    2023年も宜しくお願いいたします。

     

    現在のひろ矯正歯科のスタッフは、みんなとてもよく気がついて、優しく、以前のようにイジメをする者もおらず、毎日本当に気持ち良く仕事が出来ます。

    2023年も患者さん第一にスタッフ一同、一生懸命頑張りますので、宜しくお願いいたします。

     

     

     

     

     

  • 第81回 日本矯正歯科学会大会開催さる

    2022年 10月 5~7日、大阪の国際会議場で第81回日本矯正歯科学会大会が開催されました。

    コロナが蔓延してから、いろんな学会が On line、On demand、会場とwebinarの hybridで開催されています。

    現地会場のみだと、聴きたい演題が同じ時間に重複している場合、どちらか一方を諦めざるを得ないのですが、On demandだと全て聴くことが出来るので、なんとも有り難いものです。

    コロナが終息しても、On demand配信は続けて頂けたら有り難いな、と個人的には希望します。

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    .私が矯正科の医局に入った頃は、開業している矯正専門医というのは非常に少なく、特別な存在でした。

    当時から矯正専門医を志していた私にとっては、日矯学会は世界中で最も威厳のある学会だと常にリスペクトしてきましたので、日本矯正歯科学会の専門医試験に合格した時には、歯科医師国試に合格した時よりも嬉しく、感激したのを覚えています。

    日本矯正歯科学会学術大会といえば、日本の矯正歯科界では最高の学会であり、最高の演者と最高の講演。

    今回の学会では、国内外からその方面に関しては第一線で活躍されている著名な先生の講演をたくさん拝聴できたのはとても素晴らしい事でした。

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    10月5日は「顎関節症治療の最前線」では東京医科歯科大学の儀武先生、広島大学の谷本幸太郎先生、神奈川歯科大学の玉置勝司先生の講演に、指導者講習会。

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    10月6日のシンポジウムでは、『顎関節に問題のある患者さんへの対応』として、広島大学の谷本幸太郎先生、前松本歯科大学教授の山田一尋先生、神戸市立医療センター中央市民病院の竹信俊彦先生の講演。

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    今回の学会で最大の目玉は教育講演、USCのGlenn T. Sameshima先生の『矯正歯科治療における歯根吸収(最新版)Orthodontic Root Resorption:An Update for the Clinician』、たいへんためになる素晴らしい講演でした。

    歯根吸収に関しては、教科書的には「強すぎる矯正力」と言われていますが、私の経験上は遺伝的要因が非常に大きく関与している、つまり、お兄ちゃんお姉ちゃんの矯正治療で著しい歯根吸収が認められたなら、その妹弟や親を治療するときも歯根吸収する傾向が非常に強いと思っていましたので、Sameshima先生の講演を聴いて、私の考えは正しかったのだということが確認出来ました。

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    10月7日の臨床セミナーでは、『エビデンスに基づいたリンガルブラケット矯正法の臨床』というテーマで、3名の先生が講演されました。

    出口先生は Louisville Univ.で臨床・研究を行っておられますので、文献考察もされていましたが、他のお二方は、上記テーマに沿った講演とは少しかけ離れていて違和感を感じました。

    リンガルの歴史を振り返ると、世界中の先生達が既説を鵜呑みにして治療を行った結果、同じ失敗を何度も繰り返してきました。

    例えば、リンガルの anchorageが強いのは Cortical bone anchorageのためであるとリンガルの先駆者達は信じ、それを広く教えてきましたので、リンガルをやっている先生の殆ど100%は そのとおり信じてきましたが、これは大きな間違いであるということを私は理論的に説明し、anchorageが強いのでリンガルの診断はラビアルの診断とは異なるということ、それにより抜歯部位も異なるということ等は、何十年も前からヨーロッパの舌側矯正学会で報告してきました。

    症例によってセットアップを変えたり、オーバートルクをブラケットに組み込んではいけないということは、30年ほど前からヨーロッパだけで無く、アメリカの舌側矯正歯科学会においても講演し、巷で行われていることの何が間違っているのか、ではどうすれば良いかということを繰り返し説明してきました。

    演者の先生達が自分の臨床でどのようにされるのは自由ですが、学会で話される際には、エビデンスを示した上で、「但し私は、」と付け加えて頂かないと、リンガルを勉強中の先生達が過去と同じ失敗を再び繰り返すことになります。

    過去の失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないこと、これこそが真のエビデンスであり、患者さん相手の治療で最も大切なことではないでしょうか。

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    そもそも、リンガル関連の研究であれば、ヨーロッパの大学、例えばパリ大学には舌側矯正専門のマスターコースがあり、学位論文もたくさん書かれていますので、この分野での第一人者を呼ばずに、演者をどういった基準で選んでいるのか関係者に聞いたところ、人選に関しても小児歯科で有名な某先生が介入し、自分のコントロールの出来る先生を演者に推しているとのこと。

    テーマや演者を決めるのは大会長ですし、誰に何を話させようが大会長が一存で決めれば良いと思いますが、折角の日矯大会、勿体ないなあという気がしないでもありません。

    そもそも、政治家に何かを頼むと、その政治家には頭が上がらなくなり、今回のようなことが今後も続けば、日矯会員は勉強する機会を失い、日本の矯正歯科医学は発展が滞り、将来的には矯正専門医の存在自体さえも危うくなる可能性があります。

    40年近く矯正一本で浮気もせずに必死で走り続けてきた 矯正専門医の個人的な希望としては、大学の教授をはじめとする諸先生方は特別な存在なわけですから、自分達は一般歯科や小児歯科とは違うのだ、矯正歯科専門医として日本の矯正歯科界を引っ張ってゆく責任があるのだ、という誇りと自信を持って、胸を張って生きて頂きたいなと思います。

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    他には、前から思っている事ですが、認定医、指導医、臨床指導医(専門医)の試験に提出されて合格した症例は、先生の所属、氏名とともに症例の写真や概要を会員限定で公開したほうが良いと思います。

    そうすることで、他人の症例を借りて出す等の不正を防げるだけで無く、会員がいろいろな研究のデーターベースとして使え、論文も研究も増えることは間違いないからです。

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    また、症例審査に関しては、私は10年ほど前から日矯学会や地方学会で提案している症例の難易度評価(Difficulty Index)がまだ導入されていないようです。

    公平な評価のためにも早急に導入して頂きたいなと、個人的には思いました。

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    私ごときが日本矯正歯科学会を批判するつもりは毛頭ありませんので、あくまでも純粋な矯正専門医としての希望ですので、誤解無きようお願いいたします。

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    今回の学会では、講演を聴くだけなら大阪に出向く必要は無かったのですが、会場でやりたい事があり、現地入りしました。

    会場はかなりの人で、久々に日矯学会らしい空気でした。

    会場に何をしに行ったのかは、時期が来ればわかると思います。

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    やはり日矯学会大会は素晴らしいです。
    自分が矯正専門医であるということを誇りに感じ、明日からも頑張ろう、と思います。

    次回の第82回 日本矯正歯科学会大会は、2023年11月1日、新潟市の朱鷺メッセで開催されます。

    今から楽しみです。

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