11月7〜9日、徳島市のアスティ徳島にて、徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面矯正学分野教授 田中栄二先生大会長のもと、第75回日本矯正歯科学会が開催されましたので参加しました。
自分は日矯学会から認定医、指導医、専門医の資格を頂いており、今年が更新期限ですが、昨年の大会ですでに合格、更新を終えており、今回は展示発表もしませんので、聴くに徹します。
とはいえ、講演は基本的に写真・動画撮影、録音禁止ですので、学会の模様はサラリと触れる程度にして、グルメリポートでいきたいと思います。
松本から徳島までのルートはいくつかありますが、調べた限りでは最速の新神戸まで新幹線、新神戸から徳島までJR高速バスで淡路島経由というルートで徳島入りしました。
バスで鳴門海峡を渡るのは初めてで、眼下には「なると」が渦を巻いています。
学会を通じて予約したホテルには夕方到着、晩御飯を食べるために街に出ますが、日曜の夜のためか、調べたお店が片っ端からお休みで、やっと行き着いたところが、徳島ラーメンの美味しそうなお店、東大。
徳島ラーメンは初めてですが、美味しかったです。
月曜日は昼までに会場に行けば良いので、レンタカーを借りて、讃岐うどんを食べに出掛けます。
ネットで調べた 羽立というお店で、学会場から車で30分くらいのところにあります。
折角来たのだからと、「かき揚げうどん と 生醤油うどん」と注文したら、お店のお兄さんに「2つ食べるんすか?」と笑われ、先に出てきた生醤油には手を付けずにかき揚げうどんが出てくるのを待っていたら、おばちゃんがかき揚げうどんを持って僕の生醤油うどんをチラチラ見ながら、「かき揚げうどんは どなた〜〜?」って言うので、手を上げて「僕です」というと、「2杯食べるん?」と、また笑われましたが、、せっかく来たんやから、ええや〜ん、、、美味しかったですよ。
昔は、御当地名物はその土地に行かないと食べられなくて、これも旅行の一つの楽しみでしたが、最近は、わざわざその地に行かなくても、どこに居てもいろんな御当地名物が食べられ、しかも同じ材料を使って同じ方法で作るので、御当地と全く同じものが出てきます。
松本にも讃岐うどんのチェーン店がありますが、美味しいですね。
ちなみにこの日に借りたレンタカーは、ダイハツのムーブ、室内が広くて、燃費は 29km/l(!)でした。
自分も軽自動車に乗っていますが、小回りは効くし、燃費はいいし、税金は安いし、狭いところでもシャっと駐めれるし、軽自動車は良いことづくめですね。
その日の午後の講演は、生涯研修セミナー「矯正歯科医療における歯科衛生士の役割・アップデート」。
矯正歯科に於ける歯科衛生士の役割は極めて重要で、法的に許された業務範囲も、一般歯科に比べると広く、歯科衛生士が活躍出来る、やりがいのある職場です。
ところが、歯科衛生士学校の先生が学生に「矯正歯科専門の医院には就職するな」と指導している実態があることが日臨矯の6月例会で取り上げられました。
実際に長野県でも、どこの歯医者もみんな歯科衛生士不足で困っているのに、一部のペリオのスタディグループの医院には毎年何人も新卒者が就職するという実態があります。
何人も就職するということは、退職者がそれだけいるということですから、歯科衛生士の皆さん、人の意見はあくまでも参考に留め、これから自分が働こうとしている職場を自分の目でしっかりと見て、仕事の内容だけでなく、労働条件や福利厚生はどうなっているか、他のスタッフとはうまくやって行けそうか、などもしっかりと考えて決めましょう。
サテライトセミナー1は 「咬合の長期安定性について」。
咬合の長期安定性については、昔から世界中のいろんな先生が研究を行っています。
古くには C.H.Tweedが長期安定の得られているレントゲンを分析し、FMIAが 65°が良いと結論づけたことは、矯正歯科医なら知らない人はいません。
日本人は FMAが大きいため、FMIAは57°とされていますが、全ての患者さんに FMIA を 57°にするのが良いのかというと、答は Noです。
そもそも矯正歯科で用いるポリゴンは、血液検査結果などとは全く意味合いが違うもので、例えば血液検査で血糖値やコレステロール値など、異常値があれば、その項目を正常範囲にもってくるように治療を行います。
しかしながら矯正歯科では、患者さんによって歯の大きさは違う、骨の厚みも違う、歯列の幅径も異なる、FMAも異なるし、Discrepancyも異なる、長頭型があれば短頭型がありますので、全ての患者さんに平均値を追求したら、歯根は骨から飛び出し、安定が得られないどころか、歯は使いものにならなくなります。
例えば、抜歯症例では臼歯間幅径は治療前に比べて治療後は 3mm程度狭くなります。
これは歯列が放物線状になっているために、臼歯が近心に移動した分だけ臼歯間幅径が減少するからで、矯正専門医では常識です。
ところが、こういったイロハも知らずに、歯にブラケットを接着する方法だけ教わってきて、患者さんの歯にブラケットを装着して矯正治療を行う、こうゆう歯科医師がなんと多いことでしょうか。
私がHPに一般歯科で矯正治歯科療を受けるのはやめてくださいと呼びかけているのは、「矯正治療は一般歯科に行かないでうちに来い」と言っているわけでは無く、こうゆうことなのです。
矯正歯科治療は歯を並べてオワリではないわけで、こういったことを考慮しつつ、なおかつ、患者さんの主訴をきちんと改善しなければならないのです。
さらに、下顎の水平埋伏智歯の抜歯について。
私達矯正歯科専門医は、口腔外科医に下顎の水平埋伏智歯の抜歯を依頼します。
ところが口腔外科医は、抜いておかないと押されて前歯に叢生が出るから、矯正医は下顎智歯の抜歯をしたがるんだと勘違いしている先生が殆どです。
アメリカの最も信頼できる学会の報告では、下顎の水平埋伏智歯は前歯部の叢生には影響しないというの研究結果があり、私達が下顎の水平埋伏智歯の抜歯を依頼するのは、抜歯しておかないと一生大事に使って欲しい第二大臼歯の歯根が吸収してダメになってしまうからなのです。
医師と患者さん、相性が合う合わないもあります。
どこでどうゆう治療を受けるかは患者さんが決めることですが、あとで後悔する事の無いよう、選球眼を持って下さい。
翌日火曜日は開会式のあと、臨床セミナー2、「理学療法と矯正治療」を、夕方には、青色LEDを発明、2014年にノーベル賞を受賞されたカリフォルニア大学サンタバーバラ校 教授 中村修二先生の講演を聞きました。
内容については触れませんが、感じた事は、「このオッサン、めっちゃ迫力ある!」です。
外国で現役で活躍している日本人、とりわけアメリカで活動されている人は、日本でやっている人達よりも数倍迫力がある上に、時間の使い方、人生の楽しみ方を知っていると思います。
仕事柄、歯科関連の講演を聴く機会はいくらでもありますが、こういった先生の話はなかなか聴けないので、貴重な御講演に感動しました。
水曜日は学術展示を全てチェック、商社展示では R社とO社はスルー。
両社とも私が大学の医局にいる頃からの付き合いですから 30年以上になりますが、最近、セールスの態度が悪く、こんな会社とは お付き合いしたくありません。
同様に言っている先生もいるので、イヤな思いをしているのは私だけではないようです。
午後はJOSフォーラムがありますが、こちらはパスし、電車に乗って志度に向かいます。
福岡日矯の際もJRに乗って、糸島の牡蠣小屋に行きましたが、今回も牡蠣が食べられるお店があるとのことで、出掛けました。
志度湾のほとりにある「海鮮牡蠣かくれ家」というお店です。
予約してあった牡蠣づくしのコースは、最初にバケツ1杯の牡蠣が出てきて、その他に 酢牡蠣、みぞれ牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣釜飯等々、1人で食べた牡蠣は78個!
勿体ないので残さず全部頂きましたが、、食べ過ぎました〜、、ぐるじい、、。
翌日は移動日、徳島駅を朝出発するバスに乗り、午後松本に戻りました。
四国というところは、お遍路さんがたくさん歩いていて、素晴らしいところですね。
さようなら、四国。 また来ますね。
来年は10月18日(水)~20日(金)札幌市で開催されます。
先日、わたくしの誕生日をスタッフが祝ってくれました。
Birthday card と 美味しい Cake, 本当にありがとう。
毎年忘れずにお祝いしてくれるのは、本当に嬉しいです。
時にはキビシイ事も言うかも知れませんが、仕事上の事だと割り切って頂ければ嬉しいです。
過去に貰った Birthday cardも大切にしまってあります。
スタッフは私の宝ものです。
これからも宜しくね。
普段、映画やテレビなど、ほとんど見ない私ですが、お盆明けの日曜日に、TUTAYAで DVDを 2枚借りてきて見ました。
1枚は、石井光太氏原作、君塚良一氏監督の「遺体 明日への十日間」、もう一枚は、「EVEREST」です。
「遺体」は、2011.3.11の東日本大震災から十日間、岩手県釜石市の遺体安置所で、石井光太氏本人が見てきた報道では伝えきれていない現状を綴ったルポルタージュ『遺体 震災、津波の果てに』を実写映像化した作品です。
なぜこれを借りたかというと、塩筑歯科医師会の 6月例会で、茅野市のやつがね歯科の中村達弥先生が講演されたのがきっかけです。
一般の方々は御存知ないでしょうが、私達歯科医師のところには、時々、警察から身元不明遺体の特定に協力を要請するFAXが送られて来ます。
全く身元がわからない場合や、身体の損傷が激しく、顔や身体の特徴から身元を特定することが出来ない場合に、現存歯の本数や欠損状態、虫歯治療の箇所や状態から、カルテと照合し、本人を特定するものです。
法歯学の分野で、歯科的個人識別と言います。
中村先生は、警察協力歯科医として御活躍されており、東日本大震災の際には、現地に赴かれて、被災者の身元確認作業をされており、その準備から現地での苦労などを学術例会でお話されました。
中村先生の講演は内容も話し方も素晴らしく、時間も予定どおりキッチリと終わられて、とても素晴らしいものでした。
講演の終わりに、中村先生がこの映画の事を紹介され、非常に正確に現場の様子が再現されているとのことでしたので、以前から一度見てみたいと思っていました。
柳葉敏郎が歯科医の役を演じていますが、映画で使われる語句も実際の臨床と同じで、非常にリアルです。
かなりショッキングな内容で、自分は入り込んでしまい、涙が止まりませんでした。
皆さんにも是非見て頂きたい映画です。
もう一枚の「EVEREST」は、エヴェレストの山頂を目指すクライマー達の物語で、嵐に襲われ、何人もの人が命を落とします。
何れの映画も実話を元に作られています。
幸いにも、「死」、「お葬式」というものには縁遠い私ですが、何れの作品も偶然でしょうか、「命」、「死」というものについて考えさせられました。
今から38年前、私の両親は、何も言わずに私の好きな道に進ませてくれました。
私立の歯科大学でしたので、親には大変な苦労をかけました。
私がいろんな学会の試験にチャレンジし、耐えがたい苦労にもめげずに歯科医を続けることが出来るのも、親の恩を粗末にしてはいけないと考えるからです。
現在、両親とも健在ですが、最近、急に年をとりました。
先日、伊勢に墓参りに行った際には、猛暑から父が具合が悪くなりました。
幸にも大事には至りませんでしたが、孝行は出来るうちにしたいと思います。
死んでから何回墓を参ったところで、墓は墓です。
みなさんも、親を大切に、お年寄りや子供を大切にしてください。
お盆が明けると、信州は一気に秋色になります。
風邪をひきやすい季節ですので、皆様、御自愛ください。