SIDO から帰るとすぐに、ある一通のメールを受信しました。
イタリアの Mr. Massimo Piersantiからです。
イタリアで技工所をやっているが、SIDO での私の講演を聞いて感動したので、塩尻の私のオフィスまで来て、ラボを教えて欲しいというのです。
数回のメールのやり取りで、いつもどおり No chargeで歓迎することにしたのですが、ちょうど3月に日本舌側矯正学会があるので、その時に合わせて来ることを勧めました。
日本に来るのは初めてだということなので、折角来るなら、観光もしてゆきなよ、JLOAは大阪だから、Rail passを買ってきて、広島の原爆公園や厳島神社も見て行きなよと勧めました。
京都・奈良は、来年 WSLOが大阪であるので、その際に行く機会があるでしょうから。
いつもどおり松本での宿は東急インを紹介し、松本駅から広丘駅までの電車の乗り方も詳細に説明してあったので、3月18日の朝、時間通りに彼はひろ 矯正歯科に現れました。
18日は、午前中にちょうど Indirect Bondingの患者さんと、Brace offの患者さんが入っていましたので、現在使用しているコアが如何に正確に位置づけることが出来、コアの除去も容易であるか、また、私のオリジナルプラ イヤーを使った装置撤去はどんな具合であるかを紹介しました。
技工室にて
晩御飯は、「かつ玄」で
翌日は、ヒカリヤ東にて和食を頂きました。
3日間、私のオフィスに滞在した後、土曜日は一緒に大阪に向かいました。
大阪では、お決まりの「串の坊」に。小倉の瓜生先生も御招待しました。
なんだかグルメ日誌のようになってきましたので、学会の話題に移りたいと思います。
JLOAでは、5人の invited speakerを含む6題の演題発表がありました。
最初の特別講演は、大阪で一般歯科を開業されている本多正明先生と韓国の Young Hoon Yun先生の共同発表、2題目は、六本木で ソフィア矯正歯科を開設されている島本和則先生、3題目は、竹元&Scuzzo先生の共同講演です。
島本和則先生の講演は、先生がインディアナにいらっしゃった頃のお話を含めた50年間の回顧録で、大変興味深いお話でした。
というのは、私の師である出口先生がJarabak awardを受賞された際に、私も Indiana Universityに私も呼んでいただき、リンガルについて講演をさせて頂いたからです。
また、私の臨床ではIndian Cephalometricsを現在でも使用し、医局員時代には、Standard Edgewiseを用いて Burstone の Segmental Arch Techniqueで治療した患者さんもいますので、先生が当時苦労されたお話は大変興味深く、面白く拝聴することが出来ました。
残念であったのは、本多先生のお話で、先生の日常臨床に於ける補綴のレベルが如何ほどのものかは存じませんが、講演中に「矯正の先生が○○を理解し てくれれば、、、」という言葉が 何度も何度も出てきたことです。
全てのプログラムが終了後、最後の質疑応答の座長を私が務めさせて頂いたので、その際に、座長としてからではなく、いち矯正専門医として質問ではなく、お 願いをさせて頂きました。
まず、矯正歯科治療は、その状態だけを見て治療の良し悪しを判断するのではなく、治療前の状態や治療途中の経過も考慮して頂きたいということ。なぜなら、 矯正治療終了時には、治療前の状態を考慮して、必ずしも他科的観点から評価した場合の Ideal occlusionに仕上げていないからです。
治療前に下顎前歯が見えないほどの Deep Overbiteであれば、治療後は切端咬合で終わります。そのような場合には Anterior guidanceや Canine guidanceは確保されていません。
また、II級症例に於いては、いわゆる Tweed finish、すなわち、上顎の7番を Distal tippingさせ、下顎の6の遠心辺縁隆線に、少し mesial tipさせた上顎の6番を引っかけるように仕上げるような事もあるということ、或いは、治療前に Openbiteであれば、finishは、かなり Deep Overbiteに仕上げる、等々。
私たちは、「知らないから、出来ていない」のではなく、「知っていても5年、10年、20年という永い目で見て、そうしている」ということを理解して頂き たいと、質問ではなくてお願いをしました。
もちろん、私は座長、先生は特別講演の演者ですので、失礼がないように、まず最初に賞賛し、ジョークをいれながら柔らかく申し上げたのですが、残念ながら 私の言っている意味を理解して頂けなかったようで、気分を害されたように見受けられました。
私自身、矯正歯科専門に25年の歳月が経過し、患者さんの口腔内をより良い状態に持って行くには、矯正歯科単独でなく、時には歯周病医や補綴医とのチーム アプローチが必要であると痛感しておりますが、やはり矯正歯科の学会でお話をされる際には、矯正のことをもう少し理解して頂きたいと思いました。
竹元 & Scuzzo先生は、いつもと同じ STbと LSWAのお話でしたが、質疑応答も終わらないうちに会場を去られたのでしょうか、おみえになりませんでした。
時期 JLOAは11月3日です。
皆様、ふるってご参加ください。
ついこの間、仕事納めをしたと思っていましたが、早いもので、とうに節分を過ぎ、もうバレンタインデーさえも終わってしまいました。
年末年始と原稿の締切りに追われ、院長日誌の更新が出来ずにおりましたが、一息つきまして、ホッとしているところです。
昨年同様、本年も脇目を振らず精一杯、患者さんのために、治療のために、出来る限りの努力をして参りますので、宜しくお願いいたします。
昨年は、自民党から民主党に政権交代し、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと思ったのも束の間、政権交代後は詭弁と責任転嫁の毎日。
「マニフェストどおりに全て上手く行くわけない」と悪びれず言われると、一体、マニフェストとは何なんだと、憤りさえ感じるのは、私だけではないと思います。
小泉元総理は、現役時代、「マニフェストを守らなかったら、何が悪い!」と開き直りをして見せましたが、それは、政治家は皆「マニフェストなど信じて、騙されるほうが悪い」と考えているということでしょうか。政治家が自ら約束したことを平気で覆すならば、我々国民は一体何を信じて一票を投ずれば良いのでしょうか。
高速道路を無料化すれば、料金収入以上の経済効果は上がると自信をもって言っていたなら、1日も早く実行すべきです。利用率の少ない地域だけ試験的に無料化し、そのかわり上限1000円は廃止するとか、あるいは子供手当を支給すると美味しそうな事は大声で言いますが、その代わり扶養控除を廃止するなどということは、殆どの国民が気づいていないのではないでしょうか。天下り先には、ン兆円ものお金が流れているのに、必要な所にはお金が回ってこない(回って来ないのではなく、回さない)。
公金で潤うのは、いつも政治家と一部の特権階級だけで、庶民が困ろうが、自分さえ良ければ関係ない、日本を支えているのは俺たちだと勘違いしている人が増えているように思いますが、日本を支えているのは、政治家じゃありません。国民が一生懸命働いてこそ、日本の経済は回り、日本国は成り立っているのだ、一人一人の国民が国を支えているのだという、基礎の基礎もお分かりにならないようでは、政治家失格どころか、成人失格です。
ましてや、一国の総理ともあろうお方が税金を払っていない、年金を取り仕切るお方が年金を払っていない、、、日本はいつからこんな国になったのでしょうか(個人的には、長妻大臣と、前原大臣は応援しますが、、)。
昨年もまた、たくさんの会社が倒産し、長野県内でも、あっと驚くような大型倒産がいくつもありました。
私たち医者・歯医者は楽で高収入と思われているようですが、医者・歯医者は倒産とは無縁と言われていたのは、私が子供の頃の話で、昨年2009年の病院・医院の倒産件数は、これまで最多であった1989年の52件よりも7件多い59件となり、最多を更新したとのことです。
負債額合計は、277億4800万円、原因別では、「業績不振」が26件で最多、以下「設備投資過大」が9件、「既往のしわ寄せ」が8件、「事業上の失敗」が7件と続くそうで、負債総額10億円以上の大型倒産は前年より2件多い7件、医療機関別では、病院の倒産が15件、一般診療所が27件、歯科診療所が17件とのことです。
倒産まで行かなくとも、経営がかなり危機に陥っている医療機関も多いらしく、経営改善を目的として高価な医療機器を導入する医院、自費割合を増やすことに躍起になっている医院、あるいは、医院の実態とはかけ離れたホームページを開設して患者獲得を目論んでいる医院等々、いろんな「悪戦苦闘」がみられるようです。
医療費抑制という言葉がよく聞かれますが、保険診療にも、どう考えても納得の出来ないおかしな部分がたくさんあります。
私は矯正専門医ですので、保険点数の詳しいことはわかりませんが、そもそも高価な検査器械は、治療を行うために、その検査をすることが必要であって、初めてその検査器械が使用されるべきであるはずです。
ところが、「CT撮れば儲かる」、「○千万円するが、何年でペイできる」という、愚考回路で設備導入し、片っ端からCTが必要の無い患者にまで撮りまくり、その費用を患者に請求するという、まさに「治療を行うための検査」ではなく、「検査のための治療」で、患者を「財源」としか考えていない先生もいます。そんな「悪銭駆刀」で、医院経営が成り立つとすれば、そもそも、そのような医院は保険医指定除外されるべき、いやそれどころか、そのような先生は医療に携わる資格さえ無いと思います。
幸いにも、ひろ矯正歯科は、不況の影響など全く関係なく、開業以来15年間、私の限界を超えるほどの患者さんが来て下さっていることは、まことに有り難いことですが、これは、私の経営戦略でも、広告効果でもなんでもなく、ただ、自分にとって最高の治療が出来るように常に精一杯の努力をしている、その姿勢を皆様が評価してくださっている結果、ただそれだけであると思います。
患者さんの皆様には、いつも大変長時間お待たせして、本当に申し訳ありません。
お待たせした分、より一層素晴らしい治療が出来るように精一杯頑張っておりますので、お忙しい中、長時間お待たせしていることをお許し下さい。
暮れの12月29日には、浅間温泉のホテル小柳にて忘年会を行い、1年間の労を労いました。
御給料明細は、12月だけは感謝の意を込めて手渡しします。いつもスタッフのみんなには本当に感謝しているので、自然とスタッフよりも頭が低くなります(ヤラセじゃありませんよ)。
別に酔っぱらっているわけではないんですが、楽しい方がいいかなと思いまして、、。 さんまさんも来てくれましたしね。
ゆうちゃんも結構やりますね! maruさんの反応もメチャいけてる!
はいっ! 全員集合!
お正月3日には、昨年同様、豊川稲荷に参拝して来ました。
昨年のゴタゴタを無事脱出する事が出来たことの御礼と、本年の繁栄と健康をお祈りいし、御祈祷をして頂いて精進料理を頂いてきました。
いつもながら、この精進料理を頂くと、心が洗われる思いです。
食への感謝、生への感謝の意を込めて、食事五観の偈を、昨年同様、ここに記したいと思います。
食事五観の偈
一つには功の多少を計り彼の来処を量る
二つには己が徳行の全欠をはかって供に応ず
三つには心を防ぎ過を離るるは貧等を宗とす
四つには将に良薬を事とするは形枯を療ぜんがためなり
五つには成道のための故にいま此の食を受く
すなわち、
という意味です。
私はいつもスタッフや家族に言いますが、感謝する心を忘れるな、今、当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではなくて、たいへん有り難いことなのだ、ということです。
当たり前に御給料を頂き、当たり前に食事をし、当たり前に物を買い、当たり前に物を捨てる。普段、当たり前に思っていることが、じつは、とっても有り難い事なのだということをわかっていない人が多いように思います。
食事をするときにも、有り難い、有り難いと感謝し、毎日暖かいお風呂に入れることも、有り難い、有り難いと感謝し、お布団で寝れることも有り難い、有り難いと感謝し、明日朝も、いつもどおり健康に働けることを有り難い、有り難いと感謝しなければなりません。
良いことがあったときには、有り難い、有り難いと感謝し、悪いことがあったときには、この程度で済んで良かった、有り難い、有り難いと感謝していれば、福は向こうからやってくると思います。
なんだか説法のような日誌になりましたが、私は基本的に無宗教です。
豊川稲荷は、いつもながら超満員でした。
ありがたい、ありがたい、、。
今年も、1日1日を精一杯、一生懸命頑張ります。
The SIDO – ORTEC Conjunction International Congress was held in Rome on Nov. 5-7th.
( SIDO: Societa Italiana Di Ortodonzia, ORTEC: Tecnici Ortodontisti Italiani)
I was invited by the congress to be a guest speaker, so I headed to Rome right after the conclusion of the JLOA meeting in Tokyo.
I want to thank to Mr. Stefano Della Vecchia, Editor of ORTEC, for giving me the great opportunity to speak at this wonderful congress.
He had been working for one of a Lingual Orthodontists in Rome for many years, and opened his own laboratory office in Rome.
I do not remember when I met him for the first time, but I am sure that it was more than 10 years ago.
When the ESLO meeting in Berlin was held on 2002, he had already offered me to hold a laboratory course in Italy; however, I had been prolonged it because of my constant overwork in my practice.
Whenever I met him, he always offered me to come to Rome, over and over.
Finally, I decided to accept his invitation.
Nov. 4th.
When I arrived at Rome International Airport, I easily found one of Stefano’s friends who had come to Fiumicino just to pick me up.
In spite of heavy rain, he drove his Audi fast, and later I learned that he was a Rally Driver.
During my stay in Rome, the congress reserved a room at the Cavalieri Hilton for me.
Since I am a gold member of Hilton, they upgraded my room without any additional charges, and let me use the Executive Lounge, Spa, Fitness club and Breakfasts for free.
It was very nice hotel, located in the middle hill, with a whole city view of Rome.
Nov. 5th.
Next day, I didn’t have anything scheduled, so I looked around the city.
Musei Vaticani
Castel S. Angelo
I enjoyed a lunch at “Est! Est! Est!”, which is my favorite Italian restaurant, close to Termini.
After the lunch, I visited the Auditorium to see Dr. Giuseppe Marra, Dr. Federico Dolci and Stefano.
These two doctors would translate my lecture almost simultaneously.
I showed them my presentations, and went back to the Cavalieri.
Nov. 6th.
This is the venue, Auditorium Parco della Musica.
The congress was very crowded because SIDO is the biggest one in Italy, similar to JOS meeting in Japan.
This is the room “Sala Petrassi” that I spoke.
30 minutes before my turn.
Taking pictures with “Italian cutes” before my lecture.
The time allocated for my presentation was the entire morning of the last day, i.e. 9:15 to 12:30.
I think everyone may think that a 3 hours lecture is quite long, however, it was only 3 hours because there were so many topics that I had to talk about, such as “ Unwelcome Rumor About Lingual treatment”.
Following my brief introduction, I introduced clinical cases treated with several appliance such as Kurz, Creekmore, Lingual SWA, the first attempt of my original brackets, the most resent Hirobrackets, low teen case treated with Hirobrackets, STb, Incognito, and the case treated without brackets.
After the clinical cases, I discussed about the situations of Dentists and Orthodontists in Japan, as I wrote in my blog about JLOA meeting.
Then I explained the laboratory procedure of Hiro technique in detail.
This is a schema of most resent Hiro technique.
It is easy to make, not requiring any special tools or equipments.
Close up of the Hiro technique.
Because of Fermit’s elasticity, removal of resin cores after cure is quite easy for the current Hiro technique.
This is a bad example.
The Core is cut and the shoulders are lost (Red circle).
It looks quite small difference, however, big difference in clinical use.
Cores are no longer stable on the teeth.
Even such small changes spoil the preciseness of Resin cores, and it is clear that if the cores don’t cover the Incisal edges or Occlusal surfaces, the most important parts for bracket placement, they can not provide precise bonding.
Currently so many “Modified Hiro system” are used around the world, but I am sorry that most of them require quite complicated laboratory works with high cost, just for the purpose of making rebonding possible.
In my practice, the average frequency of broken brackets is less than 4 times for each patients throughout her/his two years treatment, therefore spending too much time and costs are “A waste” .
These are well known pictures of Hiro technique but they are modified.
I have tried all of them but they are quite different from Original one.
Compared with original cores, a lot of advantages are spoiled, especially for the Blue Core.
It is made with Band Lok, and is so hard that we can not remove the cores after bonding brackets.
Thermo-Grue core is thick, not good for crowding cases, and the material is not medical nor dental, .
During my presentation, one of the congress attendants activated the fire alarm in order to disturb my lecture.
Fortunately I had no problems for my lecture, and Budda knows who did it.
After the 15 minutes coffee break, I introduced the movie of bonding procedure.
For my concluding remarks, I emphasized that the Laboratory works play quite important roles in Lingual Orthodontics.
We need Dental technicians, and they need us, too.
Some Lingual Orthodontists recommend bonding brackets directly for easy case, but I never agree with this opinion.
We must remember why the “Bottomed out” after few years of Lingual’s sensational Debut was happened in the in the States.
When the congress was over, Stefano took me to a nice Italian restaurant for lunch.
The owner was his friend, and they made Gnocchi specially just for me.
It was so nice, and I will never forget the taste.
The owner was a handsome guy, like a movie star, and I had a quite enjoyable time with Stefano, Giuseppe and Federico.
After the Lunch, we walked to Piazza della Trinita dei Monti, and we met Dr. Lorenzo Favero and his son incidentally.
Nov.7th.
Just before checking out, Stefano came to Hilton with his wife.
Again I want to thank Stefano, all of my friends, Orthodontists and Dental Technicians who came to my room and listened to my presentations.
As I said in my presentation, I welcome all of you to visit my office to master the Laboratory procedures of the Hiro technique.
Please remember that using Hiro technique is free to everyone, and it is not necessary to pay anyone, including myself.
If you want to come, please do not hesitate to contact me.
I hope to see you again.