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院長日誌

  • 日臨矯例会に参加

    2月22日、日本臨床矯正歯科医会例会が品川プリンスホテルにて開催されました。
    日臨矯は、矯正歯科を専門に開業している先生の集まりで、22年前、自分が矯正学を志した時から憧れ、尊敬していた会の一つです。
    現在では、会員の中には大学に勤務している先生もいらっしゃいますが、当時は入会出来なかったように記憶しています。
    自分は、12年前に開業してからすぐに入会をさせて頂くつもりで書類を整えてはいたのですが、諸般の事情から現在まで入会をせずにおりました。
    開業12周年を迎えたこともあり、もう一度初心にかえって自分の矯正臨床を見つめ直したいということもあり、このたび入会させて頂きました。
     

     
     
    例会に参加した率直な感想は、会員の皆さんが切磋琢磨し、一生懸命勉強している、しかしユーモアも通じる暖かい会であると感じました。
    新入会員の紹介の際に、「塩尻市という人口6万人の小さい町で細々と開業しております、、、」と申し上げたら、ある先生の「ウソばっかり~!」と言う声が会場内に響き渡り、吹き出した先生も何名かおみえになりました。
    まあ、事の真偽は皆様にご判断頂くとして、先輩の諸先輩方、若輩者ですが御指導御鞭撻の程、よろしくお願いいたします。
     
    今回の例会では鶴見大学の小林馨先生の講演は非常に有益でした。
    小林先生と言えば顎関節、画像診断といえば小林先生です。
    顎関節症の治療は、過去には自分も行っていましたが、現在では行っておりません。
    その理由は、私たち一般開業医では顎関節治療に必要十分な検査を行うことが出来ず、聴診、触診、顎運動の審査だけからでは、正確な病態の把握・診断が出来ないからです。
    顎関節のクリッキングを触診のみで関節円板前方転位であると決め、リポジショニングや咬合調整を行う先生が多いですが、これはあってはならない事であると考えます。
    医療行為というのは当てずっぽうでなされるべきではなく、正しい診断なくして治癒はあり得ないからです。
    正しい診断のためには、綿密な検査が必要であることは言うまでもありません。
    顎関節の疾患は複数の原因が重なって発症している事が多く、診断や治療は非常に難しものですので、現在、ひろ矯正歯科では顎関節の治療は専門機関に依頼しております。
     
    小林先生のお話で自分がどうしても聞きたかったのは、歯科用CTについてのお話です。
    画像の精度の向上やコストの低減により、ここ数年で歯科用のCTは普及の一途で、特に埋伏歯の診断や歯周病治療を目的として撮影される事が多いです。
    ところが、上記に述べたことと矛盾するようですが、必要のない患者さんにまで興味本位でCTを乱撮している先生がいることも事実です。
    何千万もするCTスキャンを買った以上は、なるべく多く使って償却しなければ、と考えているのでしょうが、院長であれば自院での使用頻度は購入以前からわかっているはずで、患者さんの被爆を考慮せずに何でもバンバン撮るのは、かなり問題であると思います。
    私たちが日々診療していると、非常に稀に、レントゲン撮影を拒否される方がいらっしゃいます。(ひろ矯正歯科には12年間に2人だけおみえになりました。)
    私たちの撮るレントゲンの被爆量は、専門的な数字になりますが、頭部のX線写真1枚で2~3MSv、パノラマレントゲンで3.85~30MSv、デンタルが1枚1~8.3MSvです。
    これに対し、歯科用CTの被爆量は480~560MSvにも達します。
    つまり、CTを1回撮るということは、矯正の頭部のレントゲンを200枚以上(!)、通常のデンタルX線(2×3cmくらいの小さいレントゲンです)の500枚以上(!)を一度に撮影するのと同じだけ被爆するわけです。
    ですから、歯科用CTを撮るのであれば、最初にパノラマやデンタルでスクリーニングを行い、必要な部位だけに限局してCTを撮影すべきです。
    皆さんがCTを撮影される事になったら、事前に先生から「どこの部位のCTが、なぜ必要なのか」という説明がされるはずです。何の説明も無しに、CT撮りますのでこっちに来てください、という場合は、患者さんのほうから撮影目的や理由を聞くべきです。遠慮すべきではありません。何処で、どのような治療を受けるかを決めるのは、患者としての権利です。
     
    また、MRIについては、総合病院の先生やレントゲン技師さんから、矯正装置が入っているとMRIが撮影出来ないので、矯正装置を外してくれと言われることがあります。
    何の連絡も無しに勝手に舌側矯正の装置を外して事後報告、という事例が過去に1度だけありましたが、小林先生の講演では、アーチファクトは撮影条件によって減らすことが出来、1.5テスラー以下であれば、殆ど問題はないとのことでした。
    実際に、MRIを撮影する際に技師さんから連絡があり、少しコメントするだけで問題なく撮影されているようですので、患者さんの皆さんは覚えておいて頂くと宜しいかと思います。
     

    次回の日臨嬌は11月、宇都宮で開催されます。

  • 2007/02/22

    Dr. Bruno Wilhelmy from Germany

    11月27日から12月2日まで、ドイツから Dr. Bruno Wilhelmyが見学にやって来ました。
    彼とは2002年6月、Berlinで開催されたESLOの時に知り合いました。
    以来、ヨーロッパの学会ではいつも声をかけてくれ、Gala dinnerなども一緒にテーブルを囲んできました。
    1年前、New YorkでのWSLOの際に、ひろ矯正歯科を見てみたい、僕のリンガルの治療を実際に見学してみたいので行っても良いか、と聞かれました。
    なんでも、お嬢さんが歯科大学を卒業して、もうすぐ一緒に仕事をするようになるので、もっとリンガルを勉強したいとのことでした。
     

    ひろ矯正歯科玄関前にて
     
     
     
     

    いつもどおり、月曜日は僕は休みなので松本城を案内します。
     

    翌日から1週間、朝から晩まで、Brace on、Brace off、初診、診断、adjust、esthetic ponticのセットの仕方、Eva Dyneを使った最新の技工操作等々、現在ひろ矯正歯科矯正歯科で行っている最新テクニックの全てを教えました。 金をいくら払えば良いかと聞かれましたが、金欲しさに教えるわけではなく、僕は真にLingual Orthodonticsの発展を祈っての事ですので、金などイラナイ、と言いましたが、、、僕の真意が伝わったでしょうか、、。
     
    見学をしたいという先生を寛大に受け入れ、本当に感謝してくれる人もいれば、見せてくれて当たり前、教えてくれて当たり前と思っている人もいます。 中には、院内の物をくすねて帰るような人もいますので、今後は見学者の受け入れについて少し考え直したほうが良いかな、と考えています。
     


    通常の矯正と舌側矯正との診断の違いについて詳しく説明します。
     


    わかってくれたかな、、。
     


    夜は割烹仙岳で shabu-shabu dinnerに招待です。
    食事をしながら、舌側矯正について説明を続けます。

     


    仙岳のマスターと一緒に

  • 2006/11/18

    Welcome to Dr. Hiro’ Orthodontic World !!


     
    今年の3月、New Yorkで世界舌側矯正歯科学会が開催されましたが、学会から帰国するとすぐに1通のメールが届きました。
    スペイン・バルセロナの University International of Catalunya の教授であり、バルセロナ市街の激戦区で開業している矯正専門医である Dr. Fernando de la Iglesia からです。
    「NYでDr.Hiroの講演にたいへん感銘を受けたので、是非オフィスを見学させて欲しい」と、写真付き履歴書を添付で送ってくれました。
    先日来たDavid Manzaneraもスペインから、Fernandoもスペインからです。
    Fernandoに「日本には学会か何かで来るのか?」と聞くと、「No」とのこと。
    「他の先生のオフィスを見学するついでに来るのか?」と聞くと、「日本には、Dr.Hiroのオフィスを見学するためだけに行く、ひろ矯正歯科に行くためだけにスペインから日本に行く」とのこと。
    僕に何か出来ることがあればと思い、歓迎しました。
    そうしたら、3月の時点でもうすでに10月の飛行機を予約したというので、近年稀に見る行動派です。
     
     

    10月25日、昼11:25分に松本駅に着くというので、ホテルに迎えに行きます。
    今日は月曜日なので、僕はお休みなのです。
    車を駅近くの駐車場に入れ、ホテルに向かって歩いていると、駅から東急インに向かって旅行カバンを引きずる3人連れの外人がいます。
    あれがFernandoだなと思いつつ、交差点で御対面。
    やはりそうでした。
    Ferandoと、奥さんと、技工士のGloriaさんです。
    折角来るなら、技工士を連れておいでよ、それから自分のケースを持っておいでよ、ラボを教えてやるから、と伝えたんです。
     
    ムチョ・グスト(はじめまして)、コモエスタ・ウステ(こんにちは、ごきげんいかが)と、挨拶をすませ、駅前の東急インに案内します。
    駅に近い方が何かと便利なので、僕が会員価格で予約しておきました。
    お昼前ですが、チェックインが可能で、部屋に荷物を置いて出掛けます。
    お昼ご飯は伊勢町の「バリゾート」で「ナシゴレン」を食べ、その後、松本城を案内します。
     

    今晩はしゃぶしゃぶだよ、と話すと、じゃあここは僕が払っておくよと、Fernandoが払ってくれました。
    ごちそうさまでした。それにしても、暑かったな、この日は。寒いから上着を忘れるな、と言ってあったので、全然寒くないじゃないか、と、フード付のダウンジャケットをたたんでいました。

     


    松本城の説明を聞く。オジサンはボランティアの英語のガイドの方です。

     


    松本城観光は気に入って貰えたかな、、、?

     
    その後、四柱神社、縄手通り、仲町と松本の典型的な通りを案内し、僕は一旦家に帰ります。
    アスタルエゴ(また後ほど)!
     

    晩ご飯は定番、割烹仙岳のしゃぶしゃぶです。
    寿司と天麩羅は食べた事があるが、しゃぶしゃぶは初めてだというので、食べ方を説明します。
    お肉をお湯につける時は「しゃ~ぶしゃぶ、しゃ~ぶしゃぶ」と言わなければならないのだと説明すると、彼らみんなは真面目に「シャ~ブシャブ、シャ~ブシャブッ」と言いながらお肉をしゃぶしゃぶしています。
    えへへ、、。
     

    「しゃ~ぶしゃぶ、しゃ~ぶしゃぶ、、。」

     
    食事をしながらいろいろと話を聞きます。
    彼はバルセロナで矯正専門開業していますが、彼のオフィスの半径100m以内には8軒(!)の矯正専門医があるとのこと。
    バルセロナ市内には何軒の矯正歯科専門医がいるのかと尋ねると、星の数ほどで、数え切れないという。
    バルセロナの人口は157万人、塩尻市の人口は6万人。
    僕は都会が大嫌いです。
    息が詰まります。
    僕にとっては、自分のリラックス出来る環境で生活し、毎日新鮮な空気を吸って気持ちよく仕事をするのが、良い治療をする最低条件です。
    僕は長野県の豊かな自然を愛し、長野県の人を愛し、自分の医院とスタッフを愛しています。
    約3時間、食事をしながらお話をしてお別れです。
    Fernandoからは、高級ワイン4本と、たくさんの生ハムと、たくさんの本と、おまけに子供達のお土産まで頂きました。
    さぞ、重かったでしょう、、ムチョスグラッシャス。
     

    翌日、お昼過ぎにFernandoと歯科技工士のGloriaさんが医院に来ました。
    医院の中をひととおり案内し、午後から通常どおり診療です。
    初診、診断、Brace on(矯正装置を装着すること)、Brace off(矯正装置を外す事)、抜歯、いろんな処置を滞りなく的確に処置をするのを見て、いささか面食らったようです。
    彼は火、水、木と3日間見学してゆきましたが、マメにメモを取り、いろんな事を質問してきます。 非常に勤勉です。
    ひろ矯正歯科では、普通の矯正専門医と違う部分がたくさんありますので、質問が多いのは当たり前です。
     
    Q1:なぜ、バンドを巻かないで全ての装置を接着で治療するのか?
    Ans:
    1,チェアータイムの短縮
    2,患者さんの不快感の軽減
    3,歯肉炎の減少
    4,バンドを巻くとギラギラ光って審美的に良くない
    5,バンドを巻くと装置撤去後にバンドスペースが残り、食片圧入の原因となる
    6,バンドを巻くと装置撤去後にバンドスペースが残って歯が移動し、咬合関係が狂う
    7,バンドを巻くと、装置の位置づけが正確でなくなるので、きちんと治らない
    などの理由から、ひろ矯正歯科ではバンドを使わないんだと説明します。
    バルセロナではバンドを巻かないなんて不可能だ、みんな装置を壊してしまう、というので、それは日本でも同じだ、患者さんに必要性を説明して、患者さんに理解してもらって、食べ方の指導などをきちんとすれば大丈夫だよ、と話します。
     

    真剣な顔つきで見学するFernando

     
    Q2:エッチングの不要な接着剤について、メーカー名とそれを使っている理由は?
    Ans:メーカーは松風、使用している理由は、
    1,エッチングをしないことで虫歯の発生をかなり抑える事が出来る
    2,さらに、フッ素徐放性であるので、虫歯になりにくい
    3,チェアータイムが大幅に短縮された
    4,ブラケットの脱離による急患が極端に減少した
    5,除去が容易である
    などなど、、。
     
    Q3:スペースクロージングのメカニクスは?
    Ans:ひろ矯正歯科では、患者さんに少しでも快適に治療を受けて頂くために、ループは使わないで、全てスライディングで行っている。外側には一切装置を付けない。パワーチェーンを外側にまわす先生もいるが、ひろ矯正歯科ではそんな不細工な治療はしない、と説明。
    じゃあ、エラスティックはどうやってかけるのか、というので、内側から内側にかける、と話すと、他の先生と同じく、そんな事は出来ないだろう、という顔。
    ちょうどゴムを使う患者さんがいたので、ゴムをかけてみてください、というと、その患者さんは一瞬にして裏側どうしでゴムをかけるので、Fernandoは目が点になっていました。
    ひろ矯正歯科は治療のレベルも高いが、患者さんのレベルも高いんですよ。 
     

    EBOのファイルを見るFernando

     
    ほかにも、たくさんたくさんの質問がありました。
    二階では、世界に誇るひろ矯正歯科の技工士が Gloriaに最新の技工手順を指導します。
     

    こうゆうときに日頃の英語レッスンが役に立つ!

     
    その間、奥さんは何をしているのか、、、じつは、うちの家内が料理教室に連れて行っています。
    翌日は茶道にと、日本文化を紹介します。
     

    裏千家奥平先生、お忙しいのに、本当にありがとうございました m(_ _ )m。

     


    夜は、焼き鳥大吉にて。大切な日本文化、ドジョウすくいを披露します。
    爆笑でした。あっはっは~、楽しい。

     

    医院見学を受け入れるのに1日当たり10万円以上のお金を取る先生がいます。
    ひろ矯正歯科では、No Chargeです。
    なぜタダでそこまで見せて、ラボまで教えて、食事まで連れて行って、と、不思議に思うかも知れませんが、僕はただ、彼らにリンガルのスペシャリストになって欲しい、名ばかり有名で治療が全く出来ないくせに偉そうにしている人たちを見返せるようなドクターになって欲しい、ただそれだけが願いです。
    Fernando, you must be the NO.1 Lingual Orthodontist in Spain!!
     

    3日間、アッと言う間に過ぎました。
    最後の日、11月3日は軽井沢を案内し、軽井沢から新幹線で東京へ向かいます。
    毎日、朝から晩ご飯まで一緒にいたので、家族のようです。
    別れ惜しいです。
     

    軽井沢鬼押し出しにて。 またおいでね(^ε^)-☆。

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