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院長日誌

  • Smile Arch について

    2002年8月23日、横浜シンポジアにてDr.Bjorn Zachrisson のセミナーが開催されました。
     

     
    Dr.Zachrissonは初来日、たくさんの学会でAwardをとっておられ、今回のセミナーも期待して参加しました。
     
    セミナーの概要は、笑ったときの歯の見え方(スマイル・アーク)について、どう設定すれば良いか、というもの。過去にはスマイル・ラインと言われていたものです。
     
    会場は2会席まで一杯で超満員。総勢400程度でしょうか、、。
     
    私は、午前中は話の仕方に少し興味をもって聞いていましたが、、、。
     
    午後は同じ話しの続きで、人の批判が多く、 さすがに boring。。。
     
    人の批判話を聞きに来たのではない!
     
    Smile arch, Finishingについてもすでに知っている話ばかりで、目新しい話は特になし、、。
     
    IOP には loose contact があちらこちらに見られるし、審美性重視のあまり、咬合が犠牲になっている。
     
    セミナーを通じて納得出来ない部分が多々ありました。
    日本の矯正レベルを御存知ないようですな、、。
     
    それでも一応、最後の質疑応答まで聞きましたが、、、質問をする先生も、もう少し内容を考えて質問されるべきではないでしょうか、、
     
    時間を割いて質問するにふさわしくないような、primitiveな質問が多々あったように思いました。
     

     
    今回のセミナーをとおして、矯正は審美的要素も勿論大事だけれども、審美性を追求するあまり、咬合が二の次になってはイケナイなあと思いました。
     
    私達矯正歯科専門医は、美容第一目的で矯正治療を行っているのではなく、咬合機能の回復や顎関節に及ぼす影響などを主目的に置いているはずですから。
     
    ■番外編 ・・・・・ ランチはどこで?
     
    昼食は1人中華街にダッシュしてフカヒレラーメン(1500円)とチャーハン(800円)を食べました。
     
    手のひらほどのフカヒレが1枚まるごと載っている、、。こんなの初めて!!
     

     
    合計2300円也。。。自分の普段の昼食の4食分です!!
     
    もともとその店は知っていたわけではなく、店のオモテの写真を見て、話のタネに食べてみようかと入ってみたのですが、これはこれは、値打ちでした。
     
    本当に美味しかったです。
     
    10分後には、ほら、御覧のとおり。
     

  • 日米外科矯正事情

    2002年 7月 11,12日の両日、東京・三田の笹川記念会館に於いて、Roth/Williamsの外科矯正セミナーが開催され、外科矯正治療に関する最新のテクニックと知識について勉強しました。
     
    主催者であるRoth/Williams Center Japanの池田先生は、1979年に日大卒業後、Pennsylvania大学の歯学部矯正科を卒業されており、また、89年にはAmerica の矯正専門医の資格であるAmerican Board of Orthodonticsを取得されており、私からみると雲の上のそのまた上の存在です。
     
    台風6号の影響で、当日の朝、遅れて会場に入って行きましたら、席が空いていなかったので池田先生がお座りになっていた席をさっと譲って下さり、感激するとともに、僕が座っていいのかしら、、と恐縮してしまいました。
     
    Dr.Roth, Dr.Williams, Dr.Ayala, Dr.SapunarらによるSoft tissue analysisや、Model surgeryの話も大変貴重で勉強になりましたが、本セミナーでの最大の収穫は何といっても、アメリカにおける最新の外科矯正手術の詳細について詳細な講義を聞くことが出来たことでした。
     
    懇親会終了後には、Dr.Takemotoはじめ東京歯科のOBの先生方と一緒に After fiveに連れっていただき、特に3次会では、普通では聞けないような外科矯正手術に関する話を聞かせて頂きました。
     
    以下に外科矯正の日米の比較をまとめてみましたので、御参考まで。
     
    U)=USA、J)=JAPAN
     
    ■医療制度
    U)包括一括
    J)出来高払い
     
    ■Fee
    U)Private insuranceが主体
    J)公的保険 (負担金は下顎のみのsurgeryで30~40万円)
     
    ■入院期間
    U)1~3日(殆ど2日) 顎間固定は1週間
    J)短いところで7日~14日、長いところでは6週間、と、医療機関によってかなりの差がある
     
    ■Fee
    U)Private insuranceが主体
    J)公的保険 (負担金は下顎のみのsurgeryで30~40万円)
     
    ■op開始時間
    U)通常 7:30 a.m. 開始。1日5症例ということは珍しくない。
    J)通常 9:30 a.m.頃開始。通常1日1症例、頑張っても2症例が限界(?)
     
    ■op時間
    U)短い。 下顎のみのopで、約30分(!) 上下同時移動術で約2時間(!!)
    J)長い。 通常下顎のみのopで、5時間(!) 上下同時移動術だと、、???
     
    ■出血量
    U)非常に少ない
    J)中等度~ 希に輸血を必要とすることもあり
     
    ■術後管理
    U)分業制
    J)公的保険 (負担金は下顎のみのsurgeryで30~40万円)
     
    ■Fee
    U)包括管理
    J)公的保険 (負担金は下顎のみのsurgeryで30~40万円)
     
    [ USAの保険制度 ]
    Private insuranceが主体で、Fee for service, Management care service, Prefered provider org., Health maintenance org.に大別される。
     
    Fee for serviceは医療機関の選択が自由であるかわりに、$200~$1,000の自己負担金がある。
    医療費が$10,000までは20%自己負担、 $10,000を超える場合には10%自己負担。
     
    Management care serviceは医療コストの低減を目的としており、アクセス、サービスを制限。Prefered provider org.は公的機関のみ。
     
    Health maintenance org.は専門医への受診、入院はHome Dr.のReferが必要。
     
    アメリカにはP.R.O.(Peer review org.)が存在し、医療検察官制度がチェックしている。
     
    また、現在日本でも保険適用となっている顎変形症の手術(下顎のみ)の患者負担については以下のとおりです。
     
    ■op検査
    U)$200~$400
    J)約13,000円
     
    ■画像検査
    U)$300~$600
    J)約10,000円
     
    ■op費用
    U)$4,000~$10,000
    J)概ね 800,000円前後
     
    ■入院費用
    U)$1,400 (2日間で)
    J)概ね130,000円(7日間として)
     
    ■麻酔費用
    U)$600
    J)90,000円前後
     
    ■患者負担金
    U)保険契約によって異なる
    J)3割負担として約35万円。
    吸収性プレートを使用した場合、1枚25万円×枚数×30%
    上下同時移動術の場合で50万円くらい
     
    手術関連の講義だけでA4用紙に20枚メモをとりました。
     
    上に記載したのはごく一部で、まだまだあるのですが、かなり専門的な話になりますので、簡単にまとめてみました。
     
    わざわざ医院を休診にして遠路はるばる受けに行っても、ガックリして帰ってくることが多い今日この頃ですが、今回のセミナーはタメになりました。
     
    台風にめげずに行って良かったです。池田先生、ありがとうございました。

  • ホワイトニングについて

    最近、歯を白くしたいという患者さんが増えています。
     
    矯正専門の先生の中には10年以上も前からブリーチングを行っている先生がたくさんいらっしゃって、今まで「広先生はどうしてやらないの?」と聞かれることが多々ありました。
     
    私自身も興味が全くないわけではなかったので、機会あるごとに文献等を渉猟してきましたが、やはりイマイチ不明な部分が残されているため、今までは、行ってきませんでした。
     
    しかしながら、最近、成人患者さんで矯正治療後にホワイトニングを希望される方が多く、また電話でもホワイトニングに関する問い合わせが増加してきているため、6月30日、時差ボケも回復しきらないまま、東京医科歯科大学卒後研修セミナーのプログラムであるホワイトニングのセミナーを受講してきました。
     
    それで、今後の方針について結論から先に申し上げますと、ひろ矯正歯科ではホワイトニングは行いません。
     
    その理由として、
     

    1. 一旦ホワイトニングを行うと、その後も継続して漂白を行い続けなければならないことが多い。
    2. ホワイトニングを行ったことで、逆に外来色素の沈着を起こしやすくなることがある。
    3. 漂白剤の作用によって歯肉に炎症や潰瘍を起こすことがある。
    4. 歯の知覚過敏を起こして冷たいものにしみるようになることがある。
    5. 矯正患者さんの場合、矯正前の歯並びが凸凹であるために多数の虫歯の修復がしてあることが多く、ホワイトニングによってそれらのレジンの色調が合わなくなってしまい、やり直さなければならない場合が多い。
    6. ホワイトニングを行う前と、行った後での歯の強度に関する定量的なデーターが、私の調べた限りでは不明であり、ホワイトニングによって歯が欠けやすくなるという一説を完全に否定することは出来ない。

    等々です。
     
    これらは歯科医院で行うオフィス・ホワイトニング、自宅で行うホーム・ホワイトニングのいずれについても共通です。
     
    もちろんこれらは、私の private opinionであり、ホワイトニングを行っている先生達を批判するたつもりはありませんので、誤解なきよう、お願いいたします。
     
    矯正歯科というのは本当に分の悪い仕事で、収入のことだけを考えるならば、60万円の矯正費用で2~3年間に及ぶ治療を行い、治療後5年以上も経過を追い、その後、万が一凸凹が出てきた場合には再治療費を頂くことなく再治療を行いますので、単純に考えても矯正の患者さんを1人治療するならば、ホワイトニングの患者さんを10人治療した方が遙かに儲かりますし、精神的にも楽だとは思いますが、私自身の出した結論として、「当医院では、審美のみを目的としたホワイトニングは行わない。」ということを決断しました。
     
    もちろん矯正治療中の患者さんの歯のクリーニングなどは従来どおり行います。
     
    みなさん、通販のホワイトニングキットなどは、絶対に、絶対に、やめた方が良いですよ。
     
    余談ですが、このホワイトニングの講師は、「受講生は遠路はるばる、忙しい時間を割いて参加しているのだ」ということを全く自覚しておらず、講義の進め方も思いつくまま、質問に対する回答も受講生を侮辱したような、非常識でたいへん腹立たしいものでした。

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