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院長日誌

  • 矯正装置とMRI

    「矯正装置が入っているとMRIが撮れないから、矯正装置を外してくるように」と言われて、MRIを撮影して貰えないことがあります。

     

    放射線科の医師・技師さんが矯正装置を外せと言う理由は2つ、

    1. 金属にMRIが当たると発熱して火傷する
    2. アーチファクトで画像診断が出来ない

    です。

     

    私からのコメントは、

    1. 火傷の心配はありません
    2. アーチファクトに関しては、撮影部位が頭部や顎関節であっても、撮影条件を工夫して頂ければ、矯正装置が入っていても問題のないMRI画像を得ることが可能なことがあります
    3. 腹部や足のMRIを撮影するのに矯正装置を外す必要はありませんので、通常通り撮影して頂いて全く問題ありません

     

    矯正治療に使われる金属の殆どは、コバルト、クロム、ニッケルを主体とする合金で、ものによっては、チタン、モリブデン等が含まれております。

    MRIは磁気共鳴を利用したものですので、矯正のワイヤーやブラケットがアーチファクトを起こす原因となります。

     

    ところが、撮影条件を工夫すれば、矯正装置が入ったままでも顎関節、上顎洞、海馬なども全く問題ない画像が得られています。

    僭越ですが、アーチファクトで撮れないという場合は、以下の撮影条件で撮って頂ければ、撮れることがあると思いますので、御参考にして頂ければ幸いです。

    1. 最低条件として 1.5テスラで撮影する。3テスラでは、アーチファクトが著しくて撮れません。但し、最近は1.5テスラマシンが多く、それで撮れないという場合は、以下を調整してください。
    2. BW値を上げる
    3. ピクセルまたはボクセルサイズを小さくする
    4. 脂肪抑制を併用しない
    5. シムボリュームを頭部全体ではなく影響のない場所に置き、調整を行う

    です。

    大体は 5のシムボリュームを調整して頂ければ、2〜4はいじらなくても撮れることが多いようです。

     

    じつは、「入れ歯や矯正装置が入っているとMRIが撮れない」というのは、昔から殆どの病院で言われており、MRIを撮る際に、矯正装置を外して来るように言われて、全ての患者さんが撮影して貰えませんでした。

    矯正装置を外さないとMRIが撮れないと言われると、困るのは患者さんですので、私はその都度、放射線科の医師・技師さんと撮影条件についてお話しをさせて頂く、ということを長年続けて来た結果、今では長野県内の殆どの病院で問題なくMRIを撮影して頂いています。

     

    ーーー

    上記は 2021年3月にアップした内容ですが、誤解されている方がいらっしゃいましたので、少し修正させて頂きました。

    基本的には、MRI撮影のために矯正装置を除去する必要は無いと考えますが、「絶対外しません」ということでもありませんので、お困りの場合には御相談ください。

     

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