りんごさん
こんにちは、お久しぶりです。
読ませて頂きました。
家族に万が一のことがあったら、、私も心配ですし、私も家族・子供が大事、お母さんの気持ちはよくわかります。
こういったネット相談室では、「そうですね、では、なるべく撮らないようにしましょうね」等々、当たり障りの無い返答を書くのが一般的でしょうが、私はホームページを集客目的ではなく情報提供の場であると考えていること、そして、りんごさん同様の考えをお持ちの方が他にもいらっしゃると思いますので、率直に私の考えを書きます。
10年に1人くらい、レントゲンを撮らないで欲しいという方がおみえになります。
理由は、りんごさん同様、子供を放射線に被曝させたくないということだそうです。
同意の得られない方には、如何なる医療行為も行う事は出来ませんので、そうゆう方にはレントゲンも撮りませんが、逆に私からお聞きしたいのは、
「レントゲンを1枚撮ることで、具体的にどうゆう悪い影響が起こるとお考えですか?」
「医学的に間違った要求から、最善の治療を受けれなくなっても構いませんか?」
ということです(実際に聞いたことはありませんが)。
そのような場合には、自然界の放射線被曝量について説明し、歯科の放射線は問題ない、と説明するのが一般的かつ効果的だと思われますし、ひろ矯正歯科でも福島原発事故以後、同様のリーフレットを作製し、
HPにも公開してきました。
私達は毎日、宇宙からの放射線や自然放射線を被曝しています。
その量は、年間に約2400μSv(= 2.4mSv)程度と言われています。
また、日ごろ口にする水や食物にも放射性核種が含まれており、年間250 μSv(=0.25mSv)程度の被曝をしていると言われています。
一方、歯科医院で撮るパノラマレントゲン1枚の被爆量は0.02-0.03mSvと報告されています。
1年分の2.4mSvを365日で割ると、毎日0.006mSvを被曝して生きていることになります。
「ほら〜! 1回のパノラマレントゲン撮影で、1日の3~5倍も被曝するじゃない!」って思われるかも知れませんが、例えば、東京-ニューヨーク間の往復の飛行では、0.11~0.16mSvの放射線を受けるといわれています。
問題は、歯科でレントゲンを撮って、そのことが原因で身体の不調を起こすか、ということです。
これについては、
放射線科の専門医が書いた論文がありますので、お読みください。
りんごさんのお子さんは、口を診てから撮る撮らないは判断しますが、先天欠如歯の可能性がありますので、必要であると判断した場合は撮ったほうが良いです。
レントゲンを撮るのはやみくもに撮るのでは無く、レントゲン撮影が必要だと判断した場合に、必要なレントゲンだけを撮ります。
これは、きちんとした医療を受けて頂くためには必要なことであり、医師の責任として行わないわけにはいきません。(妊娠初期で赤ちゃんの重要な器官が形成される時期であっても大病院では撮るところが多いですが、ひろ矯正歯科では撮りません。安定期に入ってから、或いは出産が終わるまでは私は絶対に撮りません。)
本来撮らなければならないレントゲンを撮らないということは、必要な情報を得られないまま医療を行うということであり、その患者さんは最適な治療が受けられなくなるということ、そして私達医師側としては、必要な検査もせずに治療を行った、という過誤が起こりえます。
本来必要な検査を行わなかったことで、得るものよりもリスクのほうが大きくなるということです。
りんごさんのお子さんは、口を診てから撮る撮らないは判断しますし、レントゲンを撮りたくないと言っている患者さんを無理に撮ることはしませんが、私が経験上必要であると判断しているのに同意を頂くことが出来なければ、正しい治療は出来なくなるという事を御理解ください。