投稿:miz
みなさん、こんにちは!!歯科衛生士のmizです。
ひろ矯正歯科では、最低でも月に1度、勉強会を行っています。
患者さんに様々な情報を正しくお話できるように、スタッフそれぞれがテーマを決めて、プレゼンテーションをします。
年に2回ほど自分の番が回ってくるのですが、コレがかなりの緊張とプレッシャーになります(‘_’;)
しかし、患者さんのため!医院全体のスキルアップのため!皆、真剣に取り組んでいます。
2/5に行われた勉強会では、ひろ矯正歯科でも抜歯をする患者さんがたくさんいらっしゃいますので、
抜歯に関する出血や止血について発表しました。
その内容を紹介しますね!!
<<出血・止血~抜歯創の治癒~>>
1.血液の成分
① 血漿(液体成分):血清・フィブリノーゲン
② 血球(有形成分):赤血球・白血球・血小板
2.出血・止血・止血法
① 出血とは?⇒血液の全成分が血管外へ出ること。
② 出血!!私達の血管内では??
第一段階:傷口の周りに血小板が凝集して、血小板血栓を作る
第二段階:その周りに不溶性となったフィブリノーゲン(=フィブリン)が集まり、
その中に血球が取り込まれ、血餅を作る
★血餅の形成により止血★
<<フィブリノーゲン+血球=血餅(けっぺい)>>
*血餅・・・出血を止めるために形成される血液の塊。
サラサラの血液が硬めのジェルのような状態に
なったもの。
③ どうやって血を止める!? 止血させるいくつかの方法・・・
★圧迫止血:創傷面を直接的 又は 間接的に、ガーゼ・手指・布などを使って圧迫し、
止血させること。
<直接圧迫>創傷面に直接圧をかけ止血
<間接圧迫>創傷部位より心臓に近い止血点で圧迫させ、止血
*例えば・・・太ももの創傷なら、脚の付け根腕の創傷なら、わきの下
<栓 塞 法>抜歯窩ばっしか(抜歯でできた穴)などの
深い創腔からの出血に対して用いる。創腔内に滅菌ガーゼなどを
詰め込んで、圧迫栓塞させ止血
★止血薬:圧迫で止血しないときや、血液凝固機能自体に問題がある場合、局所的 又は
全身的に用いる。
<局所>直接創傷に塗布したり、抜歯窩に栓塞して使用
『ボスミン液』血管収縮薬を含有する止血薬
*歯肉を切った後や、抜歯後止血しない時に用いる
<全身>血液凝固因子欠乏などに、経口投与や注射により投与
『フィブリノーゲン製剤』血液凝固に関与するフィブリノーゲンの 濃度を
高め、フィブリンの生成を促進
★縫合:裂傷や抜歯後止血しない時、創傷面を縫い合わせる。
☆☆ ひろ矯正歯科での止血法 ☆☆
*抜歯直後、栓塞法にて止血→10~15分後、ガーゼ交換(直接圧迫)
抜歯後20分前後で、止血状態を確認:止血していれば抜歯後の注意点を説明
*20分以上経過しても、血液がサラサラの状態や止まりかけても すぐに出てくるような
場合は、縫合を行う。(一創につき3~5針縫合)
ひろ矯正歯科で使用している縫合糸は吸収性のため、抜糸の必要はありません。
[なぜ血が止まらない!?]
・血を止めようとする体の機能自体に問題がある時
・細菌に感染した、不必要な組織が残されている時
・麻酔薬の量や麻酔の打つ位置より、麻酔薬の効果が強すぎて血餅ができにくい時
④ Dr.が「抜歯します。」と言いました。あなたの体はいかがですか??
・抗凝固薬を服用している方
→血栓の形成を予防し、血液の流れを良くする薬を飲んでいる方は、抜歯後に、
止血困難となる場合があります。
・高血圧症の方
☆☆ひろ矯正歯科では、抜歯前に必ず 血圧・脈拍 を測定します!☆☆
→抜歯前に、必ず血圧と脈拍を測定。抜歯に対する緊張や不安で血圧が上昇する
こともありますが、問題なく抜歯しています。
また、麻酔薬によって血圧が上昇することがあるので、何か体調に変化のある時は
すぐに伝えてくださいね。
・ 糖尿病の方
→麻酔薬による血圧上昇を起こす場合があります。出血傾向のある疾病なので、
抜歯後 止血困難となる場合があります。
・ 腎疾患/肝疾患の方
→腎臓・肝臓ともに血液を正常に働かせたり、止血の為に必要な因子を作る
臓器のため、それぞれの臓器の機能低下には注意が必要です。
・ 貧血/血液疾患の方
→血圧低下・めまい・吐き気・顔面蒼白を起こしやすい。
白血病など、血液疾患のある方は、止血困難となる場合があります。
・ 精神/神経疾患の方
→抜歯前後にパニックやヒステリーを起こすことがあります。
服用している薬によっては、血圧低下・上昇が考えられます。
・ 妊娠中の方
→精神的な不安や緊張から、気分が悪くなったり貧血を起こすことがあります。
麻酔薬の使用にあたって、妊娠中の方への安全性は確立されていないため、
緊急の場合を除いては、抜歯は避けます。
・ 生理中の方
→普段よりもイライラしたり、落ち着かないなど過敏になっていることがあります。
貧血を起こすこともあり。成人女性では、月経前 2週間にわたり、血液凝固に大切な
血小板数の減少が認められるので、止血しにくくなります。
*血小板数は月経とともに正常値に戻ります。
☆☆ 抜歯にあたり、ご自身の体調に不安のある方は必ずご相談下さい ☆☆
3.抜歯した傷はどうやってふさがっていくの??
<凝血期> | <肉芽期> | <仮骨期> | <治癒期> |
・血餅の形成 | ・傷口は新しい組織で覆われ、抜歯窩の中は新しい骨を作る為の準備が始まる | ・傷口の治癒 ・ほぼ新生骨で満たされる |
・新生骨と既存骨との 境界がわからなくなる |
4.抜歯した傷のあたりが、痛い(;_ ;)腫れた(;_ ;)・・・なぜ??
★感染や炎症によるもの
細菌の感染や抜歯後の炎症により、抜歯部位周辺が腫れることがある。
⇒抗生物質投薬での治療が一般的
(あらかじめ感染予防のために3~4日分処方することもある)
*感染が眼下や首にまで及んだ場合は、通院や入院で点滴などの処置を
受けることもある
★ドライソケット
<症状> 抜歯後疼痛:抜歯から2~3日後に焼けるような痛みが出る
<原因> ・患者さん自身の行為により血餅が脱落してしまう
⇒口の中が気持ち悪いので、何度もうがいをする→×
⇒抜歯した傷が気になって、舌で頻繁に触る→×
・麻酔薬の効果がありすぎて血行不良となり、血餅が形成されない
・感染により、血餅が溶けてしまう・・・などの原因で、
湿潤した血餅で守られているはずの抜歯窩の骨面が露出して
乾いた状態になり、痛みが生じる。
<治療> ・抗生物質の軟膏を抜歯創に注入する
・抜歯創をもう一度ゴリゴリと掻き出して出血させ、新しい血餅を
作る。
・歯肉を守る包帯(粘土のようなもの)で、傷口を保護し血餅の脱落を
防いだり、抗生物質軟膏を保持する
☆★☆抜歯した日は、無理せずゆったりと過ごしましょう!!☆★☆
☆☆何か分からないことがありましたら、いつでもご相談ください!☆☆
参考文献 |
1.スタンダード病理学 賀来 亨 他著 学建書院 1995年 2.歯科麻酔学第6版 金子 譲 他著 医歯薬出版(株)2003年 3.臨床歯科麻酔学第3版 丹羽 均 他著(株)永末書店 2005年 4.標準口腔外科第3版 野間 弘康 他著 医学書院 2004年 5.系統看護学講座 医学書院 ・解剖生理学 日野原 重明 他著 1997年 ・薬理学 中井 健五 他著 1997年 ・循環器疾患患者の看護/血液・造血器疾患患者の看護 岩井 郁子 他著 1997年 6.検査値早わかりガイド 江口 正信 他著 (株)医学芸術社 2001年 7.リグノスパンS/ボスミン液に添付された取扱説明書 8.歯科衛生士試験対策①病理学 P150 抜歯創の治癒図説 抜粋
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