日本の矯正専門医の会である日本臨床矯正歯科医会が、不適切な矯正治療に関するアンケートを行いました。
矯正歯科医会のページは、会員がログインしないと見れませんが、要約は、文末のリンクに書いてある内容と大体同じです。
結果は、私が今までホームページや医院の印刷物などで、機会ある度に繰り返し言ってきたことと同じです。
つまり、
「矯正治療は、専門的な知識とトレーニングが必要である」ということ、
そして、
「顎が狭いから拡げないといけない」
「早くしないと取り返しがつかないことになる」
などと言う先生の所では治療しないように、ということです。
これは私が患者さん欲しさに「うちに来なさい」と言っているのではありません。
毎年、一般歯科の先生が行った矯正治療で、本当に大変な状態になっている患者さんが後を絶たないのです。
極端な例では、まだ3才なのに、「顎が狭いから拡げないといけない、早くしないと間に合わなくなる」と言われて、顎の拡大を始めた方がいます。
このような悪徳な歯科医は実名を公表したいところですが、、。
専門的なトレーニングを受けていなくても、歯にブラケットを接着して、ワイヤーを通せば、誰がやっても歯は動きます。
極端な話、歯科の知識が全くないお母さんが、それをやっても歯は動きます。
お母さん、あなたが子供さんの矯正治療をしますか?
家族であれば、法的に問題ない筈です。
「私には出来ないわ、経験も知識もないから」と思うなら、経験も知識もない先生のところに我が子を連れて行き、矯正治療を受けさせるのはやめてください。
矯正治療には、やってはならないことが沢山あります。
大切なのは、その辺をきちんと理解した上で治療をしているか、必要の無い治療なのに利益目的で患者さんに治療を強要していないか、ということです。
同様のことは、舌側矯正にも言えます。
舌側矯正の治療前に、顎を拡大しなければならないという先生がいます。
成人患者にクワッド・ヘリックスという拡大装置を入れてからでないと、舌側矯正が出来ないという先生がいます。
世界で舌側矯正をきちんと行っている先生達は、そんな事はしません。
みなさんが舌側矯正の相談をしたら、その先生が
「あなたの場合は、舌側矯正が出来るかどうか、検査をしてみないとわからない」
とか、
「下は内側はやめた方が良い、外側からやったほうが良い」
と言ったなら、そんな先生のところで治療するのはやめたほうが賢明です。
前者は、患者キープを目的としています。
検査費用を何万円か支払った患者さんは、よそには行かないだろうと考えているからです。
後者は、その先生に舌側矯正の経験が十分で無い、上下舌側矯正で治療する技術と経験が無い、というのが理由です。
これを読んで激怒される先生がいると思います。
全ての一般歯科の矯正治療がいけないとは言えません。
一般歯科の先生の中には、そこそこ治せる先生もいると思います。
でも、大変な事になっている患者さんが後を絶たないのは事実です。
矯正専門医なら 何処でも安心というものでもありません。
上記の舌側矯正に関する内容は、矯正専門医での話です。
私が言いたいのは、私達歯科医師は、患者さんのために治療をするために国から免許を下附されているわけで、必要の無い間違った治療を患者さんに強要してはならないということ、こうゆうことを書く私が問題なのではなく、上記のようなことを平気でする歯医者のほうが問題なのだということです。
歯医者選びというのは本当に難しいものです。
特に矯正治療は、保険が効かないので高額になります。
治療開始時に前金で支払わされ、治療中断でも返金に応じてくれないという悪徳歯科医もいます。
矯正治療を受ける際には、まず第一選択として、専門医をいくつかピックアップし、実際に何軒か相談に行ってみて、治療の説明はわかりやすいか、料金設定は妥当か、支払い方法はどうなっているか、転居などで治療中断の場合は返金してくれるか等々をチェックしてみてください。
それくらいしかアドバイスは出来ませんが、すこしでも参考になれば幸です。